佐々木基樹、土壇場力で、生き残る (6月18日後楽園ホール) |
「第342回ガッツファイティング」 協栄ジム主催
「最悪の年から最高の年へ」
「ノーランカーからチャンピオンへ」
今年2007年に、ボクシング人生を賭けた「大逆転」を狙う佐々木基樹選手
2006年7月17日、本来、一階級下のライト級ノーランカーだった飯田幸司(ヨネクラ)に
まさかの判定負け
( 過去記事 あります)
この一敗により、保持していた世界ランクを失う
年末には、予定されていたインドネシアのアスウイン・カブイ選手との一戦を肋骨負傷により
キャンセル
一方、その年の全日本新人王は、ランク10位に
この結果、日本ランクをも失う
「世界ランカー」から「ノーランカー」へ
ありえないほどの「ドラマチック」な転落ぶり
しかし、ここでくじけてしまう佐々木ではない
捲土重来
2007年を「大逆転」の年にすることを決意
2月19日、インドネシアのアスウイン・カブイ選手を5回KOに下し、OPBFウエルター級
ランク入り
( 過去記事 あります )
さらに、4月16日には、日本ウエルター級ランカーの木暮飛鴻を3回、TKOに
「親友対決」を制し、日本ランクも復活
( 過去記事 あります )
年内の目標を、自身初の、OPBF王座獲得に置いている佐々木基樹
復活ロード第三戦の相手は、ワタナベジムの柴田明雄に
この柴田、戦績は、8勝4KO3敗1分け ノーランカー
OPBFウエルター級5位、日本ウエルター級7位、元日本スーパーライト級王者の佐々木
にとっては、明らかに格下の選手
しかし、柴田選手、その対戦相手を見ると、実はあなどれない実力者だ
現日本ウエルター級5位、上石剛選手(コーエイ工業小田原)と、6回引き分け(2005年5月
15日)
現日本スーパーウエルター級5位、2006年B級トーナメント優勝の今井桃太郎選手(三迫
ジム)と1勝1敗(1勝は、2005年2月14日、2回KO勝ち、1敗は、2006年10月24日、
5回負傷判定負け)
現日本スーパーウエルター級8位、荒井操選手(草加有沢ジム)とも1勝1敗
(1勝は、2004年2月2日、4回判定勝ち、1敗は、2004年6月23日、1回KO負け)
ランカーとなっている選手と、ほぼ互角の対戦成績を残している
リーチにめぐまれ、上体も柔らかい右ボクサータイプ
もちろん、佐々木有利は否めないが、佐々木のプレスを耐え抜き、長期戦に持ち込めれば、
十分に勝機はある
ランカーへの挑戦はこの試合が初めてという柴田
「勝って、当たり前」と見られている佐々木よりは、高いモチベーションで、試合に臨むはず
順当に、佐々木が勝って、年内のOPBF王座奪取に向けて、力強い一歩を踏み出すのか
それとも、柴田が、番狂わせを起こし、佐々木基樹に、引導を渡すのか
また、セミでは、昨年の日本フェザー級全日本新人王、加治木了太(協栄ジム)が、FIジム
の中村と激突
また、セミセミには、重量級の「アマ高校六冠」大迫亮が協栄ジム移籍後、初試合
見どころたっぷりの「ガッツファイティング」の熱闘を完全レポート
第6試合 メインイベント ウエルター級8回戦
○佐々木基樹(7回負傷判定 3-0)柴田明雄●
協栄ジムの佐々木(27勝17KO7敗1分け)と、ワタナベジムの柴田(8勝4KO3敗1分け)
の一戦
1回 思い切ったステップインからの左フックが、柴田にヒット
佐々木、すかさず、右ストレートもフォロー
快調な滑り出しで、ペースは佐々木
やはり、佐々木の楽勝かと思われたが、2回、試合の流れが変わる
リーチと体格にまさる柴田が本領を発揮
距離を詰めて、入ってくる佐々木に、右ストレート、左フックを巧みに叩き込む
足を使って、打っては離れ、のアウトボクシングに徹する柴田
2回以降、一転して、柴田のペース
もともと、スタミナ面にやや不安があると思われている佐々木
回が長引くほど、不利に
なんとか中に入って、詰めて、パンチをまとめたい佐々木だが、いまひとつ、スピードに
欠け、柴田にさばかれてしまう流れ
そして、5回 ラスト15秒
柴田の右アッパー、、左フック、右ストレートがクリーンヒット
ひざが揺らぐ佐々木
この5回は、明確な柴田のラウンド
5回終了時点で、私の採点は、49-47で柴田
絶対絶命
土壇場まで追い込まれた形となった佐々木
6回 劣勢の佐々木は、左フックで反撃するが、柴田は距離をとって、左フックの打ち終わり
に、右を合わせてくる
もはや、これまでかと思われたこの回、30秒過ぎ
これ以上はない絶妙のタイミングで、佐々木の右ストレートがクリーンヒット
さらに、左フックをフォロー
ワンツーも決まり、ロープを背にして、ぐらつく柴田
佐々木が詰めて、パンチをまとめる
何かにとりつかれているかのように、にやにやと、笑みをたたえながら凄まじい表情の佐々木
レフェリー浦谷、一瞬、ストップのタイミングで二人の間に割ってはいる
しかし、柴田もなおもパンチを返してきて、試合は続行
この6回は、10-8をつけてもおかしくないほどの佐々木のラウンド
そして、7回、完全にとどめを刺しに、前に出る佐々木
佐々木のパンチが的確に、柴田をとらえる
しかし、この回2分30秒過ぎ 両選手、バッテイング
柴田選手が前頭部中央を大きく負傷
レフェリーストップ
勝敗は、判定に持ち込まれ、68-65 68-65 67-67
2-0で、佐々木の勝ち
私の判定は、67-67
5回までは、柴田のペースだったが、6回、土壇場で、佐々木が底力を見せて、柴田を
押し切った
この土壇場での逆転劇を見せ付けられて、とっさに思い出したのが、佐々木選手のHP
「ボクサー日記」 の記述
2006年5月25日 ラスベガスで行われた稲田千賢選手(帝拳ジム)と、サンタクルス選手
(メキシコ)の間で行われたWBCライト級王座決定戦を現地で観戦していた佐々木
「個人的な感想だけど、エリートの弱さが露呈したかんじ」
目前で、敗れ去った稲田選手について、こう、切って捨て
自分なら、こう簡単に負けはしない。一度、世界戦をやらせてみてくれ、とアピール
「俺はマジで、強いから」
どこがどう、マジで強いのか
自分の強さについて、語る以下の記述
「・・・んー、なんて言えばいいかな。 感触をそのまま言っていいかな?
俺が、俺でなくなる。 神が、俺に乗り移る。
体中がアドレナリンで充満し、自動的に身体が反応して動く。
自分でも不思議なくらい。
すごく速いと思っていた相手のパンチが、スローモーション
に見えたりする。
スパーで狙ってもできないカウンターを、気が付いたら
もう相手に決めている。
この状態は、もはや自分では作れない。自分の力とも思えない。
ただ俺の身体でやる限り、俺がやったことになるんだけど。
そんな感じ。
あぁー、いいよいいよ。分からなくて。 簡単に分かられたつもりになられても困るし。
でも、これが俺の強さの奥儀。 だから、俺は強いのだ。」
5回までの劣勢とはまるで別人のように
6回、それこそ何かが乗り移ったかのように、素晴らしいタイミングで、右ストレートを決めて
みせた佐々木基樹
「土壇場力」で、ノーランカーの実力者、柴田を下し、年内OPBF王座獲得という目標に、
望みをつないだ
第5試合 58キロ契約8回戦 ○加治木了太(3回2分9秒KO)中村友彦●
昨年度、全日本フェザー級新人王、協栄ジムの加治木(7勝5KO3敗)が、FIジムの中村
(6勝4KO6敗1分け)に、3回KO勝ち
FIジムの中村は、昨年8月2日、亀田興毅対ランダエタの前座で、協栄ジムのスーパー
フェザー級ランカー、松崎とダウンの応酬の名勝負を演じた実力者
しかし、加治木は、1回から、左ボディアッパーを織り交ぜつつ、上下に打ち分けて、中村
を圧倒
3回 加治木の左フックがヒット
中村、ダウン
立ち上がろうとする中村だが、ひざが言う事を聞かずテンカウント
加治木が、鮮やかなKO勝ち
第4試合 70キロ契約8回戦 ○大迫亮(3-0判定)呉必勝●
重量級アマ高校六冠、協栄ジムの大迫(2勝2KO)の移籍初戦
対戦相手、呉必勝は、韓国スーパーウエルター級5位、4勝3KO4敗
2006年4月1日には、帝拳ジムの佐藤幸治と対戦、6回判定負け
この試合、1回から、有効打にまさる大迫がリード
しかし、呉は、大迫のパンチを被弾しつつも、決して下がらず
この打たれ強さは光ったが、大迫から、的確な有効打は奪えず
勝敗は、判定にゆだねられ、79-74 79-75 80-73
3-0で、大迫の勝ち
ただし、KOではなく、判定勝ちになってしまったことからか、大迫は不本意な表情
第3試合 スーパーフライ級8回戦 ○佐藤洋太(3-0判定)殿村雅史●
協栄ジムの佐藤(9勝5KO2敗)が、角海老宝石ジムの殿村(8勝4KO3敗)に、3-0の
判定勝ち
1回こそ、サウスポー、殿村の右フックををまともに浴びる場面があったものの、2回以降
は、佐藤のペース
長身、リーチにまさる佐藤は、ボディにパンチを散らしながら、入ってくる殿村に、右ストレート
をヒットさせて、ポイントアウト
殿村は、正面に立ち過ぎていて、佐藤の右をまともにもらう位置に頭が
もっと、上体をやわらかく動かして、頭を振りながら、長身の佐藤の中に入る工夫が必要
に思えた
勝敗は、判定にゆだねられ、79-75 79-75 80-73
3-0で、佐藤の勝ち
第2試合 スーパーフライ級8回戦 ○神谷優季(3-0判定)矮松和明●
ピューマ渡久地ジムの神谷(4勝2敗)が、協栄ジムの矮松(7勝6敗2分け)に、3-0の判定
勝ち
立ち上がりから、神谷のプレスが、矮松を上回る展開
前半4回までは、手数、攻勢、有効打ともに、神谷がリード
5回から、神谷がややスタミナ消耗
ほぼ互角の展開になる
7回には、偶然のバッティングにより、神谷、左目上を負傷
壮烈な打ち合いのなか、最終8回が終了
勝敗は、判定にゆだねられ、78-75 78-75 79-72 3-0で神谷の勝ち
第1試合 ライト級4回戦 ○山崎将也(3-0判定)関根真世●
協栄ジムの山崎(1敗)が、東拳ジムの関根(デビュー戦)に、3-0の判定勝ち
長身の山崎は、リーチを生かして、ワンツーを軸に攻勢
関根は、低い姿勢から、ボディを狙うが、山崎の遠い距離からの攻撃のほうがより的確
勝敗は、判定にゆだねられ、39-38 39-38 39-37
3-0で、山崎の勝ち
山崎は、プロ初勝利
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