「渡邉日本・本望東洋 激闘制す(その2) 5.20後楽園ホール」 |
メインでは、世界ランカーの本望信人が、ランデイ・スイコが放棄して、空位になったOPBFスーパーフェザー級のベルトを、フィリピンの強豪、ビムレックス・ハカと争った。
また、B級トーナメント戦、東日本新人王予選も行われ、激闘が展開された。
第7試合 メインイベント OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王者決定12回戦
○本望信人(3-0判定)ビムレックス・ハカ●
WBCスーパーフェザー級9位、WBA同級6位、角海老宝石ジムの本望信人(27勝5KO4敗2分)が、フィリピンスーパーフェザー級王者、WBA14位、OPBF1位のジムレックス・ハカ(26勝12KO1敗)を3-0の判定で下し、OPBF新王者に。
この試合、1回から3回までは、強打のサウスポー、ハカの一方的な展開。
ハカのセコンドにはマニーパッキャオのトレーナーでもあるフェルナンデス氏。
鋭い踏み込みから放たれる左ストレートが本望の出鼻を挫き、距離を詰めて中に入ろうとすると、右アッパーがアゴを襲う。
左ストレートから、右アッパーをフォローするコンビネーションも面白いように決まる。
バックステップして、カウンターの右フックを合わせる技術もある。
「ボクシングの基礎技術では抜きんでたものはないけれども、(対戦相手次第で)その時その時のベストな選択をする、そういう判断力と対応力が自分の強み」 (角海老ジムHP本望インタビューより)と語る本望は、4回から、戦い方を変えて、ペースを取り返していく。
では、どのように試合の組み立てを変えていったのか。
気が付いたことは以下の3点
①まっすぐ下がらず、正面に立たず、常に、左サイドに回りこむ足さばきを攻防の中心に。
左に回りつつかわし、左に回りつつ、距離を詰めて攻める。
②大振りのハカの打ち終わりを狙って、ガードの真ん中を狙う右ショートを軸に
攻撃を組み立てる。
③半身に構え、脇を締めて、ひじを畳んで、グローブでアゴを隠し、ハカのパンチをブロック
右アッパーには、エルボーブロック、左ストレートにはストッピング、パーリを基本にする。
4回 本望、左にステップし、左フックをちらつかせつつ、右のショートをハカの打ち終わりに合わせる
5回 本望のショートの右が再三、ハカのガードの真ん中に。この右を、ボデイーにも散らす
6回 ハカの左に相打ち気味に右を合わせる本望、これが次々にヒット
ニュートラルコーナーに詰めて、連打。
3回までに失ったポイントを「判断力・対応力」で、試合の組み立て方を調整し、ほぼ挽回してみせる。
ハカも、このままでは終わらない
本望の隙を突いて、鋭いアッパーをアゴに入れ、あるいは、長い距離から、迫力十分の左ストレートをかぶせていく。
7回、8回、9回は、ほぼ互角のラウンド
時おり、カウンターでヒットする迫力十分のハカのパンチのダメージ、あるいは、全体としては前に出て攻めの姿勢を崩さないハカの手数をとって、ハカの優勢と見るのか。
それとも、的確にブロッキングで、ハカのパンチを殺し、ショートの右をカウンターで入れる本望の有効打の数をとるのか。
10回 いよいよ本望のアウトボクシングが冴えてくる。ハカのパンチはほとんど見切られているよう。時おりはヒットしていたハカのパンチが、ほとんど当たらなくなってしまう
11回 「劣勢」を覚悟しているのか、前に出るハカだが、本望はハカの攻勢をさばき切る。
12回 優勢を自覚しているのか、あえて攻めに行かない本望
このあたりが、「プロ」として、いまひとつ魅力がない、といわれてしまう原因だろうか。
ただし、「地の利」やマストシステムで振り分けられ勝ちなOPBFタイトル戦の採点方式も
計算に入れて、あえて、リスクをおかさず、勝利に徹する姿勢もまた、「プロ」なればこそ、だ。
結果は3-0(116-113 116-112 117-114)で本望の判定勝ち。OPBF新王者に。
試合終了直後は、本望と抱擁を交わしていたハカだが、判定が出た後は本望が
健闘をたたえようと近づいても、握手も抱擁も拒む。
判定に不満なのか、敗戦がよほど、ショックだったのか。
ただ、このハカ選手、まだ22歳の若さ
「伸びしろ」はまだまだ大きい
「第二のパッキャオ」になり得るすばらしいボクサーと思う。
第5試合 B級トーナメント ウエルター級5回戦 ○トム岡川(3-0判定)西禄朋●
MTジムのトム岡川(5勝5KO5敗1分)が、新田ジムの「イケメンファイター」西(4勝2KO3敗1分)を3-0(三者とも48-46)の判定で下して、二回戦に進出を決めた。
新田ジムの選手らしく、基本に忠実な西は左ジャブを切らさない。ところが、2回、このジャブに
岡川が右を合わせて、西、ダウン。
3回、4回と西は必死の反撃。手数でやや西が挽回する。
しかし、西は4回終了時には、間違えて、ニュートラルコーナーに向ってしまう。かなり、ダメージがありそうだ。
表情もボーっとしている。
5回、1分過ぎ、西の起死回生の右ストレートが決まり、岡川ダウン。大逆転と思われたが、判定は岡川に。
(西選手については 新田ジムHPの新米会長奮戦記120回、122回をぜひ読んで欲しいと思います )
あとは、東日本新人王戦5試合 赤コーナーはすべて角海老ジム勢。
第1試合 ライトフライ級4回戦 ○斉藤秀治(3-0判定)大澤龍馬●
船橋ドラゴンジムの斉藤(3勝1KO1敗)が角海老ジムの大澤に判定勝ち。
1回2分40秒過ぎ、斉藤は左フックで、大澤から、ダウンを奪う。その後も的確に攻めて、判定勝ち。
特に大澤を苦しめたのは、斉藤のノーモーションの右ストレート。これがまったくといって
よいくらい見えていなかったようだ。
判定は39-36が2名 40-36が1名
第2試合 スーパーバンタム級4回戦 ○山崎朋也(3回1分5秒KO)塚原健二●
三迫ジムの山崎(3勝1KO1敗1分)が、3回1分5秒、右アッパーで、角海老ジムの塚原(3勝2KO3敗1分)にKO勝ち。
リーチの長い山崎は、「アッパーの職人」という感じ
アッパーに、かなり愛着があるようで、1回から、次々に繰り出していく。
これが、かなりの迫力
塚原は中に入ろうとするが、3回、右アッパー一発でキャンバスに倒れこむ。
立ち上がろうと上体を起こしたが、再度、崩れ、同時にセコンドからタオルが投げ入れられた。
第3試合 ライト級4回戦 ○篠崎生思郎(3-0判定)菊地廣隆●
ヨネクラジムの篠崎(3勝1KO1敗)が、角海老ジムの菊地(3勝1KO)に3-0の判定勝ち。
菊地はここまで全勝、リーチに恵まれ、筋肉も発達している。肩に刺青、風貌もごつい。
ところが、1回から菊地に、中に入られて、苦戦。
菊地も返すのだが、単発。一発振るうや、篠崎に、懐に入られて、連打を浴びてしまう。
菊地はダッキング、ウイービングといった接近戦を有利に戦う技術が発揮できない。
全体に、パンチ力はありそうだが、体が固い印象。
菊地に接近戦で、いいようにあしらわれての完敗。
採点はジャッジ3名とも40-37で篠崎。
第4試合 スーパーライト級4回戦 △池田智(1-0ドロー、池田の優勢)外村セビヨ鉄人●
協栄カヌマジムの池田(3勝3KO2敗1分)と角海老ジム、外村セビヨ鉄人(1勝1KO1敗)の試合は、ドロー。
ただし、池田の優勢が認められ、トーナメント次戦進出者は池田になった。
外村は、足を使った出入りのボクシング。ところが1回、軽く出した左ジャブに右ストレートを合わされて、外村、ダウン。
池田は、スピードはあまり感じられないが、パンチはありそう。
外村は左目の上を切り、かなりの流血
2回 外村は慎重にアウトボクシングでポイントリード 池田は狙いすぎか手数に乏しい
3回 池田が圧力をかけて、先手をとる。
4回 外村のペースだったが、最後に池田の強烈な左フックが決まり、外村、後退。
ジャッジは38-37で一人は池田、もう一人はは38-38、優勢点は外村、
最後の一人が38-38優勢点は池田。
1-0の引き分けながら、トーナメントを勝ち進んだのは池田になった。
第5試合 スーパーライト級4回戦 ○伊藤忍(4回1分27秒KO)田辺将基●
角海老ジムのサウスポー、伊藤忍(4勝1敗)が横浜さくらジムの田辺(1勝2敗9から、4回、2度のダウンを奪って、KO勝ち。角海老勢、全敗の危機を救った。
この試合、先手を取ったのは田辺。2回、振りの小さい右ストレートで、伊藤からダウンを奪う。
ところが伊藤も反撃、2回終了間際、伊藤の右フックがヒットし、田辺、ぐらつく。
3回の打ち合いも、伊藤の地力が勝り、ダウンを奪った田辺は押される展開
4回、50秒過ぎ、伊藤の左フックで田辺ダウン、立ち上がるもカウンターの右フックで、キャンバスに沈み、伊藤のKO勝利に。
最後に・・・・・・・
この日の興行、王者渡邊、挑戦者小林、ともに熱く
相変わらず本望は巧く
B級トーナメント、西は切なく、岡川もまた切なく・・・
東日本新人王戦、勝者も敗者も、みな勇敢だった。
そして、そんなボクサーたちの激闘を見守るラウンドガールの梅ちゃんは・・・・・
今日も、変わらず、ほんとに、ほんとに、お美しうございました・・・・・?????
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