草加有沢ジム2006年有終の美!8戦全勝!(12.6後楽園ホール) |
クリーンファイトボクシング パート4
メインは、川崎タツキ セミに、荒井操
草加有沢ジムの誇る重量級ランカーが登場
さらに、カツラボクサー小口雅之
スパーでは、ランカークラスの実力と評判の期待の新鋭、岩渕真也が登場
今年1年を締めくくる草加有沢ジム2006年最終興行の模様をレポートしたい
第8試合 メインイベント スーパーウエルター級10回戦
○川崎タツキ(2回2分41秒TKO)チャイチャナ・ウインディジム●
日本スーパーウエルター級3位、草加有沢ジムの川崎タツキ(19勝15KO2敗)が、タイの
チャイチャナ(2戦2敗)から、合計4度のダウンを奪って、2回TKO勝ち
下から上に返すコンビネーション 重量感溢れるボディブローで、タイのチャイチャイナを
一蹴
川崎健在、をアピール
今年1月、川崎は、日本、OPBF二冠王者クレイジーキム選手に挑んで、敗れた
キム選手が日本王座を放棄したため、同王座は、一時期、空位に
12月2日、日本スーパーウエルター級王座決定戦が行われ、金沢ジムの石田が進光ジム
の松元を下し、新チャンピオンに
現在、同級2位の、「北海の豪腕」帝拳ジムの松橋が、チャンピオンカーニバル期間中、挑戦
することが確実
川崎陣営はこの試合の勝者とのタイトルマッチの実現を目指している模様
第7試合 70.5キロ契約8回戦 ○荒井「野人」操(3-0判定)岡田山金太郎●
リングネームを荒井操から、荒井「野人」操にあらためての一戦
日本スーパーウエルター級8位、草加有沢ジムの荒井(8勝7KO2敗)が、オサムジムの
岡田山(10勝4KO9敗)に、3-0の判定勝ち
(79-72 80-72 80-72)
2004年ウエルター級新人王、MVPの荒井操選手については、
過去記事あります。
C級ボクサー当時の荒井選手は、パンチ力はあるものの、すぐにスタミナが切れてしまう
短期決戦タイプのファイター
外側からの左右のフックが中心で、パンチの多彩さに欠ける印象
しかし、新人王獲得後の敗北を経て、スタミナ強化を目的とした徹底的な肉体改造に着手
4月24日の高橋隆介(MTジム)戦では、最終8回まで戦い抜いて、判定勝ち
スタミナ強化の成果を実証してみせた。
対戦相手の岡田山は、「人間離れ」しているといっても過言ではない「打たれ強さ」を誇る
変則ファイター
試合は、1回から、荒井のペース
左右のフック、ワンツーを中心に荒井のパンチが次々に命中
しかし、岡田山は驚異の耐久力
ガードを固めて、ひたすら、荒井の連打を耐え抜く
一方的に打たれっぱなしの岡田山だが、時おり、意表をつくタイミングで変則的な大振りの
フック、アッパー
この「金太郎パンチ」が荒井を捕らえる場面も何度か見られ、5回から荒井は鼻血
鼻血を流しながら、鬼気迫る表情で、奇声をあげて攻撃する荒井
一方、あえて、ノーガードで一方的に打ち込まれながら、にやにやと笑ってみたり、もっと打て
と挑発する岡田山
この二人の対戦
ボクシングというよりは石器時代の、それこそ、野人対野人といった様相
7回ラスト20秒、荒井の渾身の左フックが、絶好のタイミングでカウンターで、入ったにも
関わらず、倒れない岡田山
最終8回ラスト30秒では、逆に、岡田山が攻勢に
判定は、79-72 80-72 80-72 3-0で荒井の勝ち
岡田山は2回にオープンブローでの減点、6回にバッティングでの減点
KOはできなかった荒井だが、1回から手数を切らさず、攻め続け、さらに、「攻め疲れ」を感じ
させる場面がなかった
スタミナ強化、という課題を着実にこなしていることがわかり、高く評価したい
ただし、岡田山への攻撃、特に詰め方について、工夫がなかった
外側から、左右のフックを振り回すパターンに終始
たとえば、外からフックを入れて、ガードを開けさせて、真ん中からアッパー
逆に、アッパーを打ってから、外からフック、といった「内・外の打ち分け」がもっとあって
よかった
「Bタイト」準決勝戦では、帝拳ジムの佐藤が、岡田山からダウンを奪っている
ダウンを奪ったパンチは、インサイドからのストレート
フックばかりでなく、脇を締めたストレートをもっと打ち込めれば、ダウンを奪えたようにも
感じられた
第6試合 スーパーフェザー級8回戦 ○小口雅之(3-0判定)日下研也●
「カツラボクサー」小口(11勝3KO4敗2分け、草加有沢ジム)が、アマ戦績90戦65勝25敗
を誇るセレスジムの日下(2勝2敗)に、3-0の判定勝ち
(78-75 79-74 79-74)
約1年前の2005年12月13日の「カツラはがれ事件」で一躍、脚光を浴びた「カツラボクサー」
小口
この日は、交際中の女性が大好きな「KAT-TUN」の亀梨和也の髪型をモデルにしたカツラ
で登場
試合は、サウスポーの日下に、左に回りながら、左の上下、右ストレートで、小口が先制
インサイドから、コンパクトなストレートを打ち込み、上下にパンチを散らす小口が。手数、
有効打ともに、リード
4回ラスト10秒、小口の右がカウンターで入り、ぐらつく日下
5回には、偶然のバッティングで、日下が、眉間をカット
ドクターチェック後、試合再開
吹っ切れたような表情で、気合いの奇声とともに、日下は前に
小口は、日下のプレスを正面から受け止めて、インファイト
試合は、頭をつけあっての打ちあいになるが、接近戦でも、小口は手数にまさる
日下は、距離を詰めた後に、スムーズに手が出ず、小口の反撃を許してしまう
勝敗は、判定に持ち込まれ、3-0で小口の勝ち
ただし、気迫を前面に出して、接近戦を挑んだ日下の闘志は光り、場内からは暖かい拍手
第5試合 ライト級6回戦 ○岩渕真也(3-0判定)生田真敬●
スパーリングでは、すでにランカークラスの実力と、評価の高い草加有沢ジムの岩渕(5勝4
KO2敗)が、ワタナベジムの生田(4勝2KO3敗)に3-0の判定勝ち
(58-57 59-56 60-56)
ガードが固く、スタンスを広めにとって、右を振るう生田
サウスポーの岩渕は右に回っての右フックを上、下にダブルで、放つ
生田の右は、岩渕にブロックされて有効打につながらない
しかし、岩渕もA級昇格がかかったかかった一戦という事もあってか、いつもより動きが
固く、慎重な姿勢
3回以降、生田は左フックに活路を見い出す
この試合、右に回っての右フック、を多用していた岩渕
この右のパンチに合わされる形で、生田に左フックを打たれると、もらいやすい印象
右のパンチの打ち終わり、頭を振って、足を使って、立ち位置を変える、といった工夫が欲しい
ところ
それでも、岩渕はラスト1分の時間に、きれいにパンチをまとめて、山を作り、ポイントアウト
最終6回 スタミナの消耗が激しく、ダメージの深い生田はダウン寸前に
岩渕は、生田の左フックはもらっていたが、スタミナの余力は十分 ダメージも感じられない
勝敗は判定に持ち込まれ、3-0で岩渕の勝ち
岩渕は、デビュー2連敗後の、6連勝
晴れてA級ボクサーの仲間入り
第4試合 スーパーウエルター級6回戦 ○長谷川直紀(3-0判定)末原功太郎●
今年3月に行われた試合の再戦
草加有沢ジムの長谷川(4勝3KO8敗1分け)が、宮田ジムの末原(5勝3KO6敗)を判定
で下し、返り討ち
1回1分40秒過ぎ、いきなり長谷川がダウンを奪われる波乱のスタート
しかし、立ち上がった長谷川は、左ボディアッパーを中心に、標的を、末原のボディに
しぼった反撃
2回からは、両選手、頭をつけての打ち合い
長谷川のボディ攻撃はしつこく、手数、有効打ともに、長谷川
末原は、外側からのパンチが中心で、長谷川に中に入られると不利に
4回、スタート早々に、長谷川が右ボディから上に返して、末原からダウンを奪い返す
5回 最終6回と、インファイト
やはり上下にパンチを散らす長谷川のペースか
勝敗は判定に持ち込まれ、3-0で、長谷川の勝ち
第3試合 ライトフライ級4回戦 ○成田彰久(1回35秒TKO)芳賀誠●
草加有沢ジムの成田(1勝1KO1敗)と、山龍ジムの芳賀(1勝1KO1敗)の一戦
スタートから、前に出て、攻勢をとったのは芳賀
ロープに詰められた成田だったが、反撃の右ストレートが、カウンターでクリーンヒット
まともに、芳賀のアゴを打ち抜く一撃となり、芳賀はキャンバスに崩れ落ちる
即座に、レフェリーが試合を止めて、成田のTKO勝ち
勝った成田は、感極まって、涙
しきりに、グローブで眼を拭う
第2試合 ミニマム級4回戦 ○村尾和也(4回55秒TKO)澤田純一●
草加有沢ジムの村尾(1分け)が、新松戸高橋ジムの澤田(1勝1KO1敗)を、4回TKOに
下して、プロ初勝利
1回は、サウスポー澤田のペース
身長、リーチに劣る村尾は距離を詰めて、前に出るが、澤田は、右を突きながら右に回って
距離を作って、左を打ち込む
打っては動く、澤田に、村尾の前進は巧みにさばかれてしまう
2回もほぼ同じ流れだったが、村尾は、ウイービング、ダッキングを織り交ぜて、前進
澤田はなんとか、村尾のプレスをさばくが、村尾のウイービング、ダッキングの効果か
自分のパンチの命中率が1回に比べて、明らかに悪くなっている
微妙に試合の流れが変化しつつある印象
3回は、一転して、村尾のペース
上下にパンチを散らしながら、強烈にプレスを強める村尾が、手数、有効打ともに優位に
光ったのは、近い距離でのアッパー
外からフックを打ち込み、空いた真ん中に、アッパーを打ち込む、コンビネーションが次々
に決まる
4回 ダメージの深い澤田に、村尾は連打をまとめて、レフェリーストップ
村尾が、みごとな詰めを見せて、プロ初勝利
第1試合 ミドル級4回戦 ○星野昌志(3回1分48秒TKO)松井亮介●
両選手、デビュー戦
草加有沢ジムの星野が、ワタナベジムの松井に3回TKO勝ち
ガードを上げて、あごを引いて、きちんとした右ストレートを打つ星野
松井は、ガードが低く、あごも上がっていて、パンチもオープン気味
「我流」のボクシング
体もややふっくらとしていて、もっと絞れる印象
試合は1回、2回と的確に右を当てていた星野が3回にラッシュをかけて、レフェリー
ストップTKO勝ち
最後に一言
終わってみれば、全8試合全てが草加有沢ジム勢の勝利に
有沢兄弟が現役を引退し、川崎タツキ選手も34歳
荒井、小口、岩渕など新たに同ジムの柱となるべきボクサーに、さらに、自信をつけさせて
順調に実力を伸ばして、育てていきたい、という同ジムの期待に選手がしっかりと応えた形
第一試合登場、デビュー戦の星野選手から、メインを務めた川崎選手まで
草加有沢ジムのボクサーは、基本を大事にしたボクシングを貫いていた
特に、印象に残ったのは「ボディブロー」の重要さを全ての選手がきちんと理解しているように感じられた点
見栄えは地味でも、コンビネーションに幅を広げ、攻撃にリズムを作り、相手のスタミナを
奪い、動きを止めて、ガードを下げさせるパンチが「ボディブロー」
例外なく、この興行に登場した選手は、その重要さを十分に理解したボクシングを行っていた
川崎選手の日本タイトル再挑戦、荒井選手、小口選手の日本タイトル初挑戦はあるのかどうか
来年の草加有沢ジムの選手の動向に、ボクシングファンの関心は集まっている
これからも、基本を重視した選手作りを進めながら、2007年を飛躍の年に。
草加有沢ジムの今後におおいに期待!
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