「沖縄の野人」竜宮城対「14戦全勝男」鈴木徹 (2.5後楽園ホール) |
「第61回ダイナマイトパンチ」 横浜光ジム主催
メインは、ランカー対ノーランカー
スーパーフェザー9位の竜宮城(沖縄ワールドリンクジム) 対 鈴木徹(横浜光ジム)
この両者、全くの好対照
竜選手は、沖縄出身、31才のハードパンチャー
戦績は17戦14勝12KO1敗2分け
かなり毛深く、分厚い胸はもちろん、日本人には珍しく、背中から両肩まで、体毛で覆われて
いる
男性ホルモンの分泌が多い場合、体毛が濃くなるそう
逆に、男性ホルモンは、頭髪には阻害要因になる
毛深い人に「若ハゲ」が多いのはそのため
ちなみに、米国で大ヒットした発毛促進薬に「プロペシア」というのがある
この薬は、男性ホルモンの働きを阻害する作用があり、この作用を通して、発毛を促す
竜選手は、毛深い上に、ひたいのスペースが人並みはずれて広い
ひらたくいえば、「若ハゲ」 (失礼!)
つまり、尋常ではない大量の男性ホルモンの分泌量を誇る「男の中の男」
体毛の生え具合、頭髪の後退ぶりに加えて、竜選手
容貌も精悍で無骨、男っぽい
「沖縄の野人」といった雰囲気
これで、テクニシャンのアウトボクサーだったりしたら、大笑いなのだが
もちろん、ファイトスタイルも極めて、男性的
後ろに下がらず、手数を繰り出し、前に、前に
2004年ビータイト、フェザー級優勝
17戦14勝12KOの戦績からもわかるように、凄まじいKOパンチャーだ
他方、対照的に、対戦相手の鈴木選手は、センスのかたまりのようなテクニシャン
2004年全日本新人王、2005年A級トーナメント優勝
戦績は14戦全勝、ただし、KO勝ちは3試合
リスクを冒してまで、KOを狙わずに、確実に勝ちに行く戦い方
スピードを生かし、足を使って、自在に動き回り、巧みな防御技術で、相手の攻撃を空回り
させる頭脳的なボクシング
年齢はいまだ20歳
竜選手に比べて、およそ一回り若い
都会的な甘いマスクで、女性ファンも多そう
もちろん、ムダ毛なんぞは生えておらず、つるっとした肌 頭髪もふさふさだ
「沖縄の野人」対「都会派の若きスピードスター」
鈴木が勝てば、全勝のまま、ランク入り
年内の日本タイトル挑戦に向けて、展望が大きく開ける
31才、ランク9位の竜にとっては、正に崖っぷち
この一戦に敗れれば、ランク落ちになる公算大
好対照の二人が、今後のボクサー人生を賭けて、激突
セミには、「自分流」小林生人選手が登場
昨年、全勝で挑戦した日本フェザー級タイトルマッチ
王者、角海老宝石ジムの渡邊一久選手に敗れ、その後、同じく角海老宝石ジムの秋葉選手
にも敗れ、ランク落ちに
しかし、小林生人は、このままでは終わらなかった
昨年12月5日、本来の小林らしい切れのあるパンチを取り戻し、再起戦に、みごとな白星
( 過去記事 あります )
再起第二戦の今回の相手は、タイのダオルン・シットソーエイ
2004年3月デビュー 11戦6勝1KO5敗
早い回でのKO勝利が期待される
アンダーカードには、横浜光ジムの「無敗男」2選手が登場
第5試合に、6戦5勝3KO1分けの李列理
第4試合に、6戦6勝3KOの赤穂亮
鈴木、李、赤穂、横浜光ジムの誇る「無敗男」に、小林生人の再起第二戦
「第61回ダイナマイトパンチ」の熱闘をレポート
第7試合 メイン フェザー級8回戦 ○竜宮城(2-0判定)鈴木徹●
日本スーパーフェザー級9位、「沖縄の野人」竜宮城と、14戦全勝の「スピードスター」
鈴木徹の一戦
前に出る竜に対して、下がりながらも鈴木は左フックをヒットさせる
竜は、正面から、顔面を狙うパンチ一辺倒
ほとんどのパンチを鈴木はかわす
距離が詰まると、鈴木は、強引にクリンチ
竜の強打は封じられてしまう
前に出て、攻勢をとっているのは、竜だが、パンチを当てているのは鈴木という展開
採点基準で、もっとも重視されるべきは、有効なクリーンヒット
1回から3回まで、私はすべて、鈴木に
ただし、竜のプレスも凄まじい迫力
まともに当たったらダウン間違い無しと思えるパンチ
この強い圧力の影響か
鈴木は、竜の攻勢をかわし、サイドにステップを踏むときに、半身になって背中を相手に向け
る動きが目に付く
竜のプレスに、鈴木が圧迫されて、逃げていると映る動きで、竜陣営のファンからは非難の
声
ジャッジの印象もよくないはずで、レフェリー阿部も、再三、注意
4回 1分過ぎ 竜の左ボディアッパーがヒット
この試合、はじめてといってよいクリーンヒット
この一発を評価して、この回は竜のラウンドに
5回 1分50秒過ぎ 前に出る竜にロープに詰められた鈴木だが、カウンターの右ショート
これが、まともに、竜の左テンプルに
ぐらつく竜
反撃に出る竜だが、鈴木は、ステップワークでかわし、かわしきれないとみるや今度は
クリンチで距離をつぶす
とにかく、徹底的に「打ち合い」をさけるのが、鈴木サイドの作戦のよう
クリーンヒットがない竜にポイントを与えるわけにはいかず、この回は有効打にまさる
鈴木の10-9
6回も有効打にまさっていたのは、鈴木
7回はやや鈴木に疲れの色
前半ほどは、足が動かず、スピードが鈍る
その分、クリンチを多用
明らかに、ホールド気味のクリンチも
この回は攻勢を評価して、竜のポイントに
最終8回を残して、私の採点では、3ポイント差で鈴木
8回 必死に前に出る竜
この回もクリンチでしのぐ鈴木だが、ついに、レフェリーが1点減点
両選手ともに、有効打を欠くが、この回も前に出て、攻勢をとる竜が優位
試合終了
勝敗は判定に
私の採点では、76-75 1ポイント差で鈴木の勝ち
しかし、ランカー対ノーランカーの対戦の場合、ジャッジはノーランカーに辛めに
ランカーに甘めにつける傾向がうかがえる
とはいっても、興行の主催者は、横浜光ジム
全勝のホープ、鈴木に黒星はつけにくい
よって、「ボクレポ」は、ドローを予想
判定発表!
76-76 77-76 78-74
2-0で、竜宮城の勝ち
78-74はないだろうと思えたが、判定はほぼ妥当
最終回の減点がなければ、ドローとなっていた
初黒星となった鈴木だが、まだ20歳の若さ
長い目で見ると、この段階での負けは、本人のためになるはず
この試合を通して、見えてきた課題は、「アウトボクシング」について
強打の竜に対し、真っ向からの打ち合いを避けた作戦は賢明
鈴木は「アウトボクシング」で竜をさばき、詰められたら、くっついて、距離をつぶし続けた
しかし、あくまでも「エキサイトマッチ」のジョーさんの受け売りなのだが
「動いてから、打つ」のではなく、「打ったら、動く」のが「アウトボクシング」の鉄則
力点はあくまでも、「打つ」というほうに置かれなければならないというのが、ジョーさんの主張
そうでないと、ただ逃げ回っているように見えて、ジャッジの心象を損ねてしまう、という
竜の出鼻に、パパパーンと、二発、三発、連打を決めて、そのあと、回って、かわして、
あるいは抱きつく
ジャッジには、最初に連打で先手をとっていた印象が強く残る
また、竜の前進にたびたび、左フックをヒットさせていたが、返しが見られず、単発に
少しでも足を止めて打つと危険という判断があったのだろうが、やはり、単発ではせっかくの
有効打が印象に残らない
勇気を持って、足を止めて、連打をまとめて、そのあと、足を使って、竜の強打をかわす
こういう展開がもっと、見られれば、ジャッジの印象も変わっていたはず
ハンドスピードと、パンチ力、の強化
要は、攻撃力の強化
これが、鈴木選手の課題と思う
実は、この試合で採った鈴木選手の作戦は、渡邊一久選手(角海老宝石ジム)がとった
作戦とほぼ同じ
2005年4月18日 渡邊選手は、正面からの打ち合いは避け、スピード重視のボクシング
を展開
打っては、離れ、竜の前進には、クリンチで距離をつぶす
勝敗は、判定にゆだねられ、ジャッジは渡邊を支持
竜は初黒星を喫し、渡邊はランクインを達成
その後、渡邊は一気に、日本フェザー級王者に登り詰めた
なぜ、ジャッジは、渡邊を支持し、鈴木を支持しなかったのか
やはり、「攻撃力」の優劣と、そこからくる見栄えのよさ、だと思う
他方、竜選手にも大きな課題が
攻撃が単調 上を狙いすぎている
4回のクリーンヒットは左のボディ
あの一発は、一瞬、鈴木の動きを止めた
明らかに効いた一発だった
やはり、足を使い、ディフェンスに長けた選手には、「上」よりは「下」を狙うのがセオリー
下を打って、弱らせて、足を止めさせて、後半に、上にかえして、KOする
このパターンを自分のものにしないと、これ以上の飛躍は望めないのでは
何はともあれ、崖っぷちでかろうじて、持ちこたえた竜選手
念願の日本タイトル挑戦の実現を期待したい
第6試合 スーパーフェザー級8回戦
○小林生人(3回2分59秒KO)ダオルン・シットソーエイ●
横浜光ジムの小林(14勝9KO2敗)が、タイのシットソーエイ(6勝1KO5敗)に、3回2分59
秒、KO勝ち
1回から、小林は切れのあるパンチをコンビネーションで打ち込み、ペースを握る
いきなりの右から、左の返し ワンツーフック
2回は、重点的にボディ攻め
シットソーエイは、実力不足な上に戦意に欠ける
ボディを攻められ、苦しそうな表情
3回 1分50秒過ぎ 小林の連打でダウン
2分40秒過ぎ、右ストレートで2度目のダウン
立ち上がるも、打ち込まれ、棒立ちとなったところで、レフェリーが試合を止めた
第5試合 フェザー級8回戦 ○李列理(3-0判定)ヨドモンコン・シンマナサック●
横浜光ジムの「無敗」のホープ、李列理(5勝3KO1分け)が、タイのヨドモンコン(4勝3KO
2敗)に、3-0の判定勝ち
左のフェイントを効かせながらの、連打が冴える李が、1回から優勢
しかし、タイのヨドモンコンは18才と若く、体格も李より一回り大きい
李のパンチのダメージを吸収
逆に、迫力十分の右フックをスイング気味に、打ち込んでくる
2回には、タイ人の右で、ぐらつく場面も
しかし、李は、3回から、自分のペースを取り戻し、高速のワンツー、コーナーやロープに
詰めて、手数をまとめ、ポイントアウト
反撃のヨドモンコンのパンチの威力は、見た目にも十分で、後半、李の顔面は腫れ気味に
この強打を警戒してか、今一歩の踏み込みが見られず、李は、ヨドモンコンからダウンを
奪うことはできない
勝敗は、判定にゆだねられ、78-74 79-75 79-74
手数と有効打にまさる李が3-0で判定勝ち
第4試合 スーパーフライ級6回戦 ○赤穂亮(1回1分41秒KO)桐野将人●
6戦6勝3KO 横浜光ジムの「全勝男」赤穂が、神拳阪神ジムの桐野(3勝3敗2分け)に
1回KO勝ち
浅黒く日焼けし、野性的で、精悍な表情の赤穂は、スタートから、力強いパンチを打ち込み
桐野を圧倒
KOパンチは、右ストレート
桐野は、後頭部からキャンバスにたたきつけられ、自力では立ち上がれず
担架が用意され、医務室に
私見では、赤穂選手、この日の興行のMVP
順調に伸びれば、2年以内に、日本、さらに、3年以内には世界を狙える逸材
要注目!
第3試合 スーパーフェザー級6回戦 ○谷口浩嗣(3-0判定)梶川悠●
横浜光ジムの谷口(4勝1KO2敗2分け)が、宮田ジムの梶川(6勝1KO2敗)に、3-0の
判定勝ち
(58-57 58-57 59-57)
リーチに恵まれた谷口は、左で距離をとって右、距離が詰まれば、アッパーで迎え撃つ
戦い方
梶川は、低い姿勢から前に出て中に入って、しつこくボディ狙い
打たれても打たれても前に出る梶川の気持ちの強さは光ったが、パンチが手打ち気味
有効なダメージを与える事ができず、迎え撃つ谷口のストレート、アッパーをもらい続ける
谷口は、身長の優位を生かして、距離が詰まると、上からクリンチして、距離をつぶす戦法
も
前に出て攻勢をとっているのは梶川 有効打では、谷口という展開
勝敗は、判定にゆだねられ、有効打にまさる谷口が、僅差で判定勝ち
第2試合 バンタム級6回戦 ○玉城学(2-0判定)高見澤孝介●
横浜光ジムの玉城(4勝3敗2分け)が、輪島スポーツジムの高見澤(5勝3KO6敗2分け)
に2-0の判定勝ち
(58-58 58-57 59-56)
ガードを下げて、パンチをスウエーでかわし、トリッキーな動きから、右を打ち込む高見沢
右を打つや、体を預けて、クリンチに出る動きも目立つ
変則的な高見澤のボクシングに対し、玉城のボクシングは基本に忠実
左リードジャブの手数を切らさず、ワンツー、ボディをからませて高見澤を攻める
私の採点は、59-57で、高見澤
我流、変則的でありながら、与えたダメージは、高見澤のほうが上と判断したのだが、公式
のジャッジの採点は、58-58 58-57 59-56
2-0で、玉城の勝ち
第1試合 ライトフライ級4回戦 ○黒澤俊(3-0判定)溝尾元洋●
木更津グリーンベイジムの黒澤(2勝1敗1分け)が、協栄ジムの溝尾(3勝1KO3敗)に、
3-0の判定勝ち
(40-36 40-37 40-37 )
黒澤は右を当てるのが巧み
溝尾は、ブランク開けの復帰戦だったが、実戦の勘がよみがえらないのか生彩を欠く
黒澤の右が当たり、手数と有効打で黒澤の勝ち
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