洋介山・沼田・養田・保住・佐藤勝つ!Bタイト準決勝!(10.21後楽園ホール) |
Bタイト開幕戦の模様については 過去記事 あり。
開幕戦を経て、生き残ったボクサーは各階級4名計12選手
今回の準決勝戦5試合の激闘を経て、生き残ったボクサーは各階級2名計6選手に
この6選手が、12月9日に行われる「Bタイト決勝戦」に進出する
ライト級は、小木曽研二(塚原京都ジム)、小野寺洋介山(オサムジム)
ウエルター級は、沼田康司(トクホン真闘ジム)、養田竜輔(帝拳ジム)
ミドル級は、保住直孝(ヨネクラジム)、佐藤幸治(帝拳ジム)
ライト級の小木曽選手は、対戦相手、栗原選手の棄権により、決勝戦に
他の5選手は、4ラウンドに凝縮されたBタイトルールの戦いを経て、決勝戦に勝ち進んだ
「Bタイト準決勝」計5試合の熱闘をレポートしたい
ライト級準決勝 ○小野寺洋介山(3-0判定)金哲徹●
オサムジムの小野寺(14勝5KO)が、ドリームジムの金(9勝6KO2敗)に、3-0の判定勝ち
(39-37 40-37 40-37)
驚異のスタミナを武器に、最終4回まで、ほとんど途切れない連打で、小野寺が圧倒
これだけの回転で、次々とパンチが繰り出され、しかも打ち疲れの色もなく、そのペースが
途切れない
小野寺選手の所属するオサムジムのモットーは 「なにくそ魂」
「一発打たれたら、10発打ち返せ」という敢闘精神という
同ジム所属、日本ミニマム級4位、熊田和真選手にも当てはまるが、オサムジムには、
「なにくそ魂」を体現した「手数の多さとスタミナ、気持ちの強さ」が際立つボクサーが多い
技術的には、小野寺のパンチは、「オープンブロー」気味
特に、フック系のアウトサイドからのパンチは、半分くらい、オープンでは
レフェリーからも、何度か「オープンブロー」の注意があった
また、連打の回転を重視するあまり、しっかりとナックルを握らないで打っている印象
いわゆる「スナップ」が効いていないパンチ
しっかり、当て際にグローブを握って、ナックルを当てるようにすれば、さらにパンチ力が増す
と思う
また、金選手はストレート系のパンチを得意にするボクサーファイター
しかし、小野寺選手に対しては、ストレート系のパンチより、アッパーを軸にして戦ったほうが
よい
前傾姿勢で、絶え間なく手数を繰り出すので、アゴのガードはおろそかになり勝ち
また、顔の形を見ても、アゴが尖っていて、衝撃に弱そう
現に、昨年の「ボクレポ」ベストファイト、B級トーナメント決勝戦
対戦相手、トクホン真闘ジムの沼田選手は、低い姿勢からのフック、アッパー系の攻撃を
得意とするファイタータイプ
この試合、沼田選手のアッパーがかなりヒットしていた
技術面では、課題もあるが、とにかく、これだけの手数を繰り出して、打ち疲れない小野寺
の「スタミナ」は正に驚異
決勝戦の対戦相手は、不戦勝で勝ちあがった塚原京都ジムの小木曽選手
戦績は12戦7勝6KO4敗1分け
小野寺選手の優勝の可能性が高いと思える
今後、ぜひとも見たいカードは日本スーパーライト級チャンピオン、木村選手(横浜光ジム)
との日本タイトルマッチ
小野寺選手が、「なにくそ魂」の手数とスタミナのボクシングで、木村選手を押し切るのか
王者木村が、変幻自在の「木村術」で、小野寺選手の攻勢をさばききってみせるのか
両選手とも、キャラクターが立っていて、個性が際立つ華のあるボクサー
きわめて刺激的な日本タイトルマッチになること必至
ウエルター級準決勝 ○沼田康司(3-0判定)清田広大●
トクホン真闘ジムの沼田(8勝5KO2敗1分け)と、協栄ジムの清田(8勝8KO2敗)のハード
パンチャー対決は、2度のダウンを奪った沼田が3-0の判定勝ち(39-34 40-35 40-34)
アップライトの構えから、強い右フック、左ストレートで攻め込むサウスポー清田に対して
沼田は、けん制のジャブを出しながら、中間距離では、ブロッキングに徹底
清田の有利な中間距離での打ち合いは避ける沼田
清田の攻撃を、足を止めてのブロッキングで受け止め、後ろに、まっすぐは下がらない
自然に、両選手の距離が詰まる
すると、今まで、受けに回る一方の沼田が、清田の打ち終わりに合わせて、左右のフック
アッパー
これが、みごとに決まって、1回に2度のダウン
清田は、中間距離での手数は出ても、距離が詰まると、手数が出ない
低い姿勢で、しっかりとガードを固めて、チャンスと見るや、膝のばねを使って、体重の乗った
重いパンチを打ち込む沼田
対称的に、アップライトの清田は腰高で、ガードも甘くなり勝ち
沼田に比べて、体が固く、頭も振れていない
また、「打ったら動く」ができていない
「打ち終わり」に頭の位置が元のままであることが多く、極めて危険
打ち終わりや、離れ際、あるいは、両選手の体勢が入れ替わった瞬間を狙われて、
最終4回まで沼田にペースを奪われた
スカパーのG+によれば、今回、沼田は、対戦相手、清田のビデオを擦り切れるくらい見て
研究した、という
沼田の「作戦勝ち」の一戦
また昨年のB級トーナメント決勝の小野寺対沼田の激闘を見て、両選手のファンになった
私にとってはうれしい発見
なんと、沼田選手のトランクスに「なにくそ」と刺繍が・・・・
両選手、おそらく仲がよいのでしょうね
死力を尽くして戦ったもの同士の間に芽生える友情 深い絆
かーっ、いいっすねー、ホントに!
ウエルター級準決勝 ○養田竜輔(3-0判定)池田好治●
日本ウエルター級10位、帝拳ジムの養田(10勝7KO1敗)と、日本スーパーウエルター級
9位、宮田ジムの池田(9勝7KO3敗)のランカー対決は、本来一階級下の養田が3-0の
判定勝ち(39-37 39-36 40-35)
サウスポーの池田に対して、「Bタイト向き」の戦い方か、養田は、正面に立って、右のパンチ
を軸に、圧力をかける
下がらされる池田だが、正面の養田に、左ストレートを的アックに当て、2回、養田の顔は
腫れる
しかし、2回終了間際、「相打ち覚悟」で、正面の位置をキープし続けていた養田の狙いが
当たり、いきなりの右で、池田がダウン
キャンバスに、仰向けに倒れこんだ池田
KOかと思われたが、池田は立ち上がってくる
ここでゴング 2回終了
3回 一気に決めようとパンチをまとめる養田だが、池田は打たれ強い
逆に養田が明らかな打ち疲れに
4回 養田は、一転して、足を使って、左に回り、右フックを引っ掛ける構え
勝ちに徹して、足を使う養田を、池田はとらえ切れず、試合終了
養田が3-0の判定勝利 決勝進出を決めた
1回から、あえてサウスポーの正面に立つという、リスクの高い冒険に出たアグレッシブな姿勢
が養田に、勝利を呼び込んだ
ミドル級準決勝戦 ○保住直孝(3-0判定)木村文人●
日本ミドル級3位、ヨネクラジムの保住直孝(27勝23KO5敗2分け)と、新日本木村ジム、
木村文人(9勝4KO2敗)の一戦は、「世界の保住」の貫禄を見せ付けて、保住が3-0の
判定勝ち(39-38 39-37 39-37)
1回から先手を取って、左フック、ボディアッパーのダブルを軸にペースをとった保住
ところが、2回、木村を甘く見たのか、不用意に踏み込んだところに、カウンターの左フック
ぐらつく保住
2回は木村のラウンドか
3回 保住、積極的に手数 上下に打ち分ける左のダブルに加えて、左フックを外から、
ボディにいれて、すぐに左アッパーを内側から、アゴに突き上げる
あるいは左のダブルに右アッパーをフォローするといった「外から中への」打ち分けも披露
4回には、フック系中心の組み立てを変えて、右ストレート、右アッパーを使うなど、木村を
巧みな攻撃で翻弄し、判定勝ちをもぎ取った
ただし、懸念されるのは、保住のスタミナ
3回あたりから、かなり息が上がっていた様子で、表情も疲れが目立つ
決勝戦に向けた不安材料といえそうだ
木村は、ランカーを倒すまたとないチャンスを逸した
「相打ち覚悟」で、気持ちを強く持って、リスクを恐れないアグレッシブな姿勢が欲しかった
ミドル級準決勝戦 ○佐藤幸治(1回2分27秒TKO)鮎沢雅夫●
アマ13冠、帝拳ジムの佐藤(6勝5KO)が、新日本カスガジムの鮎沢(13勝12KO7敗)
に1回、TKO勝ち
1回 鮎沢の右オーバーハンド(右フック?)が、佐藤の顔面にヒット
プロ入り初ともいえる明らかなクリーンヒットをもらって、プロの洗礼を浴びた佐藤
右目上が裂けて、血がにじむ
しかし、この一撃が、佐藤の闘争本能に火をつけたのか、一気に反撃に
基本に忠実な上下に打ち分ける連打で、鮎沢を攻め立てて、2分過ぎにダウンを奪う
立ち上がる鮎沢に、さらにパンチをまとめ、レフェリーストップを呼び込んだ
勝った佐藤は、いままでになくハイテンション
敗れた新日本カスガジムセコンドを挑発した、とも受け止められかねない勝利のポーズを
同ジムセコンドの目前で披露してみせた
今まで、どちらかといえば、地味で、まじめな、おとなしい印象だった佐藤
この相手選手のセコンドに対する「挑発行為」は感心できないが、Bタイト参戦をきっかけに
佐藤の中の何かが変わった、プロとして、一皮剥けた、とみることもできる
決勝戦の相手は「世界の保住」
見逃せないビッグカードが実現する
さらに、アンダーカードとして、4回戦4試合、8回戦1試合が行われた
第1試合 スーパーライト級4回戦 ○守本哲平(3-0判定)勇気暁●
両選手、デビュー戦
手数と攻勢にまさる輪島スポーツジムの守本が、オーキッドカワイジムの勇気を、3-0の判定
に下した。
4回戦ボクサーでも世界王者でも、「プロボクサー」である以上、出来る限り「リスペクト」したい
というのが「ボクレポ」の基本姿勢
あまりきついことはいいたくないのだが、正直、勝った守本も負けた勇気も、プロテストに
合格したことが信じられない動き
デビュー戦ということで、緊張してしまったのかもしれないが、パンチを打つフォームから、やり
直す必要
当たり前のことだが、ボクサーたるもの、きちんと相手を見て、相手との距離を眼で測って、
パンチを打たないといけない
その当たり前のことができていない
両選手とも、メクラ打ちで、距離が合わず、当然、相手の腕と自分の腕が絡み合ったりで、
クリンチやバッティングの連続
試合はあえて、勝ちを振るなら、体の圧力、パンチ力、さらに手数にまさる守本
ジャッジ三者とも38-37で守本を支持し、守本が判定勝ち
第2試合 フライ級4回戦 ○笠原巨稔(2-0判定)山口達也●
高崎ジムの笠原(1敗)が、ヨシヒロジムの山口(2敗)に、2-0の判定勝ちでプロ初勝利
1回の山口の動きを見て、なぜ2戦2敗なのか、と疑問
スピード、バランス、手数、素晴らしい動き フェイントもたくみに織り込んでくる
1回はワンツー、あるいはワンツーからの左フック ショートレンジのアッパー、フックを決める
山口のラウンド
ところが2回 2分過ぎ 笠原の右フックで、山口、バランスを崩し、キャンバスに手をついて
しまう
明らかなダウン
どうやら、山口選手、センスはあり、動きもよいのだが、打たれ弱いよう
3回 ダウンを奪った勢いで、笠原は一気に攻めるが、山口も反撃
ただ、山口のパンチは軽い たしかに急所に当たっているのに、あまりダメージを与えていない
2回のダウンの影響か、今一歩の踏み込みがないことと、そもそもパンチ力に欠ける点がある
よう
4回は山口の攻めが光ったが、マウスピースが半分、口から出ている状態で笠原も打ち返す
私の採点は38-37で笠原
1回と4回は山口に振ったが、ダウンをとられた2回と3回は笠原に振った
ジャッジの採点は一人は38-38のドロー
しかし、残り二者が38-37で笠原を支持し、笠原がプロ初勝利
第3試合スーパーバンタム級4回戦○橋元隼人(4回1分41秒TKO)戸辺淳之介●
ワールドスポーツジムの橋元(1勝)が、デビュー戦の新松戸高橋ジムの戸辺にTKO勝ち
1回から、体重が乗った重いパンチを打ち込む橋元のペース
コーナーに詰めて、左ボディアッパー、フックで戸辺を攻め立てる
体型から判断すると、リーチのある戸辺としては、距離をとりたいところ
低い姿勢のファイタータイプ、橋元は距離をつめたいところ
ところがこの試合、なぜか距離をとるべき戸辺が、前に出て、距離を詰める
そこで、パンチを入れればまだしも、戸辺はなぜか、距離を詰めるだけで手が出ない
橋元から見ると、詰めたい相手が自分から前に出てくるだけでもありがたいのに、前に出て
一向に攻撃せず、じっとしている
こんな好都合なことはなく、橋元のショートのボディアッパー、フックが決まる
ところが、戸辺もタフで、パンチを受けながらも後ろに引かない
ただし、戸辺の側からは、手数があまり出ず、打たれっぱなしになってしまう
このような展開のまま、ずるずると4回に
そしてこの回、1分41秒、目つきが「飛んでいる」雰囲気の戸辺の様子をみたレフェリーが
試合を止めた
推測だが、デビュー戦で緊張していた戸辺は1回の橋元の強打で、パニック状態に
以後、自分でもわけのわからないテンパッた状態で戦っていたのだと思う
第4試合 フェザー級4回戦 ○三谷拓也(3-0判定)年見口尊司●
「宇宙一トランクス」がトレードマーク、セレスジム、三谷拓也(1勝1KO2敗)が、FIジムの
年見口(1勝1分け)に3-0の判定勝ち
亀田大毅選手よりも前に、「宇宙一」をキャッチフレーズとしていた三谷
戦績から見ても、また直に試合をナマ観戦した印象からいっても、高い評価は与えていな
かった。
三谷選手の前の試合の模様については 過去記事 参照ください
せっかく、フェザー級としては長身とリーチに恵まれていながら、アッパーを主体とした変則
ファイトを志向する「変わり者のボクサー」といった印象
ところが、この日の三谷は別人のような素晴らしい動き
ジャブを切らさず、左回りを徹底して、年見口の鋭いフック、ワンツーをさばいてみせる
年見口の攻勢をサイドに回って、いなして的確にパンチを入れる三谷
また、肩の力が抜けて落ち着いていて、見合っている場面でも、常にジャブを出し続けて
いるのは三谷
他方、年見口は気負いすぎ
強振するあまり、打ち終わりにバランスが崩れ、体が前につんのめったり、体勢が大きく崩れる
場面が散見
1回こそ、年見口の鋭いボディブローが冴えていたが、2回、3回は三谷のラウンド
2回 1分40秒過ぎ 三谷、右アッパーからの左フック
さらに、2分10秒過ぎ 三谷、右アッパーから、打ち下ろしの右ストレートで年見口、ぐらつく
この回、度重なるジャブと、コンビネーションのダメージから年見口の左目に腫れ
3回も 離れ際に打ち込んだり、あるいは見合っている間も、ジャブを切らさず、左目に
打ち込んでくる三谷のペース
4回は「気持ちの強さ」では負けない年見口が捨て身の反撃
1分過ぎ 年見口の右アッパーからの右フックで、三谷のアゴが上がる
しかし、この回後半、三谷も反撃
ラスト10秒は両選手、最後の力を振り絞った打ち合いとなり、試合終了に
私の採点は、38-37で三谷
1回は年見口 2、3回は三谷 4回は10-10とした
ジャッジの採点は3者とも39-38で三谷
三谷がバランスの良いジャブを軸にした基本に忠実なボクシングで勝利した
キャンバスにひざをついて、悔しがる年見口
年見口選手の試合はなぜか偶然、デビュー戦から観戦している「ボクレポ」
一戦、一戦、進歩の跡があり、パンチ力も明らかにアップしている
この悔しさを糧に、さらにボクシングの道を極めるために、頑張ってほしいと思う
年見口選手についての過去記事です。
4月3日 デビュー戦
7月17日 第二戦
第5試合 55.7キロ契約8回戦 ○三浦一馬(3-0負傷判定)鈴木航一●
日本バンタム級7位、ドリームジムの三浦(7勝5KO)が、ウイン三迫ジムの鈴木(10勝1KO
2敗1分け)に、6回8秒、負傷判定で、3-0の勝ち(59-56 60-56 60-56)
詰めたい鈴木 突き放したい三浦の流れ
三浦はコンパクトでシャープなワンツーで、クリーンヒットを重ねる
詰めたい鈴木だが、中に入ると、三浦の右アッパーを食らい、さらにクリンチで動きを封じら
れてしまう
それでも、愚直なまでに前に出続ける鈴木
しかし、三浦は絶対に、鈴木の有利な距離での打ち合いは避けて、クリンチ
離れるや、ワンツーを決め、的確にポイントアウト
この流れが6回まで続き、この回、やはり前に出る鈴木と三浦の頭が衝突
ドクターの診断は、試合続行不能
この回までの判定で三浦が勝った
三浦はとても、クレバーで、ボクシングにおける「距離」の重要さをよく理解しているボクサー
次の試合が楽しみ
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