日高和彦完全復活!要注目はマツオアキラ(7.3後楽園ホール) |
見どころは、第1回Bタイトウエルター級優勝者
元東洋太平洋ウエルター級王者
日高和彦、通称「カズ」の復帰戦
対戦相手は、関西、進光ジムの松元慎介
日高より、一階級上のスーパーウエルター級日本ランク3位の25歳
15戦12勝(3KO)2敗1分
長身の右ボクサータイプ
復帰戦の相手に、自分より一階級上で、2歳若いバリバリの日本ランカー
を選んでしまうところが、いかにも「カズ」らしいところ。
予測が難しく、リスクの高い賭けに踏み切る事で、ファンは関心を喚起され、興奮し
会場に足を運ぶ
現に、平日、しかも、日高の試合以外、これという見所のないカードであったにも
関わらず、会場はほぼ満員
「そこに、あるのは壁ではない、扉である」
宮崎のある友人からの手紙の一節で、復帰を決意したという「カズ」
勝てば、その実力は、スーパーウエルター級でも通用する事を証明できる。
そして、ボクシングファンにとって、夢のマッチメイクが実現可能に
日本、OPBF、ABCOの三冠王者、スーパーウエルター級世界ランカーのクレイジー
キム選手との対戦
または、因縁のレフ・サンテリャンを下し、OPBFウエルター級王者に君臨する山口裕司
選手との対戦
あるいは、日本ウエルター王者、大曲選手との「豪腕対決」
特に、注目すべきはクレイジーキム選手との対戦
この一戦が実現し、勝利すれば、「カズ」は一躍、スーパーウエルター級上位世界ランカー
世界王者への挑戦資格を得る事に
夢は大きく広がっていく。
しかし・・・・・・・
この日の復帰戦に、もし、敗れれば、「カズ」は全てを失ってしまう。
いやでも「引退」の決断を迫られる事になりかねない。
再起戦に、階級が上の日本ランカーを選んだスター選手の例として
思い至るのが、角海老宝石ジムの坂本博之選手
一階級上のウエルター級日本ランカー 柏樹選手と、復帰戦を行い、KO負けに
会場に足を運んで、坂本選手を応援していたのだが、とにかくショックだったのは
スーパーライト級では必殺のKOパンチだった坂本選手の「左フック」
一階級上の柏樹選手には、全く通用しなかったという事実だった。
当たっているはずなのに、倒れない 衝撃が吸収されてしまうかのよう
一階級しか違わないのに、こんなにも、パンチの耐久力に差が生まれるのか、と痛感
させられた思い出がある
果たして、「カズ」のパンチは、階級の壁を越えて、スーパーウエルター級でも通用するのか
注目のメインイベント スーパーウエルター級10回戦
日高和彦 対 松元慎介
「クレイジーキムを倒せ」
二階立ち見席には、松元選手を応援する横断幕がかかる。
まず、松元選手がリングイン
気合い十分の表情
鋭く光る眼
自らの闘志を鼓舞するかのように
左右のグローブを重ね、何回も叩き合わせる松元選手
「バチーン、バチーン」
乾いたグローブの音
日高選手は、南側客席中央から入場
登場した瞬間に、後楽園ホールの空気を変えるこの圧倒的な存在感は変わらない
ただ、表情はやや固そう
1回
長身の右ボクサータイプ松元は、ジャブを突いて、距離をとる
サウスポーの日高は、やや腰を落として、必殺の左を打ち込むタイミングを狙う
松元のダイレクト、ショートの右 左フックのフォロー
日高も、左ストレート
この左はやはり、迫力十分
松元は、フリッカー気味に、左手を下げて、半身に構える
ふところを深くして、踏み込んでくる日高の左をいなし、打ち終わり、ショートの右から
返しの左フックを狙う意図か
2回
日高が、左を振るう
当たってはいないものの、この左
空振りでも、すさまじい迫力
この圧力に押されてか、松元、後退
サイドに回りながらの後退ではなく、まっすぐ下がってしまう形
あぶない下がり方・・・・
当初の想定を越える日高のパンチの圧力に、松元のクレバーなアウトボクシングのリズムが
微妙に狂わされている印象
1分半過ぎ
両者のパンチが交錯し、距離が詰まったその瞬間
日高のショートの左フックが、松元のアゴを打ち抜く
松元ダウン
立ち上がるも松元、かなり、しびれている様子
たたみかける日高
ロープに松元を一気に詰めて、パンチをまとめる
ロープから客席にそのままなだれこみかねないような勢い
日高の左ストレートが、松元を打ち抜いた瞬間、レフェリーが両者の間に割って入った
2回1分59秒 日高和彦 TKO勝ち
ところが、興奮して、闘争本能を抑え切れない日高は、レフェリーが間に入っているにも
関わらず、攻撃をやめず
キャンバスに倒れた体勢の松元選手に向けて、上からパンチを振り下ろしてしまう
この危険な加撃行為に松元陣営のセコンド、応援団らは激昂
しばらくして、われに返った表情の日高
ひたすらに、自分の行為を詫びて、ようやく松元選手サイドもおさまった
意識を回復した松元は、苦笑いを浮かべつつ、日高と抱擁
リング上、試合後のインタビューでも、しきりに、この「加撃行為」について謝る日高
「カズ」はみごとに復帰戦を白星で飾った
階級の壁を越える破壊力が、「カズ」の拳に宿っている事が証明された
と、同時に、以前から弱点として指摘される、熱くなりやすく、冷静さを欠き、自分で自分を
コントロールできなくなってしまう精神面でのナイーブさがいまだ克服されていないことも
明らかになった。
肉体と拳の強さ、繊細過ぎる神経と精神的なもろさ
「強さ」と「もろさ」
「カズ」はその両方を同時にあわせ持っている男だ
だからこそ、ファンは安心して彼の試合を見ることができない
いつも心配させられ、動揺させられる。
味わいたくもない「スリル」を味あわさせられる。
しかし、その「ハラハラドキドキ」感が、彼の試合の面白さ、ボクサー日高の魅力でもある。
敗北のショックに悩み苦しみつつも・・・・
自らの闘志の糧として、多くのファンの期待を背負い
再び立ち上がり、拳を握って
この日、「カズ」は「壁」をみごと「扉」に変えてみせた。
この日の興行は全7試合 新日本木村ジム主催
第6試合ミドル級10回戦○氏家福太郎(3回1分34秒KO)スッタノン・ソーシティチャイ●
日本ミドル級2位、新日本木村ジムの氏家(13戦8勝3KO4敗1分、25歳)が、タイの
スッタノン・ソーシティチャイ(10戦6勝2KO4敗、22歳)に3回KO勝利
第5試合 フライ級6回戦 ○長谷川純(3-0判定)荻野寛之●
三迫ジムの長谷川(11戦5勝5敗1分、21歳)が、T&Tジムの荻野(11戦5勝6敗、31歳)
に3-0の判定勝ち。
長谷川は、リーチの長い変則サウスポー
休むことなく、めったやたらに右のジャブを出す。
当てるつもりで、出しているという感じではない。
打ち終わった状態でも、荻野にまったく届かず、場合によっては、約50センチくらい手前で
止まってしまう。
長谷川の距離を保つため、あるいは、ペース支配、ジャッジに対する手数の優位性の
アピールといった狙いか
あるいは、フェイントの側面も
というのも、長谷川、右の当てるつもりのないジャブで油断させたあと、急に飛び込んで、
フック系の振りの大きいパンチを打ち込んでくるからだ。
高校時代、アマでならした正統派のボクシングをする右ボクサーファイター荻野は、この
変則サウスポー長谷川に、ペースを狂わされっぱなし
飛び込んでの右を再三、もらい、ひっきりなしに放たれる右ジャブが邪魔で、距離も詰めら
れず、最後には手数も減って、「見てしまう」状態に
1回から4回まで、長谷川のペースになるが、5回から、意を決した荻野が、前に出て、
距離をつぶし、詰めにかかる。
5回、荻野、詰めて、右ショートを打ち込み、この回は優位に
最終6回 荻野、5回と同様に、前に出るが、詰め切れず
59-57 59-56 60-56 の3-0の判定で、長谷川の勝利
第4試合 48キロ契約4回戦 ○マツオアキラ(4回2分41秒TKO)石垣洋之●
新日本木村ジムのマツオアキラ(2勝1KO、21歳)が、鎌ヶ谷ジムの石垣(1勝3敗)
を4回TKOで破る。
右ボクサーファイターのマツオアキラ選手はすばらしい動き
打ち終わりのバランスよし、パンチの切れよし、手数も出て、回転も速く、ガードもしっかり
試合中も落ち着いていて、息も上がっていない。
いまだ3戦目の新人だが、もし、来年の新人王戦にエントリーすれば有力な優勝候補に
なると思う。
試合は、1回からマツオのペース。
4回、不利を悟った石垣が前に出て、攻勢を強めたところ、カウンターの右フック一発で
キャンバスに沈めた。
第3試合 ライト級4回戦 ○斉藤丈祐(2-0判定)熊木和男●
新日本木村ジムの斉藤丈祐(1勝1KO1敗、23歳)が、2-0の判定(38-38 39-38
39-37)で、全日本パブリックジムの熊木(1勝1KO1敗、31歳)を下す。
1回から、両者、頭を付けての打ち合い。
スタミナと手数にまさる斉藤が勝ち、4年ぶりの復帰戦を白星で飾る。
第2試合 ライト級4回戦 ○須田真琴(1回1分21秒、KO)鈴木啓之●
両者、デビュー戦
横浜光ジムの須田(23歳)が、1回右ストレートで、新日本タニカワジムの鈴木啓之(26歳)
ダウンを奪う。
立ち上がるも、足元がふらつく鈴木の姿を見て、セコンドがタオル
第1試合 62キロ契約4回戦 ○小口幸太(3-0判定)山口航●
両者、デビュー戦
宮田ジムの小口(20歳)が、新日本木村ジムの山口(23歳)を3-0の判定(39-38
40-37 40-37)に下す。
1回から、両者、頭を付け合っての打ち合い
小口は、宮田ジムの内藤大助のスタイルか、左右のフック系のパンチ
山口は、手打ちのパンチ ただ、手打ちだけに手数はすごい
「ポコポコポコポコ」と手が出てくる。
小口はフックが、ブーン、ブーン、といった感じで 時に、レバーにも打ち分け
「ポコポコパンチ」対「ブーン、ブーンパンチ」の対決は判定に
手数では、ポコポコポコポコが、ブーン、ブーンを上回っていたが、ジャッジは「ポコポコ」
を支持せず。
ダメージに結びつかなくても、手数を出せばよいという考えは、プロでは通用せず
手打ちのポコポコパンチ、山口よりも、きちんとダメージを与える打ち方をしていた小口を
ジャッジは支持した。
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