坂本博之ネバーギブアップ!6.22角海老興行 |
角海老ジム興行 「ネバー・ギブアップ」
メインは、あの坂本博之選手の復帰第3戦
セミは2005年日本スーパーフェザー級新人王
角海老ジム期待の、真栄城寿志
A級ボクサーへの昇級がかかった一戦を迎えるのが
角海老ジムの二人のB級ボクサー
第4試合の金沢知基 第2試合の久永志則
また、第1試合に、B級トーナメント ウエルター級5回戦
下川原雄大(角海老ジム)対柴田明雄(ワタナベジム)
この試合、奇しくも再戦 前回は柴田が勝利
下川原にとっては、B級トーナメント準決勝進出もかかったリベンジマッチだ
全8試合16人の「プロボクサー」の命をかけた熱闘をレポートしたい。
第1試合 B級トーナメント ウエルター級5回戦 ○柴田明雄(3-0判定)下川原雄大●
ワタナベジムの柴田明雄(6勝4KO2敗1分、24歳)が、3-0の判定で、角海老ジムの
下川原雄大(6勝1KO4敗1分、24歳)を下し、B級トーナメント準決勝への進出を決めた。
ジャッジの採点は三者とも49-48
「チキンといわれたくない」思いの下川原は、グローブタッチもせずに、いきなりの右
両者、闘志旺盛ながら、距離が合わない。
ホールドやクリンチが多く、攻防が停滞してしまう傾向
2回1分50秒過ぎ 下川原の右ストレートがヒット
インファイトのもみあいへ 柴田の接近戦でのボディが目立つ
「腹、いやがってるぞ、腹!」
青コーナー、ワタナベジム陣営の檄
3回 30秒過ぎ 下川原の右ストレートがヒット
下川原の前進に、柴田はホールドで対応し、近い距離からの上下の打ち分け
距離は、遠い距離で下川原 詰まると柴田が優位になる傾向
この日の下川原は、遠い距離から、右を当てるが、そのあとのフォローがうまくいかない。
4回 柴田、頭から前に出て、外から左右のフックで、圧力をかける
下川原も入ってくる柴田に、アッパーを連打
「アッパーいいぞ、アッパーいいぞ」
赤コーナー、角海老ジム陣営の檄
最終5回 ここまで、ほとんど差がない両者
接近戦での打ち合いが続くが、ラスト40秒、柴田の右ストレートがクリーンヒット
これがかなりのダメージとなり、下川原、ふらふらに
判定は3者とも、49-48で、柴田の勝ち
最終回の攻勢がものをいって、柴田が、下川原を破り、B級トーナメント準決勝進出を決めた
第2試合 55.3キロ契約6回戦 ○久永志則(6回2分16秒TKO)小路尚也●
A級ボクサーへの昇級がかかったこの一戦
角海老ジムの久永(6勝2KO2敗、20歳)が、グリーンツダジムの小路(6勝2KO3敗1分
24歳)に、6回2分16秒、TKO勝ち。
A級ボクサーへの昇級を決めた。
この試合、はじめにペースを握ったのは、小路
ジャブを打って、左に回り、迫力十分の伸びのある右ストレートを叩き込み、接近すると
アッパーという戦い方
右ファイタータイプの久永は、もっと詰めたいところだが、小路の圧力に押され気味
3回 久永は戦い方を工夫し、小路の右の打ち終わりに、中に入って、ショートのパンチ
小路も、右を鋭く振るって、反撃
4回 久永のショートが的確にヒット 小路の右のほうが、迫力があり、見栄えはよいが、
久永の小さいパンチは着実に、小路を弱らせている。
4回後半 ダメージから、明らかに手数が鈍る小路
5回も久永ペース
小路はやや右に頼りすぎの印象
左ジャブから、右、左、というパターンではなく、右、右、右といったイメージ
久永としては、右さえかわしてしまえば、返しの左を食う心配はしなくてもよい展開
小路の右の打ち終わりを狙ったパンチも、強く踏み込んで打てる。
6回 久永の連打で、棒立ちとなった小路のダメージを見て、レフェリーが試合をストップ
久永がTKO勝利をあげて、A級ボクサーへの昇級を決めた。
写真は勝利のあとに、シャドーボクシングを披露
アピールする久永選手だ
久永選手は、パンチをまとめる能力があり、気持ちも強く、スタミナもある。
ただし、気になったのは体格
スーパーバンタムとしては小柄 肉付きもややふっくらとした印象
もっと階級を落として、戦うこともできると思う。
第3試合 フライ級4回戦 ○桐沢零次(1回2分41秒TKO)植木秀利●
楠三好ジムの桐沢(1勝1分、25歳)が、ワタナベジムの植木(1勝2敗1分、27歳)に
1回2分41秒、TKO勝ち
出だしは、植木がインファイトを仕掛け、桐沢が左を突きながら、足を使ってさばく展開
しかし、2分20秒過ぎ 桐沢の右ストレートがクリーンヒット
植木は、キャンバスにひざを着くが、判定はスリップ
立ち上がるも、桐沢の左フックで、ダウン
レフェリーは、カウントせずに試合をストップ
1回2分41秒 桐沢のTKO勝ちに
植木のダメージは深く、しばらく、動くこともできない。
セコンドやドクターの介抱を受けて、ようやく起き上がり、自分の足で、控え室に消えていった。
第4試合 56.5キロ契約6回戦 ○金沢知基(3-0判定)吉村厚志●
同じジムの久永に続いて、A級ボクサーへの昇級がかかったこの一戦
角海老ジムの金沢(7勝5KO2敗、23歳)が、グリーンツダジムの吉村(4勝1KO4敗2分、
29歳)を、3-0の判定で下し、A級ボクサーへの昇級を決めた。
右ボクサーファイターの金沢に対して、サウスポーの吉村
ジャッジの採点は、59-57 59-56 60-56 とワンサイドで、金沢の勝ち
金沢の、右の有効打と手数が評価された形
第5試合 フェザー級8回戦 ○秋葉慶介(2-1判定)萩原裕樹●
角海老ジムの秋葉(6勝3敗2分、29歳)が、船橋ドラゴンジムの萩原(10勝3KO2敗、21歳)
に2-1の判定勝ち
秋葉は、右ボクサーファイター、鍛え上げられた筋肉 赤銅色に日焼けした肌
精悍な風貌で、いかにもパンチがありそう
対する萩原は、左ボクサータイプ 色白 華奢な体つき 風貌もおとなしそう
しかし、この試合、私の見方では、ペースをとったのは萩原
同じ角海老ジムのフェザー級日本王者渡邊一久の影響が色濃く感じられる秋葉
トリッキーな動きを入れて、リーチと身長にまさる萩原の中に入ろうとする。
しかし、萩原は、秋葉の変則スタイルに惑わされず、左を突いて、足を使って、秋葉の攻撃
をさばく
素早いバックステップでいなし、サイドにステップして、遠い距離から右
肩のフェイント、目のフェイントなども駆使して、秋葉の動き、手数を封じる
また、強引に詰められた場合は、長身を生かして、上から押さえつけてクリンチ
また、遠い距離から、右を打ちぬくだけでなく、大胆に左ボディアッパーも、ヒットさせる。
私の採点では、2回から5回までは、萩原のラウンド
1回は10-10とした。
しかし、6回、秋葉が圧力を強め、コーナーに萩原を詰めて、攻勢に
ただ、これという有効打はなく、接近戦でも、萩原は秋葉のパンチを殺していたように見える
6回は、手数の差で、秋葉のラウンド
7回はほぼ互角ながら、やや萩原
8回は、これが最終ラウンドということもあってか、秋葉が、攻めて、手数で優位に
私の採点では、6,8回を秋葉がとり、7回を萩原がとって、78-75で萩原の勝利
しかし、ジャッジの採点は、2-1で、秋葉の勝ちとなった。
一人のジャッジは、78-75で、萩原につけたが、あとの二人が、ともに、78-76で秋葉に
秋葉のパンチの迫力と、前に出る姿勢が評価された反面、前半での萩原のアウトボクシング
が、評価されず、10-9ではなく、10-10をつけられてしまったのではないかと思われた。
船橋ドラゴンジムの選手は、この萩原のように、頭脳を使って、科学的な?ボクシングをする
技巧派が多いように感じられる。
また、この試合から、「角海老の勝利の女神」ラウンドガールの「梅ちゃん」が登場
アップにして、後ろで束ねるヘアスタイルに変えた梅ちゃん
顔の美しさがより引き立って、この髪型も、とても魅力的
出で立ちは、ライトブルーのタンクトップに ライトブルーのラインの入ったホットパンツ
「夏」に向かう季節感を意識させる配色で、涼しげな、さわやかな印象
(この辺でやめておきますね・・・・・もっといろいろ書きたいのですが、主人公は、あくまでも
ボクサーなので)
第6試合 スーパーライト級8回戦 ○小森光幸(3-0判定)近藤康弘●
FIジムの小森(7勝4KO3敗、23歳)が、角海老ジムの近藤(9勝5KO3敗2分27歳)に3-0の
判定勝ち
右ボクサーファイターの近藤
一方の小森も、右ボクサーファイタータイプだが、身長、リーチでリード
バランスはよいとはいえず、スピードもそうでもないが、パンチはある
頭を振って、強い踏み込みから、思い切ったパンチを打ち込んでくる
頭をよく振るので、カウンターは合せにくい
2回 2分40秒、小森の伸びのある右ストレートで、近藤ダウン
3回は、近藤が反撃したが、4回、5回と近藤は手が出ない
近藤、外側からの左右のフックは、よく当たるのだが、単発の傾向
全体として、重く、強い小森のパンチが、近藤につけいる隙を与えず、小森優位
ジャッジの採点は、78-76 79-75 79-74 3-0で、小森の勝利
第7試合 スーパーフェザー級8回戦 ○真栄城寿志(3-0負傷判定)鳥海純平●
2005年スーパーフェザー級新人王、同級10位、角海老ジムの真栄城(8勝3KO無敗、
25歳)が、T&Tジムの鳥海(9勝3KO5敗2分、24歳)を下す。
真栄城は、左ファイタータイプ 腰を落とした低い構えから、ノーモーション
の左ストレートを叩き込んでくる
スタミナも旺盛で、ハートも強い
といっても、真栄城のハートの強さは、アグレッシブといったものではなく、天然ボケ系といって
もよい図太い神経からくるもの。
ものに動じない、緊張しない性格で、自分の能力を最大限、試合で発揮できるタイプ
とてもピュアな一面もあり、西のMVP千里馬神戸ジムの武本康樹選手を判定で下して、新人王を勝ち取った試合直後のリング上でのインタビューでは、号泣して、ほとんど言葉にならず
ホールに集ったボクシングファンの暖かい笑いと拍手を浴びていた。
1回 ほぼ互角の展開ながら、真栄城の頭を常に振る動き、相手の動きから目をそらさない
集中力が印象に
2回 50秒過ぎ 真栄城の左のボディがヒット 手数、体の圧力で真栄城のラウンド
3回 2分10秒過ぎ 低い姿勢からの真栄城の左ボディがめりこみ、鳥海ダウン
4回 追う真栄城 ただし、ステップはべた足気味 追い足は乏しく、スピードも速くはない
ので、なかなか詰めきれず
1分過ぎには、偶然のバッティングで、左目じりをカット
5回 クロス気味のオーバーハンドの真栄城の左が立て続けにヒット
完全に真栄城がペースをつかみ、倒しに行く場面で、ドクターチェック
真栄城の左目じりの負傷がひどく、ドクターストップ
5回を含めた負傷判定となり、49-47 49-46 50-46の大差の判定で真栄城の勝利
勝利者に与える協賛スポンサーからの賞品をもって、梅ちゃんがリングに
真栄城選手に渡されるはずなのに、真栄城選手は、そそくさと控え室に直行
これには、周囲関係者、また賞品をもったままの梅ちゃんも困った表情
あわてて、真栄城選手、再度、登場
無事、梅ちゃんから、勝利者賞を手渡された
天然ボケの面目躍如!
リングを下りた梅ちゃんも笑いをおさえきれないご様子
でも・・・・
梅ちゃんを困らせてはいけませんよ、真栄城選手!
第8試合 スーパーライト級8回戦 ○坂本博之(1回2分27秒KO)サムラーン・オースラポン)
角海老ジムの坂本博之(38勝28KO7敗、35歳)が、タイのサムラーン・オースラポン
(3勝2敗1分、28歳)を、1回、左フックで、2度のダウンを奪って、KO勝ち
(試合の模様は、角海老ジムHPにアップされていますので、チェックしてみてください)
坂本自身は、次戦を日本ランカーと戦い、その次の試合で、日本タイトルに挑戦する計画
現在の日本スーパーライト級チャンピオンは、磐石の強さを誇る「絶対王者」木村登勇だ。
まさに、ネバーギブアップの精神
しかし、現実は厳しい
佐竹に敗れ、さらに目前で、柏樹に敗れた姿を見ているものとして、現在の坂本が
どこまで戦えるのか、懐疑的にならざるを得ない
現に、相手が、あからさまなかませ犬のタイ人ボクサーという点を割り引いても
あの坂本の試合としては、やや空席が目立つ寂しい入り
「みんな心配してくれるけど、ぼくなりに達者でやってる。ボクシングをなめているんじゃなく
自分の勝つ道を作って打開していく。それが気合になる」
角海老ジムのHPに掲載された坂本選手のメッセージだ
「退け時を間違えた」とか「何を考えてるんだ」とか
いいたいやつにはいわせておけばいいと思う
こんなわからずやの、空気を読めないオヤジボクサーが
一人くらいいてもいいじゃないか
リングに上がって、たったひとりで命を賭けて戦う覚悟があるのだから
最後に・・・・・・・
この日の興行
天然ボケ?の2005年新人王兼日本ランク10位
沖縄生まれの25歳のサウスポーが、勝って
20歳と23歳の若いボクサーが二人、A級に昇格し、夢に向かって着実に前進
その一方で「ネバーギブアップ」と叫ぶ35歳のボクシング馬鹿がいた。
ともにすばらしい 美しい
可能性は、針の穴をラクダが通るほどのものであったとしても
その可能性に賭けてみる
それも男だ
ネバー ギブ アップ 坂本博之
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