重量級ランカー決戦!沼田、鈴木、激勝!(3.5後楽園ホール) |
「ゴールデンチャイルドボクシング VOL82 トクホンVダッシュ68」
見どころは「炎のランカー対決」と謳われたメインとセミの重量級ランカー同士のサバイバル
マッチ
メインは、ウエルター級ランカー対決
同級4位、ルイスオカモト(相模原ヨネクラジム)対同級8位、沼田康司(トクホン真闘ジム)
ルイスオカモトは、ブラジル出身の逆輸入ボクサー
戦瀬14戦8勝3KO5敗1分け 31才
やわらかいボディワークと、独特の防御勘で、相手のパンチを巧みに殺し、カウンターを
合わせててくる変則タイプの右ボクサーファイター
あの牛若丸あきべえがなかなかクリーンヒットを奪えず、逆に、カウンターを被弾
最終8回TKOで敗れたもののかなり苦戦させた試合(2006年5月5日)は印象深い
沼田康司は、昨年のBタイトウエルター級優勝者
戦績13戦10勝6KO2敗1分け 22歳
沼田を語る上で、欠かせないのは、2005年B級トーナメント決勝戦
小野寺洋介山(オサムジム)との全勝対決
この一戦については、過去、「ボクレポ」でも何度も強調したが、ガッテイ対ミッキーウオード
に匹敵するような素晴らしい内容
最前列で見て、涙を押さえきれず
以来、二人の試合は、日本国内で行われるものなら全てナマ観戦することを、その場で決断
この決断を、現在まで着実に実行している次第
右ファイタータイプの沼田だが、2006年4月1日の中川選手(帝拳ジム)との対戦で敗れた
あたりから、ボクシングの質が高まり、そのファイトスタイルが「進化」している印象
単なる「ファイター」から、対戦相手をしっかりと研究し、対策をたてて、頭を使って戦う「頭脳
派ファイター」に
パンチもただ、力任せに振り回すのではなく、強弱をつけて、コンビネーションを用いて、上下
内外への打ち分けを、心がけているように感じられる
Bタイト優勝の勢いに乗って、上位ランカー、オカモトを倒せば、いよいよ日本タイトルへの
挑戦が視野に入ってくる
果たして、沼田は、日本ウエルター級王座挑戦権争いの有力候補に名乗りを上げることが
できるのか
また、セミファイナルはミドル級のランカー対決
同級4位、鈴木典史(ピストン堀口ジム)対同級6位、中堀智永(本多ジム)
鈴木は、2004年全日本ミドル級新人王
戦績9勝7KO1敗1分け 26歳
重量級とは思えないハンドスピードを誇る右ボクサーファイター
2003年ミドル級新人王決勝で、現王者江口を下した清田(フラッシュ赤羽ジム)との新人王
同士のランカー対決では、3度のダウンを奪う大差の判定勝ち(2006年12月7日)
この清田戦に続くランカー対決となる
中堀は、2002年の全日本ミドル級新人王
戦績13勝6KO3敗1分け 25歳
ややミドル級としては、小柄な体格ながら、スピードを生かした攻防兼備の右ボクサー
ファイター
2006年7月1日、日本ミドル級王者、板垣に挑戦するが、9回TKO負けで、王座奪取ならず
今回の鈴木戦は、この敗北からの再起戦になる
ランカー対決を制し、日本ミドル級王座挑戦に前進するのは、鈴木か、それとも中堀か
また、セミセミには、2006年B級トーナメントフライ級優勝の神谷優季(ピューマ渡久地ジム)
が、「ボクレポ」一押し、白井具志堅スポーツジムの新鋭、斉藤伸之介を迎え撃つ好カード
神谷はアマ経験も豊富 B級でデビューし、昨年のB級トーナメント、フライ級を制した右
ボクサーファイター
戦績は4勝1敗 24歳
斉藤は、会場で観戦していた「ボクレポ」がそのセンスの良さに、びっくりしてしまった選手
戦績は7勝1KO1敗、21歳
はじめて、斉藤の試合を見たのは、昨年6月12日の対福島戦
この試合については、 過去記事 あります
スピード、テクニック、センスに恵まれた右ボクサーファイター
ただし、パンチ力に、難点あり
この一戦
本来、ライトフライ級の斉藤が、一階級上のフライ級、神谷に挑む
斉藤にとっては、プロキャリア最大の難敵を迎えた形
勝ち残るのは、神谷か斉藤か
全8試合の熱闘を、レポート
第8試合 メイン ウエルター級8回戦 ○沼田康司(2-1判定)ルイス・オカモト●
日本ウエルター級4位、オカモト対同級8位、沼田の一戦
トランクスには、激闘の相手、小野寺洋介山が所属するオサムジムのキャッチフレーズ
「なにくそ」の刺繍
1回から、沼田は、頭を振って前に
左のリードジャブを切らさず、ワンツー、左フックから左アッパー
あるいは、右ボディストレートから左フック
コンビネーションで打ってくる沼田が手数でリード
2回ラスト10秒に、オカモトのクリーンヒット 沼田をロープに詰める
1回は沼田 2回はオカモトのラウンド
しかし、3回以降、沼田は、しっかりとペースを握る
オカモトのパンチに、リターンをかぶせ、打ち終わりを狙い
いきなりの右オーバーハンドから左アッパー、といった躍動感あるコンビネーション
右クロスもヒット
5回、オカモト、鼻血
この回以降、沼田は左右のボディアッパーで、オカモトのボディを狙う
試合は、手数、有効打にまさる沼田が最終8回まで優勢に進めた、と私には見えた
KOし切れなかったのは、オカモトの防御技術の上手さ
ブロッキングも巧み
パンチをまともには食わず、ヘッドスリップ、ボディワークで芯をずらして、ダメージを最小
限におさえてみせる
私の判定は、79-73で沼田
しかし、公式のジャッジの採点は、一人が、78-74 と沼田につけたが、もう一人のジャッジ
は77-76
わずかに1ポイント差で沼田
さらに、もう一人は、77-76でオカモトに
2-1で沼田の判定勝ち
沼田の手数、攻勢を評価すべきか、オカモトのディフェンス技術の巧みさを、評価すべきか
一貫して、手数にまさった沼田が攻勢をとっているように見えるが、より注意深く見ると、大半
のパンチは防御されていて、有効打とはみなせない
そのように判断したジャッジもいたということ
2-1と割れた判定ながら、沼田は、ランカー対決を制し、チャンピオンカーニバルでの、
王者、湯場対挑戦者、古川の勝者と対戦が濃厚に
第7試合 セミ ミドル級8回戦 ○鈴木典史(3回25秒TKO)中堀智永●
ミドル級4位、鈴木と、6位、中堀のランカー対決
1回1分40秒過ぎ 鈴木の左フックがカウンターでクリーンヒット
チャンスと見た鈴木は、左フック、左右のアッパーで、中堀をロープに詰める
2回も鈴木の強烈な左フックが炸裂
中堀、必死の巻き返し プレスを強め、距離を詰めるが、鈴木は、入ったところにアッパー
あるいは、鋭いジャブで突き放す
この回終了
中堀、セコンドに抱きかかえられるように支えられて、コーナーの椅子に
かなり消耗している様子
そして3回 開始直後、鈴木の左フックが一閃
中堀はキャンバスに倒れこんだまま動けず
鈴木の鮮烈なKO勝ち
コーナーに駆け上がり、咆哮する鈴木
中堀は、担架で医務室に
鈴木が、チャンピオンカーニバル、江口対氏家の勝者に挑戦する有力候補に
第6試合 ライトフライ級8回戦 ○斉藤伸之介(6回1分22秒TKO)神谷優季●
昨年度B級トーナメント、フライ級優勝の神谷と、白井具志堅スポーツジム期待の斉藤の
一戦
1回 詰めたい神谷は、中に入って、ボディを打って、上に返す
しかし斉藤は、入る神谷に、距離をつぶしてクリンチ
ブレイク後、素早くバックステップして、ジャブを打っては左に回る
さらに遠い距離から、コンパクトな右ストレート
「左だけでいいから」 「頭、右に向けたら、だめ」
斉藤陣営セコンドの声
試合は、完全に斉藤のペース
3回ラスト10秒には、斉藤のショートの右ストレートが神谷のアゴを打ち抜き、ダウン寸前に
神谷は左眼の上をカット
斉藤はワンツー、さらに左フックもフォロー
神谷の前進に、カウンターの右ストレート
ふところに入られた場合も、アッパーで迎え撃ち、さらに中に踏み込まれた場合はクリンチ
6回 ダメージの深い神谷に、高速のステップインから左フック
神谷ダウン
立ち上がるも、斉藤は連打をまとめ、右ショートのストレートがヒットしたところでレフェリーが
試合を止めた
その他のアンダーカードは、6回戦2試合 4回戦3試合
第5試合 バンタム級6回戦 ○大原康明(3-0判定)舟木肇●
金子ジムの大原(6勝1KO3敗1分け)が、トクホン真闘ジムの舟木(5勝1KO4敗)に、3-0
の判定勝ち
( 60-56 58-57 59-56 )
両選手ともに、ファイタータイプ
ガードを固め、低い姿勢で頭をつけあってのインファイト
しかし、大原の手数の方が、舟木に勝る
舟木は常に先手を取られ、主導権を奪われる流れ
最終6回まで大原優位のインファイトが続く
勝敗は判定にゆだねられ、3-0で大原の勝ち
舟木は、これで、デビュー5連勝後、5連敗
第4試合 スーパーフライ級6回戦 ○梅沢亜土(3-0判定)我妻明大●
新日本木村ジムの梅沢(5勝3KO4敗)が、金子ジムの我妻(4勝4敗)に3-0の判定勝ち
( 58-56 58-57 59-55 )
梅沢は、鍛え上げられた筋肉のパワーファイタータイプ
ワンツー、ワンツーフック、左ボディアッパーはかなりの迫力
我妻はガードをしっかりと固めて、梅沢の強いパンチに耐える
2回ラスト10秒、我妻の右に合わせた梅沢の左フックがクリーンヒット
我妻、ダウン
3回 梅沢は詰めての左ボディアッパー
ただし、やや口が開き気味 スタミナ消耗の兆候
我妻は固いガードから右フック、右ストレート
4回 梅沢、明らかにスタミナ切れ 手数も減ってしまう
5回 6回 ほぼ互角ながら、梅沢の消耗ぶりが目につく展開
リードブローが不足し、身体も流れがちに
勝敗は判定にゆだねられ、4点差、2点差、1点差 3-0で梅沢の勝ち
第3試合 スーパーフェザー級4回戦 ○大図秀俊(2-0判定)中西慶太●
1戦1敗同士の4回戦
勝った方が、プロ初勝利
トクホン真闘ジムの大図が、鹿島灘ジムの中西に、2-0の判定勝ち
( 38-38 39-38 39-38 )
サウスポーの中西は、手数不足
動きが固く、ボクシングが上手いとはいえない大図だが、懸命に前に出て、手を出していた
第2試合 フライ級4回戦 ○松本伸宏(3-0判定)椎名崇夫●
金子ジムの松本が、本多ジムの椎名(1分け)に、3-0の判定で、デビュー戦を白星で飾る
( 39-37 39-38 39-38 )
リーチの長い松本に、サウスポーの椎名は距離を詰めての右フック、左ストレート
2回も中に入っての椎名の右フックが決まる
3回、劣勢の松本は、ラスト30秒に、猛然とラッシュを仕掛け、攻勢を印象付ける
最終4回も、松本はアグレッシブに前に
椎名は「狙いすぎ」か、肝心の最終4回に手数が出ない
判定は3-0で、松本の勝ち
第1試合 ライト級4回戦 ○助政桂多(3回1分9秒TKO)八木剛志●
両選手デビュー戦
トクホン真闘ジムの助政が、ヤマグチ土浦ジムの八木に、3回TKO勝ち
1回1分半過ぎ 助政が左フックでダウンを奪う
立ち上がる八木に、パンチをまとめる助政だが、オーバーペース気味で息切れ
2回は、スタミナ消耗の助政に、インサイドからの右ショートでぐらつかせた八木が優位
しかし3回、助政の右がクリーンヒット
八木のひざが落ちたところ、レフェリーが試合を止めた
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