「七転八起 ウラジミール・クリチコIBF王座に (4.24放送)」 |
欧州ミドル級タイトルマッチ (4月22日ドイツ・マンハイムSAPアリーナ)
○セバスチャン・シルベスター(3回TKO)スティーブン・ペンドール●
「ハリケーン」の異名を持つ欧州ミドル級王者セバスチャン・シルベスター(WBC同級9位、WBA12位、IBF8位 21戦20勝8KO1敗)が、英国の挑戦者スティーブン・ペンドール(25戦24勝11KO1敗)を3回TKOで下し、二度目の防衛に成功
IBFヘビー級タイトルマッチ(4月22日ドイツ・マンハイムSAPアリーナ)
○ウラジミール・クリチコ(7回41秒TKO)クリス・バード●
IBF王者「ラピッド・ファイヤー」クリスバード(バルセロナ五輪ミドル級銀メダリスト、元WBOヘビー級王者、42戦39勝20KO2敗1分)と、挑戦者「スティールハンマー」ウラジミール・クリチコ(アトランタ五輪スーパーヘビー級金メダリスト、元WBOヘビー級王者、48戦45勝40KO3敗)の激突。
「すべてかゼロか」と銘打たれた対決となったこの一戦は、リーチと体格に勝るクリチコが、左ジャブでバードを突き放し、バードが接近するとクリンチで圧迫。
終始、自分の距離で戦うクリチコが優位に立ち、4回、ワンツーをクリーンヒットさせて、王者バードからダウンを奪う。
さらに7回、ワンツーから右をフォローし、再びバード、ダウン。
立ち上がるも、バードのダメージは深く、レフェリーストップ。
ウラジミール・クリチコが新王者に。
ヘビー級6回戦 ○アレクサンドル・ポべトキン(3-0判定)フライデイ・アウナイア●
前座で行われた注目の一戦。
アテネ五輪スーパーヘビー級金メダリスト、ロシアのアレクサンドル・ポべトキン(6戦全勝5KO)がフライデイ・アウナイア(元NABA北米ヘビー級王者、26戦20勝11KO4敗2分)を3-0の判定で下す。
WOWOW実況チェック
高柳アナ「スティールハンマー、クリチコの強打が、炸裂するのか、それとも、ディフェンスマスター、バードのテクニックが勝るのか」
IBF世界ヘビー級選手権、王者クリスバード対 挑戦者ウラジミール・クリチコ
両者5年半ぶりの再戦。その試合はクリチコが勝利している。
この両者の絡み合った「因縁」を解説するジョーさん
「ウラジミールの兄、ビタリクリチコに、バードが挑戦。(ビタリ・クリチコの)肩の負傷で、勝ったわけです。(2000年4月のWBOヘビー級タイトルマッチ、9回TKO)
その仇を、ウラジミールがとった。(2000年10月WBOヘビー級タイトルマッチ12回判定)
ですから、クリチコ一家とバードは1勝1敗なんです。
今日、決着がつくわけです。
因縁の再戦でもあります。
クリチコはそのあと、タイトルを失った。バードはIBFですけれども、タイトルを取り返した。今回が5度目の防衛戦。二人の間には、運命の糸というか、因縁があるんですね。」
タイトルから遠ざかる事3年のウラジミール・クリチコについて、浜さん
「タイトルを(クリス・バードから)とった時には、クリチコ時代、続くと思いましたけどね。
番狂わせのコーリー・サンダース戦(予想外のKO敗け)とか、また、よくなってきたかと思ったら、ブリュースターにもまたKO負け。
これは痛かったですよね。このまま終わってしまうのか、と思ったら、また盛り返して、サミュエル・ピーターにダウンはとられたけど、最後、KO寸前まで、持っていったところなんか、技術はもちろん精神面でも強くなったでしょうからね。
今のクリチコがいろんな面で一番強いと思いますけどね」
今回はゲストにWBC世界バンタム級王者、長谷川穂積さん。
まずは前座の、欧州ミドル級選手権戦。
王者セバスチャン・シルベスター(ドイツ)対挑戦者スティーブン・ベンドール(英国)
「ハリケーン」の異名を持つ王者セバスチャン・シルベスターについて、ジョーさん
「この選手は、ミドル級としては、体格が小さいんです。身長171センチ。ところが、ストレート・パンチャーで、当てるのがうまいですね」
挑戦者ペンドールは25戦24勝1敗の戦績を誇る、英国人
ゲストの長谷川選手、あるいは現役時代の浜さんと同じサウスポー
当初は、ゼブスキーという選手が挑戦するはずが、病気で、急遽、ベンドールが挑戦者になったという。
高柳アナ
「こういう急なチャンスこそ、自分のものにしていかなければならない選手達ですからね」
浜さん
「うーん、本当に、こういった運というのはですね。なかなか、めぐってこないですからね。この運をものにするかどうか、まあ、実力も運のうち、とよくいいますからね」
実力も運のうち???? 運も実力のうち、ならよくいいますけど・・・
高柳アナ「そうですねー」
そうですねー、で済ませちゃっていいのでしょうか・・・・・いや、いいんです。
浜さんの直前コメント
「チャンピオンのこのシルベスターですよね。世界タイトルに向けてのある意味、前哨戦ですから。ミドル級というと強いですから、その中に割って入ることができるかどうか、お手並み拝見といきましょうか」
高柳アナ「久しぶりに飛び出しましたお手並み拝見、セバスチャンシルベスター」
1回
しっかりとアゴをひいて、ガードを固めて、距離を詰めて、強い左ジャブを繰り出すシルベスター
浜さん「挑戦者ベンドール、もう少し、距離取りたいんでしょうけどね。まだ、ほぐれない感じ、ありますね。チャンピオンは今まで、準備してきた分、プレッシャーのかけ方はいいですね」
ジョーさん、浜さんとも、王者シルベスターの10-9
浜さん「(シルベスターは)自分の射程距離になるまで、手を出さないで詰めていって、射程距離になったら、さっと、手が伸びますね。スピードのある選手ですよ。挑戦者、もっと距離を取りたいんでしょうけど、ちょっと動けない状態がありますね」
2回
浜さん「打たなければ距離、詰められますから、ベンドールがあわてて打つところ、カウンター取られる状態、いまありますね」
「〔挑戦者ベンドールは〕もう少し、動きながらの右、(が必要・・・)」
シルベスターの右ストレート、カウンターでヒット。
身を預けるベンドールをはらいのけるシルベスター。
ベンドール、体勢が崩れ、もんどり打って肩からキャンバスに。
浜さん「あれあれ・・・ずいぶん飲まれてますね」
ゲストの長谷川選手
「チャンピオンのシルベスター選手のジャブが当たってるんで、サウスポーの選手が当てているならわかるんですけど、逆に、右の選手が当ててるんで・・・」
浜さん
「大体、サウスポー相手に、左のジャブをうまく使う選手というのは少ないですけどね」
2回も両者10-9で、王者シルベスターのラウンド。
ジョーさん「このチャンピオン、ワンツーだけでは終わりませんね。ワンツー、スリー、フォーまで打ちますね。」
3回
プレスを強めるシルベスター
ロープに詰められるペンドール
回転の速いパンチが次々ヒット
レフェリーのツミナーレが試合をストップ。
3回TKO勝ちで、シルベスターが2度目の防衛に成功
長谷川選手「1回からチャンピオンシルベスター選手のペースだったんで、最初からプレッシャー、かけられすぎたかな、という感じでしたけど」
浜さんは、シルベスターは、さらに伸びる選手、と高い評価
「左の使い方がいいですからね。もっと、幅のあるいろいろな攻撃のパターンを作れるでしょう。ディフェンスも固いですからね。そう簡単には打たれない選手ですよね」
そして、いよいよ、「ラピッドファイアー」クリス・バード対「スティールハンマー」ウラジミール・クリチコ
5年半前の対決の際は、クリチコのリーチの長さに苦しめられて、敗退したバード。
ところが、その後、クリチコはコーリー・サンダース、レイモン・ブリュースターに番狂わせでKO敗け。
磐石に思えたクリチコに思わぬ欠点があることが明らかに。
精神面も含めた、打たれもろさと、スタミナ不足だ。
浜さんは、打たれもろさという面は、2005年9月のサミュエル・ピーター戦で克服され、さらにクリチコは強くなっていると指摘。
この試合、前半からピーターの豪打をもらって、ダウンしたクリチコ
以前のクリチコなら、このままピーターに押し切られていた。
ところが、クリチコは、ダウンのダメージから立ち直り、反撃し、ペースを取り返してピーターを判定で退けた。
「(ピーター戦で)苦戦した、悪い状況に入った後、立て直したところを見ると、これが今までになかったことですよね。
クリチコというのは前半から、自分が優勢に進めていって、そのまま押し切る選手。
ところが前半に打たれると、何かもろかったところが見えた選手でしたけど、今のクリチコは悪い状況になっても、また、自分のボクシングに戻せると」
「5年半前よりもっと強くなってますよ、クリチコは」
今回の試合も、勝敗のカギを握るのは両者のリーチの差。
「距離」をめぐる攻防だ。
浜さん
「バードは相手のよさを殺して、どんどん引き付けるんですよね。引き付けて、そして自分の当たる距離に(バードのほうから)入ってくるんじゃなくて、相手が入ってくるのを待って、そこから打つわけですからね。
クリチコが離れた距離から打ちっぱなしで、自分の距離を詰めなかった場合、バードは入っていかざるを得ないわけですね。バードにとってはきついと思いますよ」
バードにも勝機ありと語るのはジョーさん
「バードの特徴というのは、自分のディフェンス技術で相手のパンチを殺しきることですね。
相手のスタミナを消耗させて、自分のパンチを当てる。
疲れたときには軽いパンチでも、それは効くんです。まして、クリチコは今まで、何度ダウンしてますか。打たれ弱さというのは確かにあるんです。」
オッズは5-2でクリチコ優位。 WOWOW視聴者の予想も、クリチコ勝利が692人。バードが247人。引き分けは41人でクリチコ優位。
エキサイトマッチ、常連ゲスト?のあおい輝彦さんの予想は
「過去、勝っていることもあり、弱気さえ出なければ、クリチコのKO勝ち」
香川照之さんは
「今回はクリスバードが雪辱」「ズバリ、ぼくは3-0の判定でクリスバード」
根拠は、昨年9月のサミュエルピーター戦でも露呈したクリチコの打たれもろさ
そして、兄ビタリ・クリチコの引退による精神的なプレッシャー・・・・
ただ、失礼ながら、香川さんの予想ははずれることで有名なんです・・・・
今回はどうなるのでしょうか。
長谷川選手は
「クリチコ有利とは思いますが、同じサウスポーということで、賭け率の低いクリスバード選手を応援します」
とのこと。
1回
恵まれたリーチ、体格差を生かして、左ジャブを伸ばして、バードの接近をけん制するクリチコ。
バードは距離を詰めようと、左を振るう。
浜さん「クリチコは距離を大事にしていますね」
「(クリチコの)この左が太くて、じゃまな左になってますよ。この左、はじきたい状態でしょうね」
ポイントは両者ともクリス・バード
ジョーさん「クリチコは戸惑っているみたいで、ちょっと、手がでなかったですね。軽いパンチですけど、ヒットしていたのは、バードです」
2回
浜さん「クリチコはこの距離を死守しようとしてますね。入ってこようとすると、すぐ左手で押さえますからね」
クリチコ、ノーモーションのワンツー、ヒット。この試合、初めての右?
浜さん「この距離から打たれると、バード、苦しいですよね」
浜さん「まだまだ、クリチコはセーブしている状態、ありますよ。もう少し、いけるでしょうけど、行った場合に、距離が近くなってしまうと。押さえているんです」
両者ともクリチコのラウンド
ジョーさん「(クリチコに)いい右ストレートがありましたよね」
3回
浜さん「(クリチコは)相手がきたら、後ろに下がるのではなくて、左で押さえておいて、動きがとまったところ、右を、チョーンとモーションなしで打ちますね」
「バードはもっと距離を詰めて、引っ掻き回したいところですよね。引っ掻き回して、クリチコをあせらせたいですよね」
バードがボディ狙いで、前に出るとクリチコはクリンチでバードの動きを封じ込める。
浜さん「今のバードの表情見ると、打ちに行って、上から押さえ込まれる、これ、嫌がってる感じしますね」
この回もノーモーションの右が当たり、クリチコのラウンド。
4回
開始早々のクリチコの右で、バードのひざが揺れる。
浜さん「ああー、効いた、効いた・・・・・それでもまだ大事にいってますね」
ジョーさん「クリチコ、体が突っ込まないようにしてますね。打ち終わったら、ちょっとステップバックしてですね、ストレートの距離を保ちながら、ボクシングしてますものね」
浜さん「バード、距離を詰めようとすると、(クリチコのクリンチで)上から押さえられてしまいますから、スタミナ、消耗しますね」
クリチコ・クリンチを高柳アナ
「上からサンドバックがのしかかってくるんじゃないか、そんな重たさを感じると思います」
「ま、サンドバックでわたし、押し潰されたことはないんですが・・・」
いわなくても、わかってます・・・・
この回も両者、クリチコ
5回
クリチコのリードは変わらず
長谷川選手「左ジャブで距離、作って、タイミングよく右ストレート、打ち込んで、あと同じように距離、作っている展開なんで、(バードは)やりにくいと思いますね」
クリチコのワンツーでついにバード、ダウン
浜さん「今のワンツーはほんと、ど真ん中、入りましたね」
高柳アナ「どんぴしゃ!!」
立ち上がったバードにクリチコ、ラッシュ
浜さん「ガードの真ん中、クリチコ、ねじりこんでますね」
高柳アナ「これが、ねじ込み!!!」
5回終了
高柳アナ「なんとかしのいだ、バード、うわ、顔面、大きな傷を作っています」
浜さん「クリチコ、ダウンとって、あせって行きそうなところを、そこも大事に、大事に引きとめながら、引きとめながら、自分の気持ちに、セーブさせながら、行きましたね」
6回
この回はスタミナの消耗を警戒してか、クリチコは様子見。
ただし、左のジャブは切らさず、バードは中に入れない。
両者10-9でクリチコ
7回
再び、クリチコのワンツーが、クリーンヒット
さらに右ストレートをいれて、サイドにステップして、右フック
バード、ダウン
立ち上がるもレフェリーストップ
7回41秒、TKOで、クリチコが新王者に
このクリチコのTKOシーンを受けて、ジョーさんのボクシング講座
「ワンツーってね、次、左返すより、右をちょっと間隔を置いて、カンッと打つとね、ヒットする場合あるんですよ。ワンツー、ツーですよ」
浜さん「あの距離から再三、打たれると、バードはちょっと、苦しいですね」
これで、主要四団体のヘビー級世界王者は、WBCのハシムラクマンを除いて、すべて旧ソビエト連邦の選手で占められることに。(WBAニコライ・ワルーエフ、WBOセルゲイ・リャコビッチ)
最後に前座で行われたアテネ五輪スーパーヘビー級金メダリスト、ロシアのアレクサンドル・ポべトキン(6戦全勝5KO)とフライデイ・アウナイア(元NABA北米ヘビー級王者、26戦20勝11KO4敗2分)の一戦。
3-0大差の判定で、ポベトキンの勝利
ただし、ジョーさんはポベトキンについて、ボクシングの技術面ではうまいが、ヘビー級としてはあまりにもパンチが小さいと指摘。
「ウエイトを乗せて、体全体をしならせて、タイミングを合わせて、打ち抜く」パンチを覚えないと、ヘビー級で戦っていくには難点あり、とのこと。
ポベトキンの正式名称は,アレクサンドルサーシャポベトキン
ミドルネームはサーシャ。
ロシア人ボクサーでサーシャといえば、先ごろ、暴行事件を起こして、日本バンタム級タイトルを剥奪された無敗の天才ボクサー、サーシャ・バクテインが連想される。
ポベトキンは、まるで、ヘビー級の「サーシャ・バクテイン」といった感じ。
非の打ち所がないほど、うまいのだが、パンチがない。
パンチは当たるのに、なぜか、相手が倒れない。
軽量級はともかく、ヘビー級では、ジョーさんが言うように、たしかに、もっとパンチ力をつけないと王者になるのは難しいかもしれない。
スタジオに戻って、今日の感想
まずは長谷川選手
「家で、見るのも楽しいけれど、スタジオで見るのも違った楽しさがありました。(夏にも予定されている防衛戦に)勝って、また呼んでもらえるように、頑張ります」
とにかく謙虚、腰が低く実直なチャンピオンです・・・・好感度大
続いて浜さん
「いやー、やっぱりクリチコ、強かったですね。いろんな経験して、サンダースにKO負け、ブリュースターには、勝った内容から、自滅してのKO負け、もう、これまでかな、精神的にこんなに弱いのかな、と思いましたけどね。今日の、見ると、七転八起(ななころびやおき)というんですかね。やっぱり、やればできるんだと感じますよね」
七転八起!
いい言葉です。
何度も拳の骨折を重ねそのたびにチャンスを棒に振り、困難に苦しめられながら、決して、くさらず、あきらめず・・・
やっとめぐってきたチャンスに、最強のチャンピオン、アルレドンドを1回KOで打ち倒し、世界王者になった浜さん・・・・
その浜さんの口から出るから、より味わい深く感じられます。
「内容的には、あれだけ完璧に仕上げて、大事に大事に、ふつう、5ラウンド行けば倒せたでしょうけどね。そこでもまだ大事に。
インタビューでもあったように最後まで勝つと確信はしてなかったという。ですから気を引き締めながら、やったと。バードに何もさせなかったと」
「やっぱり、今年はクリチコ時代がくるなという感じしますね」
締めはジョーさん
「(長谷川選手が所属するジムの)千里馬会長、現役時代、私、コーチをしたことがあって、長谷川選手は、わたしにとって、孫弟子のようなもので、いつも期待して、応援しているんですけどね。
世界チャンピオンになると世界中から研究されるわけです。
より速く、より強く、よりうまく、それを目標にトレーニングし続けていかないといけないです」
長谷川選手に、エール・・・・
「だから、頑張って、成長して、生まれ故郷の西脇に、にしきを飾ってください」
長谷川選手、にこにこしながら「ありがとうございました」
今回は長谷川選手の人徳か、とてもさわやかな締めでした。
ダジャレの切れはイマイチでしたが・・・・・
ジョーさん、七転八起の精神で、頑張ってください・・・・
次回、期待しております・・・・・???
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