「安全パイ」の逆襲! (3.10アンタッチャブルファイト12) |
「アンタッチャブルファイト12」 川島ジム主催
川島ジムが誇る二人の日本ランカーが登場
一人はセミに登場の塩谷悠
日本スーパーバンタム級10位
長いリーチを駆使しての正統派右ボクサータイプ
戦績21戦19勝10KO2敗
下田選手(帝拳ジム)が持っていた日本スーパーバンタム級王座に挑戦し惜敗
その後二連勝
ところが2008年10月9日の田内絹人(横浜光ジム)にダウンを奪われまさかの
判定負け
しかしランク落ちにはならず
今回は田内選手に敗れたあとの大事な復帰戦になる
対戦相手、東海ジムの柴田選手は戦績28戦9勝1KO17敗2分
大きく負け越していてKO率も低い
もう一人の川島ジムが誇る日本ランカーは小林タカヤス
日本フライ級10位
戦績17戦13勝2KO2敗2分け
柔軟なボディワークを駆使
多彩なフェイントが光る右ボクサーファイター
対戦相手、新田ジムの柳直大選手は32歳のベテラン
戦績15戦8勝4KO7敗
1998年のA級トーナメントフライ級準決勝で秋田選手(協栄ジム)に判定負け
以来試合から遠ざかること約10年
2008年7月28日 ジェット勇(FIジム)戦で再起
判定負けを喫するが同年11月11日の吉岡健一(国際ジム)戦で判定勝利
約10年のブランク明け3戦目にして日本ランカーとの対戦
言葉は失礼ではあるが
この柳選手も、塩谷選手の対戦相手、柴田選手も
「安全パイ」として選抜された印象
果たして、塩谷、小林の川島ジム日本ランカーは順当に白星を飾るのか
それとも「安全パイ」として選ばれた感のある柴田、柳
二人の意地が番狂わせを引き起こすのか
さらにセミセミには「無敗の喧嘩パンチャー」
「ボクレポ」注目の赤穂亮選手(横浜光ジム)が登場
( 過去記事 あります )
日本スーパーフライ級5位
戦績12戦11勝6KO1分
スタミナとディフェンス面に課題があるとはいわれながらも
パンチの迫力、攻撃の破壊力はスーパーフライ級においては出色
対戦相手は川島ジムのノーランカー永安潤之介選手
戦績15戦10勝3KO5敗の右ボクサーファイター
2005年東日本バンタム級新人王戦準決勝で岩間選手(横田スポーツジム)
に4回判定負け
この悔しさをバネに2006年二連勝
2007年4月には、格上の鈴木将選手(横浜光ジム)を下す番狂わせ
さらに9月には岩間選手に雪辱
2008年1月にはワタナベジムの今西秀樹
5月には帝拳ジムの石本康隆と対戦
判定負けを喫したがランカークラスの実力者であることはアピールできた
「喧嘩パンチャー」赤穂の豪快なKOシーンが見られるのか
それともキャリアで上回る永安が初のランク入りを果たすのか
川島ジム主催 「アンタッチャブルファイト12」の熱戦をレポート
第3試合 セミセミ スーパーフライ級8回戦 ○赤穂亮(2-1判定)永安潤之介●
1回から赤穂はワンツー、さらに左ボディで攻め込む
しかし永安は「ハードパンチャー対策」として
①しっかりとガードを上げてあごを引きグローブで顔面を覆い
②ガードを固めたまま頭の位置を下げて距離を詰めて密着、クリンチ
ハードパンチャーに対して後ろに下がるのは愚策
逆に前に出て攻撃のスペースをつぶし
赤穂のパンチを殺していく戦法か
オフェンス面では
①遠い距離では先手を取って、丹念にジャブをつきサイドにステップ
②赤穂の攻撃が始まるや、ガチガチにガードを固めた体勢で前に
赤穂の胸に頭を預け、密着しそのままボディを打ちアッパーをアゴに
他方、赤穂は迫力あるパンチで押し込み
左ボディアッパーをヒットさせガードの隙をつく
赤穂がラッシュをかけると永安は守勢一方
赤穂はガードの上を叩くパンチが多く、クリーンヒットは少ないが、攻勢を印象
付ける
私の採点は
1回 赤穂 2回 永安 3回 赤穂 4回 永安
2回1分過ぎ、永安のアッパーが赤穂のあごを跳ね上げれば
3回 赤穂が猛ラッシュ
前半4回を終えた時点でほぼ互角の展開
5回はどちらともいえない微妙なラウンド
赤穂の大振りが目立つが永安も受けに回らされ攻勢に転じられない
6回 前に出る永安を赤穂は強く押し返す
永安は後退し距離が一瞬開く
すかさず赤穂右フックをクリーンヒット
しかしレフェリー浅尾は「プッシング」の注意
私は赤穂の攻勢を評価
7回は明確な赤穂のラウンド
サイドにステップをとっての右がヒット
永安は打たれ疲れか手数に乏しくペースを握れない
最終8回 永安のカウンターがヒット
しかし赤穂も猛ラッシュ
試合終了
私は78-75で赤穂
勝敗は判定にゆだねられ77-76永安 78-76赤穂 77-76赤穂
2-1のスプリットで赤穂の勝ち
赤穂の強打を巧みなデイフェンスでかわし続け、有効打を奪っていた永安だったが
守勢に回らされる展開が続き決定的な攻勢をとれず
完全にペースをつかむことができなかった
スタミナを切らせることなく最後までプレスをかけて手を出し続けていた赤穂の攻勢が
評価されての2-1の判定勝ち
無敗を守った赤穂の戦績はこれで13戦12勝6KO1分け
第4試合 セミ スーパーバンタム級8回戦 ○塩谷悠(3-0判定)柴田義正●
3回までは順当に塩谷のペース
リーチにまさる塩谷はアップライトの構えからワンツー
アッパー
4回に波乱
終了間際、柴田の右フックがカウンターでヒット
塩谷、ダウン
かろうじて立ち上がるがかなり効いた印象
ゴングに救われる
5回 狙いすぎて手数が減る柴田に対し塩谷は反撃
2分過ぎにはアッパー、ストレートが決まり柴田がふらつく
塩谷、たたみかけて柴田にロープを背負わせる攻勢
ところが6回
またもや柴田の右がクリーンヒット
ふらつく塩谷
この回は明確に柴田のラウンド
続く7回は塩谷が有効打にまさる
8回はほぼ互角
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ
77-74 77-75 77-75
3-0で塩谷の勝ち
タイトル挑戦経験もある日本ランカーとしては不出来の一戦
塩谷の顔に笑みはない
気になったのはパンチが手打ち気味に感じられたこと
踏み込んで腰を入れて打つパンチが少なかった
また後半大きく口が開き、足元がふらつく場面もありスタミナ面にも課題を残した
第5試合 メインイベント フライ級8回戦 ○小林タカヤス(3-0判定)柳直大●
前半4回までは圧倒的な小林のペース
頭を振って、フェイントを織り交ぜての攻撃で有効打を積み重ねる
4回には鮮やかな左フックでダウンを奪う
5回一気に決めにかかる小林
しかし柳は倒れない
逆にじりじりと反撃
6回 打ち疲れた小林はペースダウン
柳はとにかく前に出て手数を振るう
打たれても下がらない
7回 柳のプレスは止まらず
小林が自分からクリンチで逃れる場面が増える
6回 7回 ダウンを奪われたはずの柳が優勢に
最終8回 やはり柳は前に出て攻勢をとる
スタミナの消耗もあり、小林はペースをつかめず
接近戦での打ち合いに巻き込もうとする柳に手を焼く展開
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ
77-75 77-75 78-75
3-0で小林の勝ち
この日のホールは空席が目立った
閑散としていた
セミもメインも拮抗した力を持った選手同士のサバイバルマッチといったものではなく
ボクシングファンの食指が動かなかったのだろう
しかし試合内容は熱かった
ほぼ100%負けるだろうと思われた側がやはり負けた
二人の日本ランカーは予想通り勝利した
しかし決して楽な試合ではなかった
塩谷は9勝17敗の柴田からダウンを奪われ、最終8回は足がもつれ目もうつろだった
そして小林も約10年のブランクから復帰した柳の必死の頑張りに押され後半は苦戦
を強いられた
柴田と柳
二人は最後まで決してあきらめず真っ向から噛み付いていった
「安全パイ」として選ばれたはずの二人の意地に
閑散と冷え切っていた後楽園ホールは熱く燃えた
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】