親友(マブダチ)対決! 基樹が制す!(4.16後楽園ホール) |
「第340回ガッツファイティング」 協栄ジム主催
見どころは、なんといってもメイン
マブダチ対決 佐々木基樹対小暮飛鴻
世界王者への野望に燃え
「天上天下唯我独尊」をモットーとする佐々木選手にとって、昨年は「最悪の年」
2戦1敗1分け
3月20日に、ノーランカー山岡靖昌(広島三栄ジム)とドロー
7月17日に、同じくノーランカー飯田幸司 (ヨネクラジム) に、判定負け
( 佐々木基樹対飯田幸司 については 過去記事 あります )
2005年11月26日、世界ランカーのダウディ・バハリに、勝って、世界ランク入りした直後
の、ノーランカーの日本人選手相手の1敗1引き分け
この結果、スーパーライト級日本ランクぎりぎり10位に
さらに、昨年12月に予定されていたOPBFランカー、アスウイン・カブイとの復帰戦が肋骨
骨折により、キャンセル
12月の新人王戦スーパーライト級決勝、対戦相手の棄権により優勝した全日本新人王、
吉田真(宮田ジム)が10位にランクインした結果、佐々木はランク外に
一年で「世界ランカー」の高みから「ノーランカー」へと転落してしまう
そんな佐々木の復帰戦は、今年の2月19日
「今度こそただいまby佐々木基樹」が興行名
対戦相手は、アマ80戦以上のキャリア、プロ22勝6KO5敗、OPBFウエルター級4位の
アスウイン・カブイ
立ち上がりは、サウスポー、カブイの鋭い左に苦しんだ佐々木だが、3回以降、距離を詰め
てのボディ攻撃で、ペースを奪い、5回、右フックを打ち込んでKO勝利
「自分はいくら落ちても、また起き上がるところに、強さがあると思っています」
「(2006年は)最悪の年でした。世界ランカーから、ノーランカーに転落」
「今年は反対に、ノーランカーからタイトルをとるところまで、飛躍の年にしたいと思います」
勝利者インタビューで、今年のテーマを「飛躍」に定めた佐々木基樹
(このカブイ戦については 過去記事 あります )
佐々木の2007年第二戦は、対小暮飛鴻(八王子中屋ジム)
1974年11月26日生まれの32才
日本スーパーライト級9位 戦績は19勝8KO7敗1分け
1999年スーパーライト級全日本新人王
2001年1月6日 日本スーパーライト級王者、前田宏行(角海老宝石ジム)に挑むが、7回
TKO負け
それから、約5年半後、31歳になった小暮にとってまたとない最後のチャンスが訪れる
2006年8月5日、日本スーパーライト級タイトルマッチ
「絶対王者」木村登勇(横浜光ジム)に挑戦
木村をぎりぎりまで追い詰めた佐々木基樹の戦い方を参考にしたかのように
小暮は、頭から前に出て、距離をつぶし、木村の牙城に迫る
しかし、木村のスピード、ディフェンステクニックの前に、有効打を奪えず
巧みにさばかれ、左ストレート、右フック、左右のアッパーを打ち込まれ続け、7回TKO負け
( この木村対小暮の一戦については 過去記事 あります )
この一戦から、約8ヵ月後の2007年4月16日
小暮が日本タイトル挑戦失敗からの「再起戦」の相手に選んだのは佐々木基樹
佐々木基樹対小暮飛鴻
この一戦のキャッチフレーズは「親友(マブダチ)対決」
違うジムに所属し、同じ階級でありながら、二人はなぜか気が合い、飲みに行けば、夜を
徹して、騒ぎ合う
「グローブを吊るす前に、尊敬する基樹と殴り合っておきたい」
そんな小暮の熱い思いが、結実
ジムの意向とは別に、選手同士の思いがマッチメイクにストレートに結びついた
この二人、試合の一ヶ月前 3月12日
某焼き鳥屋で、サシで飲んでいる
以下、佐々木基樹選手のホームページ 「ボクサー日記」 から
小暮選手のコメントを引用
「基樹のことはリスペクトしてる。でも前から、こっちは格下だけど 勝手にライバルだと思ってた。すげーボクサーだけど、いつか 挑戦したかった」
「やるからに は当然勝つつもりだし、その自信もある。ごめんだけど、正直 に言わして。
俺は基樹を踏み台にするつもりだよ」
「スパーの時の俺とは違うからね。だから、絶対になめないで ほしいんだ。俺は本番になった
ら強えーから。マジで。」
「俺は弱いし頭も悪いけど、その馬鹿が馬鹿なりに一生懸命 考えて考えて考え抜いた結果
だから。 ぬかることなく、とにかくベストでリングに上がってきてくれ」
この小暮の言葉を受けて、佐々木基樹
「俺は、ますます小暮フェイフォンが好きになった」
そして、迎えた4月16日
「親友(マブダチ)対決」
佐々木は、ドラゴンボールのテーマに乗って入場
「カメハメハ」のポーズも披露
1回 低い構えから頭を前に、左右のフックで、プレスをかける小暮
しかし、佐々木は、ややアップライトの構えから、シャープな左を突いて、距離をとり、小暮を
突き放す
無駄に力まず、パワーより、スピードを重視したベテランらしい?佐々木のボクシング
力みが目立つのは、むしろ小暮の方
ひざが固い印象で、パンチにも伸びやスピードが感じられない
ラスト20秒 佐々木の左フックが入り、ぐらつく小暮
この機を逃さず、連打で攻め立てる佐々木
「勝負どころ」と見るや、チャンスを逃さず、一気に倒しに行く佐々木の詰めの厳しさは、
やはり健在
1回は、10-9 佐々木のラウンド
この回の両選手の攻防を見て、「ボクレポ」は佐々木の勝利を確信
問題は、佐々木の「スタミナ」
これさえ切れなければ
あるいは、切れる前に、仕留めることができれば
佐々木の勝ちは動かない
続く2回も、佐々木のペース
ハンドスピードが全く違う
小暮の一発に、佐々木は、二発、三発と手数をまとめる
小暮は、打ち終わりに体が前に流れ勝ちで、バランスを崩す場面が目につく
そして、3回 1分過ぎ
左フックから、右ストレートの連打で、小暮は体勢が崩れ、ロープを背に大きくもたれかかる
ロープがなければ、明らかにダウン
一気に詰める佐々木
小暮、スタンディングダウン
再開直後
佐々木は、あえて、アゴを突き出し、「打ってみろ」
壮絶な打ち合いに、乗って行きたかった小暮だが、ダウンのダメージは色濃く、反応が鈍い
佐々木はパンチをまとめて、決めに
高速のコンビネーションが小暮を襲う
ここで、レフェリーのビニーマーチンが、割って入って、試合終了
3回2分27秒、佐々木基樹のTKO勝利
敗れた小暮
ダメージから蘇生するや、佐々木に歩み寄る
がっしりと、抱擁
「最初、倒れたとき、ストップしてくれ!これ以上殴りたくないと」
リング上での勝利者インタビュー
「でも、プロとしてリングに上がる以上、最後までやらないと相手に失礼だと思うし、私情は
はさまず、最後まで詰めました」
試合中、打って来い、という仕草をしていたことについては
「最後まで力を出し尽くせ、と。魂のこもったファイトをしようといってたので、お前、そんなもの
かとという気持ちで」
小暮選手にメッセージ
「ありがとうございました。それだけです」
最後に、今年の目標をたずねられた佐々木選手
「現在、東洋ウエルター級6位。東洋チャンピオンになれるよう、頑張ります」
年内のOPBF王座奪取の野望をぶちあげた
試合の感想など聞きたいことも多くある
本人に話を聞こうとしたのだが音信不通
試合を終えると、すぐさま海外に行ってしまったそうだ
行き先は、なんと「イエメン」
中近東の油田国家
アメリカとか中国とか
そんなありきたりの行き先ではなく「イエメン」というのが、スケールの大きさ、意外性を感じ
させて、いかにも佐々木らしい
年内のOPBF王座奪取、を目標に掲げた佐々木
「最悪の年から、最高の年へ」
「ノーランカーから、チャンピオンへ」
佐々木基樹の2007年に、これからも大いに注目していきたい
この日の興行は全8試合
第一試合の東日本新人王予選から、試合順にレポート
第1試合 東日本新人王予選スーパーフライ級
○山野辺健一(2回2分49秒KO)黒須啓太●
川島ジムの山野辺(2勝2KO)が、協栄ジムの黒須(1勝1KO1敗)に2回KO勝利で、
トーナメント一回戦を突破
協栄ジムの黒須選手は、偶然、デビュー戦から見ている選手
2006年12月18日 ヨシヒロジムの高嶋選手に1回KO勝ち
2007年2月19日 津軽山龍ジムの山下選手に、判定負け
鍛えられた肉体からのパンチは、強烈(デビューの高嶋戦から得た印象)
ただし、右のガードに難があり、左フックをもらいやすい(2戦目の山下戦から得た印象)
また、やや右の引きが遅い
1回 黒須選手の右ガードに注目してみたが、この試合では、しっかり固く
対戦相手、山野辺はラスト10秒、一気に手数をまとめてみせる
2回 2戦2勝2KO、とハードパンチャーの山野辺
リーチの長い黒須に対し、ウイービングして、中に入っての攻勢
カウンターで右のクロスがヒット
黒須、ダウン
立ち上がるも、パンチをまとめられ、KO負けに
3勝3KOとなった右ファイター、山野辺の次戦の相手は、国際ジムの吉岡健一
(5戦4勝1KO1敗)
第2試合 東日本新人王予選スーパーフライ級○古川高広(3-0判定)若松真之●
協栄ジムの古川(2勝1分け)が、輪島スポーツジムの若松(2勝1KO3敗1分け)に、3-0
の判定勝ち
( 39-37 39-37 39-37 )
「勝ちに徹します」
パンフレットに書かれた古川のメッセージ
古川は、基本通りに、左のリードを切らさず、試合を支配
若松は、ガードも低く、打つときに、上体が前に大きく流れ、そこを打たれてしまう
打ち終わりを狙う的確な有効打で、古川がポイントアウト
4回、レスリング行為とみなされての減点1があったものの、ジャッジは3者とも39-37
古川が、一回戦を突破
次戦は、ワタナベジムの小松絵(3勝2KO)
第3試合 東日本新人王予選スーパーフェザー級
○由良彰悟(2-1判定)有馬啓祐●
新田ジムの由良(2勝1分け)が、協栄ジムの有馬(1勝1敗)に2-1の判定勝ち
( 39-38有馬 40-38由良 39-38由良 )
両選手、サウスポー
1回ラスト15秒、カウンターの左がクリーンヒット 由良優位
2回も由良のラウンド
3回は、ほぼ互角
4回は、最後に手数をまとめて、攻勢をとった有馬か
私は39-38で由良
ジャッジは、2-1で、由良
勝った由良は、号泣
由良の次戦は、斎田ジムの柳橋慶一(5勝1KO2敗)
第4試合 東日本新人王予選スーパーライト級
○中村賢人(4回2分TKO)高桑和剛●
山神ジムの中村(2勝1KO)が、輪島スポーツジムの高桑(1勝1KO2敗)に、4回TKO勝ち
金髪で、サウスポーの中村は、2回以降、伸びのある左ストレートで、高桑を圧倒
3回には、ロープを背負わせ、攻勢をとる
4回 連打で、棒立ちになったところ、レフェリーが試合を止めた
スーパーライト級といえば、大本命と目されるのは、国際ジムの千葉透
中村とのサウスポー対決があるとすれば、9月28日、準決勝戦の場になる
第5試合 スーパーフライ級6回戦 ○和田吉史(3-0判定)大久保鉄雄●
協栄ジムの和田(4勝1KO6敗)が、MTジムの大久保(4勝7敗1分け)に3-0の判定勝ち
( 58-56 59-57 59-57 )
初の6回戦に挑む和田
ややがたるんでいる大久保のボディに、的確にパンチを入れて、ガードを下げさせて、上に
返すコンビネーション
左ジャブも切らさず、基本に忠実なボクシングで、和田がペースを握る
しかし、和田のパンチは、手打ち気味
迫力に欠け、大久保を倒せない
勝敗は、判定にゆだねられ、3-0で、和田の勝ち
第6試合 フライ級8回戦 ○山口伸一(2-0判定)金田孝則●
OPBFライトフライ級9位、2006年A級トーナメント優勝、FIジム期待の山口(10勝4KO
2敗2分け)が、古口ジムの金田(6勝2KO2敗)に2-0の判定勝ち
常に強気の攻めが身上の山口
1回から、プレッシャーをかけ、金田を下がらせる展開
2回20秒過ぎ 山口の左フックで、金田、ダウン
立ち上がった金田に、山口は連打の猛攻
ところが、山口の左フックに、合わせた金田の右ストレートがカウンターでヒット
今度は、山口がダウン
ダウンの応酬になった2回
3回以降、終始、前に出て、プレスをかけているのは、山口
下がらされる展開の金田は見栄えは悪い
しかし、よくみると、山口のパンチをしっかりガードし、特にアウトサイドからの山口の左フックに、インサイドからの右ストレートを合わせている
山口は、強気なのはよいのだが、頭も振らずに、正面に立ちすぎる傾向
カウンターをまともにもらう場面が目立つ
勝敗は、判定にゆだねられ、2-0で山口の勝ち
第7試合 53キロ契約8回戦
○佐藤洋太(1回1分19秒KO)ゴーントラニー・ノーナイスポーツクラブ●
協栄ジムの佐藤洋太(8勝4KO2敗)が、タイのゴーントラニー(6勝1KO3敗)に、1回
KO勝ち
2006年5月15日以来の試合になった佐藤
1回 まず、ボディでダウンを奪い、立ち上がったタイ人のテンプルに右フック
ゴーントラニーは起き上がれず、佐藤のKO勝ち
ただし、ホールのリングサイド常連客からは「金返せ!」
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