WBC世界フライ級タイトルマッチ
内藤大助対亀田興毅
試合直後に私の採点とともにアップした投稿記事に対して
「い」様より以下のコメントをいただきました
Commented by い at 2009-11-30 07:16 x
実力の不明な相手と戦っていっても、実力のはっきりわかった日本人ばかりと対戦してた
選手より強くなれることが証明されてしまいました。
私の見る目が無かったです。
これに対する私のコメント
Commented by 管理人 at 2009-11-30 09:47 x
>い さま
コメントありがとうございます。
亀田選手はとにかくボクシングに専念して練習する中で実力を
高めてきたのです。
勘違いがあると思いますが、実力は試合で高めるものではありません。
日々の練習で高めるもので試合は練習で培った実力を発揮する場
だと思います。
マッチメイクの戦略論と選手本人の実力アップの戦略論は分けて
論じられるべきではないでしょうか?
ちょうどよい機会なので
マッチメイクと日々の練習およびボクサーの実力について
ここで私の考えをまとめておきたいと思います。
異論反論大歓迎です
私はボクサーの「実力」とは基本的には
日々の練習によって培われるものだと思います。
そして「試合」とは
練習によって養成された実力を発揮する場だと思います。
受験勉強にたとえれば
日々の勉強が「練習」
本番の試験が「試合」です
スパーリングは実戦形式の練習という意味で「模擬試験」とたとえられるでしょう
東京大学に合格する「実力」がないのに
いくら受験してみても意味がありません。
ところがボクシングにおいては
ハードなマッチメイクの中でボクサーの実力が飛躍的に向上するという実例が
多くあります。
この事実から
日々練習を積み重ねていてもそれだけでは強くならない
「ハードな試合」をしないと本当の実力はつかない
という主張が生まれます
しかし私はこの主張には勘違いがあると思うのです
一言でいえば因果関係を取り違えていると思います。
要するに
「ハードな試合」が直接の原因となって実力が培われるのではなく
「ハードな試合」が日々の練習に熱心に取り組む「モチベーション」
になって
選手の実力が培われる
あくまでも
選手の実力アップの原因になっているものは
日々の練習だと思います
一般に「かませ」タイプの対戦相手とばかり試合をしていると
普通は日々の練習に身が入らなくなってしまいます。
危機意識が生まれないために練習に取り組むモチベーションが大幅に
低下します
その結果として実力が伸びなくなってしまいます
しかしマッチメイクがハードであれば
選手は危機意識を持ちます
真剣に日々の練習に取り組むようになります
その結果として「実力」が向上しますまた「ハードなマッチメイク」を乗り越えて勝利すると
一気に「自信」がつきます
「スパーリング王」という俗語があります
野球でいわれる「ブルペンエース」と同じ意味です
スパーではとても強いのに
なぜか「試合」になるとその実力が発揮できないというタイプの選手です
そういうタイプの選手に共通するものは「自信」のなさです
ところがそういうタイプの選手が
ハードな試合に勝利することで見違えるように強くなることがあります
これは「ハードなマッチメイク」が直接の原因となって実力がアップしたのではなく
「ハードなマッチメイク」を乗り越えたことで「自信」がついて
日々の練習で培われていたにもかかわらず、試合ではほとんど発揮できなかった
本来の「実力」を
発揮できるようになった、と解釈すべきだと思います。
「ハードな試合」に勝利すると
選手はますまずボクシングが面白くなって「やる気(モチベーション)」も高まり
「自信」もついて
さらに「日々の練習」に意欲的に取り組むようになって実力がさらにアップする
ことになります
「ハードなマッチメイク」と「日々の練習」は車の両輪のように相い補う関係にある
といえるでしょう
ところが
亀田家の場合はマッチメイクはハードとはいえません
通常は「ハードなマッチメイク」がないと選手の実力は伸びないものと思われます
「日々の練習」に取り組む「モチベーション」や自分の実力に対する「自信」が
養われないと考えられるからです
しかしながら亀田家の場合
「ハードなマッチメイク」がなくても
選手は高いモチベーションを保ち続けて
自信を揺るがすことなく
真剣に「日々の練習」に取り組むことができて
その結果世界チャンピオンにふさわしい「実力」を身につけることができた
内藤選手を下したあの一戦を見る限り
こう考えなければならないと思います
なぜ亀田家の場合は
「ハードなマッチメイク」をすることなく
選手の「モチベーション」と「自信」を維持させて
「日々の練習」に真剣に取り組ませることが可能になったのか
いいかえれば
「亀田流世界チャンピオン養成法」の要諦はなにか
私は
彼らの「親子愛」 「絆(きずな)」の強さ
さらに人生に一切の「保険」をかけず
「背水の陣」でボクシングに取り組んでいること
ボクシングで成功しない限り自決せざるを得ない
それくらいの覚悟と切迫感をもって
日々「崖っぷち」で生きていること
これに尽きると思います
3人の子供すべての人生をボクシング一筋にかけさせる
そして親がトレーナ-となって愛情を注ぎ24時間ボクシングに専念させて
日々の練習に取り組むためのモチベーションと自信をつけさせる
世間一般の常識から見ればありえない生き方でしょう
しかしここにこそ
私は亀田家の強さの秘密があると思うのです
以下は白夜書房発行の「ボクサー亀田興毅の世界」と題する
ムック本からの引用です
「ここで甘えを出したらほんまに可哀想なことになる。厳しいボクシングの世界で
勝ち残っていかなあかんねんから、あいつら」
亀田史郎氏の言葉です
「練習はしんどいもんやと思うよ。楽やったら練習ちゃうで。俺は親やからな。責任が
あるねん。」
「だから中途半端なことはできんねん。
俺らはいつも崖っぷちやからな」
「俺のやり方は他人さんが見たら10人が10人とも間違うてる、というかもしれん。けど
その人らに飯食わしてもらうのとちゃうからな。俺らは自分で飯食うために一生懸命な
んやで」
息子たちを高校に行かせずボクシングに専念させていることについては
「ボクサーに通信簿なんていらんがな。そやろ。勉強もようならなあかん。ボクシングも
強うならなあかん。そんなん無理やで」
「やるからには中途半端はいかん。ボクシングせえ。勉強せえ。そんなの無理や。
何か削らんと無理や。そういう理屈やな。」
またボクサーとして強くなるために何が必要かについては
こう語っています
「毎日、続ける努力、根性、これだけやろ。強くなる秘訣は」亀田家が飛びぬけて練習熱心なことは確かです。
以下は19歳当時の亀田興毅選手の発言です
「(普段の体重は)だいたい54キロくらい。1日2食で少し食べる量を落とせば
フライ級の体重になるよ」
「絶食なんてせえへんよ。練習をアホみたいにやってるからな。俺ら。午前3時間
午後も3時間から4時間。めっちゃ長いねん。一日が」
「サラリーマンの人でもたまに会社に行きたくないと思うときもあるやん。俺もある
で。でもこれが仕事やからな。」
「やらな飯食えんからな。
この家に生まれたからにはこれはせなあかんことや」
もっとも普通のボクシングジムにおいて
「亀田家流世界チャンピオン養成法」を完全な形で取り入れることは難しいでしょう
所属選手に24時間ボクシングに専念するように強制することはできません。
ジムと選手の関係はたとえ信頼と愛情で結ばれていたとしても
「親子の絆(きずな)」を超えるものではないでしょう
仮に選手が24時間ボクシングに専念することに同意したとしても
たとえばその選手がアルバイトで生計を立てている場合
その間の生活費はどうするのかという問題が発生します。
またトレーナーも特定の選手にのみかかりっきり、というわけにはいかないでしょう
またもや小堀選手の話になってしまいますが
2007年6月から2008年5月19日に世界タイトルをとるまでの約1年
小堀選手は亀田家とよく似た環境におかれていたかもしれません。
詳しい事情は拙文
「小堀佑介世界獲りの秘策は・・・お引越し」 を一読ください
一年だけの限定という条件付きながら
小堀選手は田中トレーナーの自宅の裏手に「お引越し」をさせられて
24時間ボクシング漬けの毎日を送ることになりました。
もうロードワークやジムワークを「サボる」わけにはいかなくなりました
アルバイトなどもちろん厳禁です
日々の食事は田中トレーナーが親代わりになって面倒をみていました
束縛を嫌う性格の彼にとっては
大変なストレスになった面もあったと思います。
でもこの一年間それこそ「崖っぷち」の覚悟で
夢に向けて日々努力したことで世界チャンピオンになれたのだと
私は確信しています。
話を亀田選手に戻しますね
内藤選手に勝った現在においても
なお一部にバッシングする人たちがいます
でも彼ら亀田家が夢に向けて「崖っぷち」の覚悟で努力する人たちであるということは
きちんと評価すべきだと思います。
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