木村登勇、江口啓二、防衛成功!(7.21後楽園ホール) |
「第417回ダイナミックグローブ」
メインは、ダブルタイトルマッチ
日本スーパーライト級チャンピオン、木村登勇(横浜光ジム)の防衛戦
そして、日本ミドル級チャンピオン、江口啓二(姫路木下ジム)の防衛戦
木村は、WBA15位、WBC10位の世界ランカー
戦績38戦31勝15KO5敗2分け 29歳
この試合が、なんと10度目の防衛戦
V10を達成すれば、1996年に桑田弘(進光ジム)が記録した同級最長の防衛記録、10に
並ぶことに
「ボクレポ」の木村選手の過去記事
2006年8月5日に、木暮選手(八王子中屋ジム)との間で行われた7度目の防衛戦の
模様をアップ
さらに「木村術」について、自分なりに考察してみた
ご参照いただければ幸い
現在の日本チャンピオンの顔ぶれの中で、もっとも安定感のある王者といえる
今回の挑戦者は、同級7位、相模原ヨネクラジムの中村徳人
97年5月デビュー 10年以上のキャリアを持つ31歳
戦績は、22戦13勝3KO9敗
2006年3月7日 当時6位の日本ランカー、熊谷信広(フラッシュ赤羽ジム)を3-0の判定
で下し、ランクイン
その後、2006年9月19日、塩谷智之(レパード玉熊ジム)に判定勝ち
( 過去記事 あります )
2007年2月19日 小森光幸(FIジム)に判定勝ち
( 過去記事 あります )
ノーランカー2選手の挑戦を退けて、今回のチャンスを得た
愚直なまでに、手数を振るって前に出る右ファイタータイプ
ダブルタイトルマッチとして組まれたもうひとつのカード
日本ミドル級タイトルマッチは、王者、江口啓二(姫路木下ジム)の2度目の防衛戦に
戦績15戦14勝10KO1敗 26歳
唯一の敗戦は、2003年全日本ミドル級新人王トーナメント決勝戦で、清田祐三(フラッシュ
赤羽ジム)に喫したもの
ミドル級離れしたスピードと手数に、高いKO率が照明する破壊力十分のパンチを持った
サウスポー
出世試合となったのは、2005年8月16日に行われた保住直孝(ヨネクラジム)との一戦
この一戦、江口は、スピードと手数で、「世界の保住」を上回り、2-1の判定勝利
日本ランク7位から、2位に一気に上昇
さらにタイの選手を相手に、2連続初回KO勝利
日本ランク1位になって、指名挑戦権を獲得
2006年12月2日 王者、板垣俊彦(木更津グリーンベイジム)に挑戦
ダウンを奪い、3-0の判定勝ちで、新王者に
初防衛戦は、チャンピオンカーニバルの舞台
2007年3月25日 ランク1位の挑戦者、氏家福太郎(新日本木村ジム)と対戦
2度のダウンを奪われる絶対絶命の状況から、3回、カウンターの左ストレートで、KO勝ち
初防衛に成功する
今回の防衛戦の相手は、ランク9位、昨年度ミドル級全日本新人王の淵上誠
(八王子中屋ジム)
戦績11戦7勝1KO4敗の24歳
2006年12月17日 西の代表、福森智史(正拳ジム)を6回判定に下し、全日本新人王を
獲得
( 過去記事 あります )
ランク10位に
ところが、新人王獲得後の初戦、3連敗中のノーランカー、小松学(ワタナベジム)に
判定負け(2007年3月17日)
その直後の試合で、日本タイトルへの挑戦が決定した
考えてみれば、淵上選手、8回戦の試合で勝利したことがない
明らかに、時期尚早の挑戦
11戦7勝1KO、と、KO率は低い
フットワークを駆使して、手数を切らさず、判定勝ちに結びつける左のボクサータイプ
順当に見れば、チャンピオン江口の勝利
ただし、ボクシングに絶対はない
「絶対王者」木村に挑む31歳、中村徳人
江口に挑む昨年度新人王、淵上誠
大番狂わせ(ビッグアップセット)はあるのかどうか
7月21日ダイナミックグローブの模様を、完全レポート
第7試合 日本スーパーライト級タイトルマッチ
○王者、木村登勇(7回1分3秒TKO)挑戦者、中村徳人●
1回から、木村は、左右のアッパーを織り込みながらのコンビネーションを上下に
ノーモーションの左ストレート、返しの右フックも冴えて、ペースを握る
挑戦者、中村は、しっかりとガードを固めて、中間距離での打ち合いには付き合わず
距離を詰めての「右」に活路を模索
この中村の戦い方は間違ってはいないはず
9度の防衛戦で、もっとも苦戦したのは、2005年3月5日に行われた佐々木基樹(協栄ジム)
との一戦
詰められての接近戦を強いられ、終盤はスタミナも失速しダウン寸前に
2-1と僅差の判定勝ちで、かろうじて王座を防衛した
カウンターの巧者、木村に対しては、「中間距離での打ち合いは避けて」
「詰めての接近戦」で、スタミナと打たれ強さの勝負に持ち込む
これが、「絶対王者」木村に対するもっとも適切な戦い方
2回 早くも木村の有効打で、中村の右眼に腫れ
ところが3回、中村が果敢に反撃
いきなりの右を打っては、がっちりとガードを固め、そのまま詰めて、ボディ攻撃
「ガードをしぼれ!」
中村陣営セコンドから何度となく叫ばれた指示
この回は、中村のラウンド
しかし、4回 木村のコンビネーションが次々に炸裂
一方的に打ち込まれ、中村の右眼はさらに腫れあがる
5回には、ドクターチェックの要請
このままではTKO負けに
開き直った中村は、6回、捨て身の反撃
ガードを固めて、まっすぐ前に
詰めて、ショートの右
1分半過ぎ この右が、強くヒット
この回は、やや中村が優位
しかし、7回 1分過ぎ 中村陣営セコンドからタオル投入
木村のTKO勝ちに
突然のタイミングでのタオル投入だったが、相模原ヨネクラジム陣営は、中村の右眼の
深刻な負傷を、ジェスチャーで示唆
眼窩底骨折の疑いありと判断したようだ
「出来は80点ぐらい」
リング上での勝利者インタビューに答える王者、木村
「アッパーと、ボディを打てましたから」
「(中村選手は)挑戦者らしい挑戦者。打たれても打たれても、ひるむことなく前に
向かってきました」
敗者中村のファイトも称えてみせる
次の防衛戦に勝てば、V11
日本最長防衛記録に
「記録は二人よりも一人がいい。頑張ります」
桑田弘(進光ジム)の記録を抜いて、V11の新記録を樹立する意欲を表明
「一戦一戦、勝つことを目標にしたい」
と、力強く語り終える
もはや日本に敵なし、の木村
なんとか夢の世界戦を、と思うのだが、階級が階級だけに、実現は困難を極める
木村陣営は、次の試合も日本タイトル防衛戦とする意向
新最長防衛記録のかかった次のタイトル戦
「ボクレポ」は、日本スーパーライト級8位、6戦6勝6KO、アマ三冠の帝拳ジム、亀海選手
と戦ってもらいたいと思う
第6試合 日本ミドル級タイトルマッチ
○王者、江口啓二(3-0判定)挑戦者、淵上誠●
王者、江口、挑戦者、淵上、ともにサウスポー
1回から江口が圧力
頭を振って、左ボディストレート、右フック
いきなりの左から、攻撃を組み立ててくる江口
淵上は、ただ下がるだけ
4回まで、江口の一方的なペース
足を使う淵上に、上にばかり集中せずにボディを狙う江口が有効打、攻勢ともにリード
5回 淵上の左ストレートがヒット
しかし、後が続かず、江口の圧力の前に、下がらされてしまう
9回 劣勢の淵上が、ついに前に
ショートの右フック
さらに、左ストレートが、江口のアゴに
しかし、江口も前に出る淵上に、カウンターの左
この左は、かなり効いたようで、淵上の動きが一気に鈍る
最終10回 ポイントの劣勢を自覚してか試合全体を通じて、もっともアグレッシブな淵上
しかし、9回に負った左カウンターのダメージとスタミナの消耗により淵上、フラフラ
試合終了
勝敗は、判定にゆだねられ、99-94 99-93 99-93
3-0、大差の判定により、江口の勝利
2度目の防衛に成功
第5試合 ライト級8回戦 ○川村貢治(3-0判定)高橋秀鎮●
2005年フェザー級全日本新人王、日本フェザー級10位、横浜光ジムの川村(12勝5KO
1分け)が、2階級上のライト級で、江坂ジムの高橋(6勝4KO2敗1分け)と激突
高橋は、初の8回戦で、日本ランカーとの対戦もはじめて
1回から、川村は、パワフルなアッパー、フックを叩き込み、ペースを握る
上下の打ち分けも出来ている川村
しかし高橋は一方的に打たれながらも、耐えつづける
基本的には、高橋の打たれ強さを評価すべきだろうが、川村のパンチの大半がオープン
だったことも要因
最終8回まで、一方的な川村ペース
しかし、8回40秒過ぎ 高橋の左フックがクリーンヒット
打ち疲れから、スタミナ失速の川村は、苦しげな表情
さかんに時計を見る
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ、79-74 80-74 80-74
3-0で、川村の勝ち
第4試合 フェザー級6回戦 ○小野澤洋次郎(3-0判定)設楽賢太●
ワタナベジムの小野澤(3勝2KO5敗3分け)が、日東ジムの設楽(4勝3KO5敗)に3-0の
判定勝ち
( 58-57 59-55 59-55 )
初の6回戦の小野澤
低い姿勢で、前に出ては、フックを振るうファイタータイプの設楽に対し、冷静に打ち終わりを
とらえて、有効打を積み重ねる
設楽は、あまりにガードが悪く、前に出ては、打たれる流れ
勝敗は判定に
58-57 59-55 59-55 1差、4差、4差、で、小野澤の勝ち
第3試合 スーパーバンタム級6回戦 ○田内絹人(1回54秒TKO)水落清俊●
横浜光ジムの田内(5勝3KO2敗1分け)が、日東ジムの水落(5勝1KO5敗1分け)を1回
54秒、TKOに下す
ワンツーから、返しの左フックをフォローする田内
開始20秒過ぎ 早くも右、で、水落からダウン
立ち上がった水落
しかし、田内はコーナーに詰めて、連打
レフェリーストップを呼び込んだ
田内が、1回54秒、TKO勝ちで、初の6回戦を白星で飾る
第2試合 スーパーフェザー級4回戦 ○原之園隆太(3-0判定)蛯沢走●
大橋ジムの原之園(4勝2KO5敗)と、八戸帝拳ジムの蛯沢(3勝2KO5敗)の一戦
右ファイタータイプの原之園が、1回から攻勢
2回には、左ジャブから、右アッパーで、蛯沢の頭を起こして、ワンツーフックでダウンを
奪う
3回 体勢を立て直した蛯沢は、原之園の打ち終わりに、パンチを入れるが、原之園は
かまわず前に
最終4回は、蛯沢が有効打にまさる
蛯沢は、アップライトの構えで、ワンツー中心
アマチュアタイプのきれいなボクシング
ただし、ややスタンスが広く、重心が後ろにかかりすぎていて、右のパンチに体重が乗らず、
迫力不足
かまわず前に出るファイタータイプの原之園のがむしゃらなボクシングに押されがちに
勝敗は、判定にゆだねられ、38-37 39-37 39-37
3-0で、原之園の勝ち
第1試合 ライト級4回戦 ○李豪哲(3-0判定)成田陽介●
ワールドスポーツジムの李(1勝1KO1敗)が、小熊ジムの成田(2勝1KO4敗2分け)に
3-0の判定勝ち
李は、パンチもあり、ガードも固い
成田は、1回、2回と、飛び跳ねるようなフットワークで、李の攻撃に対処
ただし、フットワークの基本は、やはり、すり足であるべき
このように、ぴょんぴょんと飛び跳ねていては、攻撃に移る場合に、下半身が安定せず、
体重の乗ったパンチが打てなくなってしまう
攻防一体ではなく、攻防分離に陥りがちに
3回から、成田は、劣勢を跳ね返そうと足を止めて、打ち合いに
ただ、パンチの威力、的確さは、李が上回る
勝敗は、判定に
39-37 40-37 40-36 3-0で、李の勝利
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