奇跡のダブルダウン!全勝全KO対決!6.29新人王戦 |
見どころは、なんといっても第7試合フェザー級予選
全勝全KO(オールノックアウト)対決
市丸耕平 対 笛木亮
協栄ジムのホープ、アマ出身の市丸は、ふてぶてしい面構えのハードパンチャー
アップライトの構えから、体の圧力と持ち前の強打で一気に押し切るパワーファイター
3戦3勝3KO
ジャパンスポーツジムの笛木は、目つきが鋭く「ニヒルな殺し屋」といった風貌のサウスポー
パッキャオばりの切れ味鋭い距離の長い左ストレートで対戦相手を一刀の下に斬り捨てる
4戦4勝4KO
迫力十分の二人の激突にホールは燃え上がり、その地熱は連鎖
笹川対糸数、島村対大村 見応えある熱戦を生む
そして、第12試合ウエルター級予選に、異常事態、発生
稲田千賢選手を思わせる手足の長いボクサー体型の五十嵐正志(楠三好ジム)
ずんぐりした体型、ファイタータイプの宮本成日(JBスポーツジム)
1回 両者の左フックが相打ち 両者キャンバスに倒れこむ
ダブルダウン
まさに「あしたのジョー」の世界 矢吹丈対力石徹の世界
全14試合 新人王獲得の野望に燃え、闘志をたぎらせたC級プロボクサー達の熱闘を
レポートしたい。
第1試合 フライ級予選 ○福吉洋次郎(3-0判定)加藤研二●
大橋ジムの福吉(8戦4勝2KO3敗1分、25歳)が、野口ジムの加藤(5戦3勝1KO1敗1分、 20歳 )を、3-0の判定で下し、2回戦を突破。
福吉は、右ファイタータイプ 大橋ジムの川嶋選手の影響が感じられるスタイル
よく頭を振って、オーバーハンドの右、左ボディアッパーで加藤を攻める。
加藤は、2回、右ストレートから左右のフックをクリーンヒットさせたが、その他の回は、手数
有効打ともに、福吉に及ばなかった。
ジャッジの判定は40-37が2名、39-38が1名、3-0で福吉の勝ち
第2試合 フライ級予選 村中優(3回2分46秒TKO)大久保鉄雄●
フラッシュ赤羽ジムの村中(5戦4勝1KO1敗、21歳)が、MTジムの大久保(9戦4勝4敗1分26歳)を、3回、左フック一発で、キャンバスに這わせTKO勝ち。
ベスト8進出を決めた。
アマ7勝3KO2敗の村中は、フライ級の有力な優勝候補の一人
大久保は、足さばきのよい右ボクサーファイター
一回戦では、宮田ジムの高橋秀治を1回、右アッパーでダウンを奪っての判定勝利をおさめている。
1回は、両者互角。村中、やや緊張しているのか、慎重な印象
2回、村中の左のボディアッパーから、左フック、の左ダブルのコンビネーション
的確なボディ攻撃で、村中がペースを握る
そして、3回、ボディ狙いで、大久保のガードが下がったところ、
狙いすましたような左フックが一閃
大久保は、キャンバスに倒れこみ、動けず、レフェリーが、即座に試合を止めた。
第3試合スーパーバンタム予選△大竹秀典(1-0ドロー大竹勝者扱い)中山貴雄△
金子ジムの大竹秀典(2戦2勝1KO、24歳)と、大橋ジムの中山貴雄(4戦3勝2KO1分、21
歳)の「無敗対決」となったこの一戦。
ジャッジの裁定は、二人がドロー、一人が中山で、1-0のドロー。しかし、規定により、二人の
ジャッジが優勢点を大竹につけていたため、大竹が、勝者扱いとなり、トーナメントを勝ち上が
った。
大竹は右ボクサータイプ 中山はサウスポー
大竹の右、中山の左の刺し合いとなったこの試合
1回は中山の左が冴えて、中山に
2回は、1分過ぎの大竹の右ストレートのクリーンヒットを評価して、大竹に
3回はほぼ互角
4回 両者、鼻血の状態 大竹のプレスは強く、中山、やや体力負けの印象
疲れが見え、動きが落ちて、手数、有効打で大竹が優位に
私の採点では、39-38で大竹に見えたが、ジャッジは二人が38-38のドロー
もう一人は、39-38で中山に
1-0の引き分けだが、ドローをつけたジャッジ2名が大竹の優勢、と判断したため、規定に
より、大竹が勝者扱いになった。
第4試合 フェザー級予選 ○梶川悠(1回1分55秒KO)龍見三太郎●
宮田ジムの梶川(5戦4勝1敗、22歳)が、FIジムの龍見(6戦5勝2KO1分、27歳)に1回
KO勝ち
梶川は、1分半過ぎ、強烈な左フックで、ダウンを奪い、立ち上がってきた龍見に連打をまと
めてKO勝利
フェザー級ベスト8進出へ
第5試合 フェザー級予選 ○藤井智徳(3-0判定)北野一弘●
ヨシヒロジムの藤井(8戦4勝1KO4敗、22歳)が、ワタナベジムの北野(5戦4勝2KO1敗
23歳)に3-0の判定勝ち
藤井は、パンチはある方ではないが、アウトボクシングに優れた技巧派タイプのスマートな
右ボクサー
1回戦のフラッシュ赤羽ジムの佐野司戦同様、藤井は、北野の攻勢を、足を使ってさばき、
ペースを握る。
防御技術がよく、手数を繰り出し、ジャッジに優位を印象付けてみせる。
最終4回は、両選手とも、疲労もあってか、クリンチの連続
藤井選手は、特にフックを打った後の引きが遅く、パンチを繰り出す北野選手の腕と藤井
選手の腕が巻かれてしまって、クリンチの原因に
判定は39-38が2名、40-37が1名の3-0で、藤井がベスト8進出へ
第6試合 フェザー級予選 ○鎌田剛幸(3-0判定)田口雄平●
花形ジムの鎌田(9戦4勝1KO2敗3分、20歳)が、角海老宝石ジムの田口(5戦4勝2KO
1敗、23歳)に3-0の判定勝ち
お互いサウスポー同士の一戦を制したのは、鎌田。
サウスポー同士の場合、一段と重要になってくる右のリードジャブ。
この右ジャブの伸び、力強さ、手数で、1回から、鎌田がペースを握る。
早くも2回、田口は口が開き、かなり消耗した様子
3回 鎌田の右ジャブはさらに冴え、試合は一方的な展開に
判定は39-38が1名、40-36が2名 3-0で、鎌田の勝ち
鎌田は、右ジャブに限らず、一発一発のパンチをしっかりと落ち込むタイプで、フェザー
級の有力優勝候補の印象
第7試合フェザー級予選△笛木亮(3者ドロー、笛木が勝者扱い)市丸耕平△
「全勝オールノックアウト対決」となったこの一戦。
注目度も高く、この一戦から、客席が次々に埋まり、場内熱気
協栄ジムの市丸は3勝3KO、23歳。フェザー級としては大きな体格をフルに使った突進力
と重いパンチが武器
また、面構えがなんともいい。ふてぶてしく、自信にあふれている。
3.30後楽園ホール新人王戦開幕戦の「ボクレポ」観戦記を参照いただければわかるが、
フェザー級では、一押しの好選手と評価
難点は、やや腰高で、特にガードが低いこと
ジャパンスポーツジムの笛木は4勝4KO,22歳のサウスポー
2005年11月以来の試合
ナマで試合を見るのは、初めて
1回 先制したのは、笛木
マニーパッキャオを思わせる鋭い踏み込みから、伸びのある左ストレート一閃
市丸、ダウン
立ち上がるも、かなり効いた様子で、しびれている感じ
アップライトに構え、普段からガードがやや下がり気味の市丸の弱点を見事に突かれた
これで、勝敗は決まったかと思われたが、2回、今度は市丸が反撃
1分過ぎのショートの右で、笛木をぐらつかせ、ラスト15秒で、またも右がクリーンヒット
2回は市丸のラウンドか
3回 両選手、死力を尽くした攻防
笛木の左をはずして、ボデイを狙う市丸がやや優位
最終4回 笛木の左ストレートがまたもや決まるが、市丸、今度は倒れない
笛木の左、打ち終わりを狙ったボディブローで反撃
判定は3者とも38-38
記録上はドローだが、優勢点は2-1と、笛木が上回り、笛木が全勝対決を制して、
ベスト8進出へ
第8試合 フェザー級予選 ○笹川誠(3-0判定)糸数仁●
角海老宝石ジムの笹川(9戦5勝4KO4敗、25歳)が、フラッシュ赤羽ジムの糸数(8戦4勝
3KO4敗、24歳)に3-0の判定勝ち
笹川は左ストレートを武器にするサウスポー
糸数は右ボクサーファイター 4勝3KO(4敗)のハードパンチャー
1回 糸数の右ショートがクリーンヒット 糸数のペースで進む
2回 笹川のパンチで一転、糸数がダウン
3回 効いている糸数 しかし、笹川も急にスタミナ切れ
実は両選手とも、今回の試合に向けて、過酷な減量をしていて、その影響と思われる
笹川、糸数のボディブローを嫌がり、背中を丸める。
しかし、糸数も限界に近く、手が出ない
4回 糸数の右アッパーがクリーンヒット しかし、笹川も踏ん張る
判定は3者とも、39-38 笹川の勝ち
第9試合 スーパーフェザー級予選 ○大村光矢(2-0判定)島村国伸●
三迫ジムの大村(4戦3勝3KO1敗、25歳)が、ワタナベジムの島村(5戦5勝3KO、21歳)
を2-0の判定で下す。
島村は、今期東日本新人王戦でも注目を引く選手 プロとして華があるサウスポー
手数が出て、動きも滑らか バランスも良い パンチもある
ガードはやや低いが、上体の動き、あるいは、スリッピングアウェーで相手のパンチ
をかわす防御勘に恵まれている。
スーパーフェザー級最有力の優勝候補と見ていたが、対戦相手大村は、島村を上回る
すばらしい選手だった。
島村、余裕しゃくしゃくでリングイン 新人でありながら、女性ファン数名から花束
しかも、みんな美人・・・・・
リング中央で、島村は、大村を挑発 場内、いやがうえにも盛り上がる
1回 大村はすばらしい動き
頭を振りガードを固めながら、バランスを崩すことなく、前に出て、手数を繰り出す
動きながら、なおかつ、圧力をかけて、体がぶれることなく強いパンチを打ち込んでくる
足はかかとが上がっておらず、べた足気味だが、それを補うように頭と上体がよく動き、的を
しぼらせない。
中に入っての、ボディフック、ボディアッパーには体重が乗り、迫力十分
詰められて、有効打をもらう島村
大村がよく頭を振るので、島村のパンチは、うまく当たらない
常に、イケイケ、強気の姿勢を崩さない島村の表情に、戸惑いの色が浮かぶ
2回 島村が必死の反撃
ワン、ツー、スリー、フォーまで出てくる連打のコンビネーション
大村のプレスに、いったん、バックステップしての、連打
身体能力の高さを思わせる攻撃で、この回は島村が挽回
そして、3回 大村は右のショートのストレートを中心に、島村のボディを狙う
これが功を奏したか、苦しそうな表情の島村
大村の動きは、1回から、全くといってよいほど、落ちない
スタミナも無尽蔵
4回
明らかに、疲れが見える島村 ここまで大村の優位は明らか
それでも、逆転のKOを狙う島村は、左を振るって前に
しかし、動きが落ちない大村にはなかなか当たらない
勝敗は、判定に
38-38のドローとしたジャッジがいたが、残り2名は39-38で、大村
大村が優勝候補、島村を破って、ベスト8進出へ
敗北が告げられるや、キャンバスに膝をついて、座り込んで悔しがる島村
トランクスに縫い付けられた「無敗」の文字が痛々しい
それでも、ここまで、島村は、この東日本新人王戦に出場したどのボクサーよりも
「プロ」として、魅力のある試合をしていた。
その日の興行で、例外なく彼の試合は沸いていたし、印象に残った。
ショックは大きいと思うが、自分を信じて、どうか頑張って欲しいと思う。
課題は、とにかく、スタミナ。
2回までは大村と互角に戦えていたのに、3回以降、明らかに動きが落ちてしまった。
大村の表情は変わらなかったが、島村は苦しげだった。
勝った大村は素晴らしいボクサー
戦績はこれで、4勝3KO1敗
この1敗はデビュー戦で喫したもので、あとは4連勝 3KO
強いチャンピオンの戦績を調べると意外にも、デビュー戦や2戦目に負けている事が多い
初めに負けて、悔しさから本気になってボクシングに取り組み、才能が開花
以後は1敗もせずに王者へというパターンだ
大村選手の今後に大いに期待したい。
第10試合 スーパーフェザー級予選○和宇慶桂三(3-0判定)内藤一朗●
ワタナベジムの和宇慶(6戦3勝1KO2敗1分、23歳)が、ジャパンスポーツジムの内藤
(11戦3勝7敗1分、34歳)に3-0の判定勝ち
11戦3勝、34歳の挑戦となった内藤は、左右のフックを振るい、前に出て攻めつづける。
手数と攻勢をとって、内藤の勝ちに見えた。
しかし、ジャッジの採点は39-38が2名、40-38が1名の3-0で和宇慶の勝ち
第11試合 ウエルター級予選 ○根間裕人(2回2分10秒TKO)森眞●
ここからは、ウエルター級予選、1回戦
横浜光ジムの根間(5戦2勝2KO3敗、22歳)が、赤城ジムの森(3戦2勝1敗、25歳)に
TKO勝ち。
根間はこれで、デビュー3連敗のあと、3連勝
第12試合 ウエルター級予選 ○宮本成日(2-0判定)五十嵐正志●
楠三好ジムの五十嵐は、2戦2勝1KO、22歳 右ボクサータイプ
背が高く、手足が長く、顔が小さいボクサーとして、理想的な体型
JBスポーツジムの宮本は1戦1勝1KO、25歳 右ファイタータイプ
ボクサーとしては、ややずんぐりした体型 もっと減量の余地があるように思える
典型的なボクサー対ファイターの対決
離れて五十嵐 詰めて宮本
ところが1回 椿事発生
両選手の左フックが交錯 相打ちとなり 両者ダウン
ダブル ノックダウン
めったにない事態に、どよめくホール
このまま両者、起き上がれなかったら、どう判定をつけるのか、と思ったが、両選手、立ち
上がり、試合再開
その後、試合は、足を止めての打ち合いに
判定は、2-0で、ファイタータイプ、宮本に
この宮本選手、1回のダブルダウンについて
「自分だけ倒れたと思っていて、盛り返すのに必死だった」そう。
1回のダウンで冷静さを欠いてしまったからか、五十嵐選手は、宮本選手の望む
インファイトに、付き合って、負けてしまった
足を止めての両者の打ち合い自体は、ほぼ互角だったが、やはり、宮本の有利とする距離
で、あえて戦う必要はなかったはず。
1回に左拳を痛めるアクシデントに見舞われていたというが、ならばなおのこと、接近戦は
避けて、足を使って、距離をとって「打っては離れ」のアウトボクシングで戦うべきだった。
第13試合 ウエルター級予選 ○指田竜一(2-0判定)岡本憲将●
マーべラスジムの指田(2戦1勝1敗、21歳)が、ワタナベジムの岡本(5戦2勝1KO3敗
28歳)を2-0の判定に下す。
若い指田が、手数、スタミナにまさり、4回、パンチをまとめたのが、アピールして判定勝利
第14試合 ウエルター級予選 ○七島一善(1回2分48秒TKO)山崎佑樹●
京浜川崎ジムのサウスポー、七島(4戦3勝2KO1敗、21歳)が、JBスポーツジムの山崎
(2戦2勝、20歳)に勝利
1回、山崎の右肩が脱臼するアクシデント
試合続行不能、で、七島のTKO勝ちに
最後に・・・・・
フライ級では、フラッシュ赤羽ジムの村中選手が鮮烈な左フックを披露
対抗馬はワタナベジムの金城選手か、金子ジムの市川選手か
また、フェザー級では、「無敗対決」を制した笛木選手が急浮上
対抗馬は、FIジムの突貫ファイター、内山選手か、あるいは、固いパンチの鎌田選手か
スーパーフェザー級では、島村選手を破った大村選手が最有力
「ボクレポ」一押し
対抗馬は、帝拳ジムの高校六冠 粟生選手の実弟、粟生達也選手か
世界チャンピオンも日本チャンピオンもいない
日本ランカーはおろか、A級ボクサーさえいないこの日の興行
イーグル対マヨールの世界戦をメインにした5月6日の興行に匹敵する
「ボクレポ」が見た今年度ベスト興行になった
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