新人王戦月花参上!粟生竜太8強へ(7.5後楽園ホール) |
この日の注目は第2試合登場のスーパーフライ級月花正幸選手
実は、昨年の新人王戦でも有力な優勝候補の一人と目されていた。
一戦目、二戦目と順当に勝ち進んだが、左眼下底骨折により棄権
新人王の座は、最強ツインズ(双子)兄 ヨネクラジムの杉田純一郎選手のものに
昨年10月から練習を再開、 日本ランカーともスパーリングをこなし満を持して
13ヶ月ぶり、再起戦のリングへ
また、第9試合には、高校六冠、帝拳ジムの粟生選手の実弟、竜太選手が登場
5月11日に行われた角海老宝石ジム、島田誠選手との試合では、1回、鮮やかなカウンター
でダウンを奪っている。
早い回でのKOと思われたが、その後、島田選手の頑張りもあり、3-0の判定に
勝ちはしたものの、今後に課題を残す結果に
この日の興行、第9試合に組まれた粟生竜太選手の対戦相手は大川ジムの近江選手
3勝2敗の戦績ながら、19歳の若さ しかも、3勝のうち2KOと、パンチもある
試合直前 観客席に、なんと「浜さん」登場
もちろん、大場政夫に次ぐ帝拳ジム二人目の世界王者 浜田剛史氏だ。
ベスト8がかかったこの一戦
浜さんが見守る中 粟生竜太選手はみごとな勝利をおさめることができるのか・・・・
この日の興行は17時45分開始 全13試合
第1試合 フライ級予選 ○都澤貢介(3-0判定)笠井康●
昨年、ミニマム級の武市、ライトフライ級の宮下、両選手の活躍で、旋風を巻き起こした
ドリームジム
同ジム期待の都澤(5戦4勝1分、23歳)が高崎ジムの笠井(8戦4勝1KO4敗、32歳)に
3-0(39-38 40-38 40-37)の判定勝ち
笠井はサウスポーのファイタータイプ
左右のフック系のパンチを振り回して、プレスをかける。
都澤は右ボクサータイプ 足を使って、笠井のプレスをさばいて、ボディにパンチをまとめる
たしかに、お腹が絞りきれていない笠井はボディが弱そう
4回には、都澤のボディ攻撃のダメージか、マウスピースを吐き出す場面も
結果は3-0で都澤がベスト8、進出
第2試合 スーパーフライ級 ○月花正幸(3-0判定)中尾裕之●
八王子中屋ジムの月花(4戦4勝2KO、21歳)が、相模原ヨネクラジムの中尾(2戦2勝
20歳)に3-0の判定勝ち
前評判通り、月花は素晴らしい選手。
バランス、パンチの回転、上下の打ち分け、防御勘、どれも一級品
特に眼を引いたのは、スピード。
とにかく動きが速い
まず、相手のパンチをディフェンスしたあとに、攻めに転じるスピード
攻防の切り替えのスピードだ。
相手のパンチをサイドに回ってかわす。その体勢から、すかさずパンチを打ち込む
あるいは、ウイービング、ダッキングでかわし、即座に、攻める
この動作が、非常にスピーディで、対戦相手の中尾選手は全くついていけない。
次に、自分の射程圏内に踏み込み、攻撃した後、相手の射程圏内から離れるスピード
平たく言うと「出入りのスピード」
これだけの「スピード」があれば、月花選手は、常に自分の距離で戦うことが可能に。
対戦相手の中尾、戦績2戦2勝と決して弱い選手ではない。
中尾選手が弱いというより、月花選手が強すぎる、速すぎるという「印象
あえて、難点をいえば、パンチ力か
ジャッジの採点は、3者とも、フルマークの40-36で、月花の勝ち
第3試合 スーパーフライ級予選 ○出澤毅(2-1判定)丸岡正樹●
国際ジムの出澤(6戦4勝1敗1分、23歳)が、2-1の判定で、ヨネクラジムの丸岡(4戦
3勝1ko1敗、26歳)を下した。
両者とも右構え
1回終了間際、出澤の右がカウンターでクリーンヒット
2回以降、丸岡は手数で反撃 左右のアッパー 打っては動くボクシング
出澤は手数は劣るが、しっかりと丸岡の動きを見て、特に、左フックをヒットさせる。
丸岡はアップライト、腰高でやや上体が固い印象
手数は出るが、相手のパンチをもらってしまいやすい
判定は、一人のジャッジは39-38で、丸岡を支持したが、あとの二人は39-38で出澤を支持
2-1で、出澤がベスト8進出に
第4試合 スーパーフライ級予選 ○茗荷新緑(3-0判定)小関剣太●
川島ジムのサウスポー、茗荷新緑(5戦4勝1分、25歳)が、上滝ジムの小関(3勝3KO
19歳)に、3-0の判定勝ち
小関は3勝3KOのハードパンチャー
しかし、この試合では、茗荷のディフェンス技術、ペース支配の巧みさの前に強打を封じ込ま
れてしまう。
右のジャブで距離をとられ、足を使って、回られる
また、茗荷の頭、上体は、よく動くので、パンチがなかなか当たらない
逆に、振りの大きい小関に、茗荷の小さいパンチがヒット
パンチに自信がある小関選手
いつでも倒せるとタカをくくっている間に、時間が経過してしまった印象
最終4回は、小関の右オーバーハンド、左ボディアッパーがヒット
しかし、ダウンは奪えず、3-0の判定(40-38 40-37 40-37)で、茗荷の勝ち
それにしても、感心するのは、川島ジムのディフェンスを重視する選手育成方針
「頭を振る」この防御にも、また攻撃にも生かせる基本中の基本が、きちんとできていない
選手が目立つ中、川島ジムの選手は、ほぼ例外なく、「頭を振っている」
これで茗荷選手は6戦5勝1分け
無敗記録を更新したが、KO勝ちがゼロというのはやはり、さびしい。
茗荷選手、今の戦い方を大事にしつつ、サウスポーの武器であるいきなりの左の切れを
もっと磨いて、「上手さ」だけではなく「怖さ」も感じさせる選手になって欲しいとも思う。
第5試合 スーパーフライ級予選 ○柴田悠道(2-1判定)山口陽司●
ワタナベジムの柴田(9戦4勝1KO4敗1分、27歳)が、新田ジムの山口(6戦4勝1KO2敗
23歳)に、2-1の判定勝ち
一人のジャッジは39-38で山口を支持 しかし、残り2名は、39-38、40-38で柴田を支持
勝ちはしたものの、3回には、疲れから、クリンチに逃れていた柴田選手
課題はスタミナの強化?
第6試合 スーパーバンタム級予選 ○田内絹人(2-1判定)白木健●
横浜光ジムの田内(5戦3勝2ko1敗1分、21歳)が、上滝ジムの白木(4戦3勝1敗、19歳)
を2-1の判定で下す。
田内は鍛え上げられた上半身のハードパンチャー 右ボクサーファイター
白木は、とにかく手数が切れないサウスポー ただし、パンチは手打ち
ジャッジの判定は一人が、40-38で、白木
白木の手数、が要因だろうが、もう一名はなんと40-37で田内
4回戦の判定が、ジャッジによって、これだけ別れるのは極めて異例
あとの一人が39-38で田内を支持し、2-1で田内の勝ち
白木の手数をとるか、それとも、田内のパンチの威力をとるか、で判定が分かれたものと
思われる。
第7試合 スーパーフェザー級予選 ○諏訪雅士(2回2分47秒TKO)前田弥●
ピューマ渡久地ジムの諏訪(7戦4勝3KO3敗、26歳)が、新田ジムの前田(7戦3勝2KO
2敗2分、26歳)を2回2分47秒、TKOで下す。
見るからに、ファイタータイプの前田は、1回から前進
リーチにまさる諏訪は、冷静に前田のプレスをさばき、有効打を積み重ねる。
2回も、とにかく前に出る前田
ノーガード、頭も振らずに、ひたすらに、手を出し続ける。
ラッシュ、ラッシュの前田
5月1日に行われた金子ジムの木村大介戦では、この「ラッシュ」が功を奏し、判定勝ちを
おさめたが、諏訪には通用せず
ストレート系の連打をもろに浴びて、TKO負け
しかし、観客からは、暖かい拍手
第8試合スーパーフェザー級予選 ○清水秀人(3-0判定)畑中伸吾●
木更津グリーンベイジムの清水(6戦4勝2KO2敗、21歳)が横浜光ジムの畑中(3勝3KO
22歳)を3-0の判定に下す。
右ボクサーファイター、3戦全勝3KOの畑中は、いきなりの右ストレートで、サウスポーの
清水を攻める。
しかし、大振り気味、単発 また、ガードが低い
清水は脇をしっかり締めて、内側からコンパクトなパンチ
3回以降、大振りのパンチを振り回していた畑中のスタミナが失速
清水は動きが落ちず、スタミナ切れから手が出ない畑中に対し、手数でまさる
4回には、パンチをまとめて、優勢を印象付けて、ゴング
ジャッジ、三者ともに39-37で清水の勝利
第9試合 スーパーフェザー級予選 ○粟生竜太(3-0判定)近江良哉●
帝拳ジムの重鎮、元世界王者浜田剛史氏が見守る中、帝拳ジムの粟生竜太(2戦2勝、20
歳)が、大川ジムの近江良哉(5戦3勝2KO2敗、19歳)を3-0の判定に下す。
5月11日に行われた対島田誠(角海老ジム)戦。
粟生竜太は初回にみごとなカウンターでダウンを奪いながら、島田に粘られ、判定に持ち
込まれている。
この試合を通して、見えてきた粟生竜太選手の課題は3点
①パンチの振りが大きい。特に引きが遅く、相手選手と腕が、からまり勝ちに
②コンビネーションが、ワンツー止まり。スリー、フォーのフォローがない
③カウンターの狙いすぎか、「待ちのボクシング」になりがち
たしかに、カウンターをとるセンスは出色
ただし、「一発のカウンターで、きれいにKOしてやろう」とする意識が強すぎるのか、パンチが
大振り気味
リードブローの手数が足りないカウンター狙いの「待ちのボクシング」になりがち
ディフェンスも、ガードではなく、スエーバック、ヘッドスリップ、ウイービングが中心で、動体視力と身体能力に、過度に頼りすぎたあぶなっかしさを感じてしまう。
引くべきところ、守るべきタイミングなのに、危険を冒して真っ正直に、打ち合いにつきあったり
逆に、詰めるところ、パンチをまとめたい場面で圧力を緩めて、距離をとったり
試合運び、試合での主導権のとりかた、攻防の切り替えといった点で、きめ細かさに欠け、
雑な印象
この日の粟生竜太選手の出来は、島田戦より、よくなかった。
ガードを固め、手数を切らさず、圧力をかける近江選手
持ち前の運動神経、身体能力を生かした動きで、パンチをよけて、有効打を重ねる粟生選手
1回は全体としては粟生がやや優位
2回、近江選手が、距離を一気に詰めて、前に出ると、粟生選手は正面から打ち合いに
しかし、粟生のパンチは振りが大きく、近江のコンパクトなパンチに比べて、数が出ない
インファイトでの打ち合いに有効なフック系、アッパー系のパンチ
振りが小さく、数をまとめられるショートのパンチ
こういったパンチがあまり見られず、近い距離から、振りの大きいストレート系のパンチで
応戦してしまう
リーチが長い粟生選手は、やはり、詰めてくる相手に対しては、足を使って、距離をとるか
クリンチに出て、完全に距離をつぶすべき
ところが、自分の身体能力への過信か、熱くなりやすいのか、近江選手に有利な距離での
打ち合いに応じてしまう
私の採点では、1回は粟生選手、2回、3回は近江選手にポイント
最終4回 スタート時点で、きれいな左フックをカウンターで決める粟生選手
この有効打をとって、4回は粟生選手にポイント
ただ、本人は、自分の出来の悪さに、かなり落ち込んでいる印象
38-38のドローとみたが、ジャッジの採点は39-37 40-37 40-36
3-0で粟生選手がベスト8進出に
悔しさのあまり、涙を流しながら、退場の近江選手
第10試合 スーパーフェザー級予選 ○鎧塚真也(3-0判定)阿部展大●
協栄ジムの鎧塚(4戦4勝3KO、23歳)が、角海老宝石ジムの阿部(8戦4勝3敗1分、23
歳)に3-0の判定勝ち
有力な優勝候補の一人、4戦全勝3KO 右ファイタータイプの鎧塚と、8戦4勝3敗1分
4勝は、すべて判定で、KO勝ちはない右ボクサータイプの阿部の対戦
1回2分半過ぎ 阿部の右がクリーンヒット 鎧塚ひざが揺らぐ
べた足気味の鎧塚に対して、阿部は足を使って、アウトボクシング
ところが、3回 ここまでよい流れで試合を進めてきた阿部に、鎧塚の右オーバーハンドが
炸裂
阿部、ダウン
立ち上がった阿部は、反撃
最終4回も、ほぼ互角に打ち合う
判定結果は、やはり3回のダウンが響いて、39-37 38-37 38-37 3-0で鎧塚の勝ち
「負けてしまった」と繰り返しながら涙を流す阿部
ところで、勝った鎧塚選手、実にいい面構えをしていた
常にアゴを引いて、下から目を上に向けて相手の動きを追う姿勢を崩さない
また、体も鍛え上げられていて、パンチはかなりありそう
ただし、やや動きが固い印象も
第11試合 ライト級予選 ○平井良雄(3-0判定)斉藤義明●
三谷大和スポーツジムの平井(5戦4勝1KO1分、19歳)が、ファイティング原田ジムの
斉藤に、ワンサイドの判定勝ち
40-36 40-36 40-38
左リードの手数、スピードで平井が上
第12試合 ライト級予選 ○長崎大之(4回1分15秒TKO)石井竜也●
FIジムの長崎(4戦3勝3KO1敗、31歳)が、レイスポーツジムの石井(5戦3勝3KO2敗
26歳)に、TKO勝ち
1回1分半過ぎ 右でダウンを奪った長崎が、そのまま主導権を握り、4回、石井が棒立ちに
なったところ、レフェリーストップ
第13試合 ウエルター級予選 ○前田浩晃(3-0判定)飯塚ひろき●
大川ジムの前田(1戦1勝、19歳)が、高崎ジムの飯塚(5戦2勝2KO3敗、26歳)に3-0
の判定勝ち
2回、カウンターの右フックでダウンを奪った前田が、最後まで手数を切らさず、ていねいに
足も使って、大差の判定勝ち
40-35 40-36 40-37
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