長嶋建吾選手(18古河ジム)OPBFライト級新王者に |
OPBF東洋太平洋ライト級王座決定戦を生観戦
日本ライト級王者、WBAライト級11位、石井一太郎選手(横浜光ジム)が
放棄して空位となったOPBFライト級王座の決定戦
長嶋建吾(18古河ジム)対ランデイ・スイコ
OPBF同級2位、WBC同29位、長嶋建吾選手は技術に秀で経験豊富な
左ボクサータイプ
戦績40戦35勝17KO3敗2分け 33歳
どちらかといえば打たれ強いほうではない
想起されるのは2002年8月のWBC世界スーパーフェザー級王座決定戦
シリモンコンシンワンチャーに喫したKO負け
あるいは昨年3月15日のジムレックスハカ戦でのダウンシーン
しかしそれを補って余りある経験に裏打ちされたディフェンステクニックを誇る
2007年4月21日に行われた日本ライト級タイトルマッチ
当時王者だった長嶋選手は現在、WBAライト級ランカーである石井一太郎
選手(横浜光ジム)の強打を封じ込め完封している(3-0判定勝ち)
OPBFライト級1位、WBCライト級14位、ランディスイコ選手は「フィリピンの
石の拳」の異名を持つハードパンチャー
戦績33戦28勝24KO4敗1分け
2006年7月15日 ファンデイアスの持つWBAライト級王座に挑戦し9回
TKO負け
典型的な右ファイタータイプ
スピードやパンチの回転で勝負するタイプではない
じりじりと前に出て圧力をかけて一発一発しっかりとパンチを打ち込んでくる
またもっとも印象的な特徴は異様なまでの打たれ強さだ
明らかにダウンを喫しても不思議ではない角度とタイミングでもらっても
まったく効いていないかのように平然と前に出てくる
たとえはよくないが「ゾンビ」を思わせるボクサーだ
ともに世界戦経験を持つベテラン同士
ただしそのファイトスタイルは対称的
左ボクサータイプでやや打たれもろいところがある長嶋
「ゾンビ」のようにタフな右ファイタータイプのスイコ
ジャッジの構成はフィリピン1名 日本2名
試合は1回から長嶋のペース
圧力をかけて前に出ているのはスイコだが手を出しながら、がない
ただ漫然と前に出てはパンチをもらう流れ
左ストレート、右フックを軸に長嶋はクリーンヒットを奪いポイントを積み重ねる
打ち終わりにサイドに動き
スイコのパンチをブロック、あるいはスウエーでかわしまともにもらわない
4回 スイコの右アッパーがクリーンヒット
しかし長嶋は冷静さを失わずクリンチでしのぎダメージの回復をはかる
4回終了時点で私は39-37で長嶋
4回のみスイコのラウンドとした
公式のジャッジは二者が39-37で長嶋
ところが一者は39-37でスイコ
案の定、このジャッジはフィリピン人
愛国心を存分に発揮
5回以降も長嶋のペース
スイコは前に出てはいるが手数がなくスピード不足
単発で右フック、あるいは右アッパーを繰り出すのみで攻撃が単調
パンチのつなぎも遅い
しかし打たれ強さは驚異的
まともにパンチが入りアゴがはね上がる場面もあるのだが
本人はなにごともなかったかのようにけろっとしている^^
8回終了時点
79-73が二者 77-75が一者
さすがのフィリピン人ジャッジもこれではスイコにポイントを振るわけには
いかない
判定では大差がついているからといって逃げずに
この日の長嶋はアグレッシブな攻撃姿勢
しかし軸足が攻撃にシフトし、ややディフェンスがおろそかになってしまったのか
11回 距離が詰まった場面でスイコのアッパーがヒット
長嶋、やや効いてしまった印象
しかしクリンチワークを駆使し冷静に対処
最終12回も有効打を奪い続けているのは長嶋
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ 118-110 118-110 115-113
3-0で長嶋の勝ち
私も118-110で長嶋
スイコに振ったラウンドは4回 11回のみ
前に出ているのはスイコ 下がらされているのは長嶋という展開だったが
スイコは攻撃が単調でスピードもない
手数も出ない
ディフェンステクニックに優れた長嶋はスイコに有効打を許さず
スイコが前に出てくるところにヒットを浴びせ続けポイントを積み重ねた
「今日の勝利はみなさまの応援あってのこと。感謝しています」
試合終了後の長嶋
「帝拳ジムの辻選手は法政大学の後輩でした。天国に旅立ってしまいましたが
後輩のためにもという気持ちで頑張りました」
「今日はロン毛気味で・・・白髪もまじっています。このあたりで世界王座に挑戦
できるよう清志会長、よろしくおねがいします」
世界戦実現をマイクアピール
興行全体を通じて気づいたポイント
辻選手の件を経て
セコンドのタオル投入のタイミングが明らかに早くなっている
レフェリーについては泰然自若、平常心
私には特にストップのタイミングが早くなっているようには感じなかった
JBCのレフェリーはプロ集団だ
何千試合もプロボクシングを観戦し裁いてきた経験に裏打ちされた自分の判断に
ついて確たる信念を持っていると思う
私は「プロフェッショナル」としてのこの信念をとにかく尊重したいと思う
また私自身についてだが
小堀選手の件もあり、いろいろとショックが大きく罪悪感すら感じ
自分が愛してきたプロボクシングそのものがとても野蛮で非人間的なものである
ように思われて
暗い気持ちになってしまっていた
しかし、この日の興行の観戦を経て
選手の健康を第一に考えるセコンドの在り方を目の当たりにし
また熱心に事故の再発防止策を論じる業界関係者の方々の真摯な思いにも触れ
ることができて
少しだが前向きな気持ちになり元気をもらうことができた
プロボクシング万歳!
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