粟生に勝った男を下した24歳!横枕主役のF赤羽興行(4.4後楽園ホール) |
フラッシュ赤羽ジム主催
この興行の主役は、フラッシュ赤羽ジムの横枕敬治 6勝5KO5敗2分け 24歳
2006年B級トーナメント バンタム級準優勝
このB級トーナメント 横枕は、「粟生に勝った男」を下し、決勝戦に進出している
「粟生に勝った男」とは、帝拳ジムの山中慎介
あの高校六冠、現日本フェザー級チャンピオン粟生隆寛に、アマチュア時代、土をつけた
以来、粟生はアマプロを通じて、72連勝 一切負けていない
横枕がはじめて「主役」に登り詰めたこの興行
セミセミでは、フラッシュ赤羽ジム期待のホープ 村中優が登場
ランカークラスと互角、ときには互角以上のスパーをこなす
昨年の新人王トーナメント東日本準優勝
決勝で、全日本新人王に輝いたワタナベジムの金城に接戦の末、判定で敗れた
よほど悔しかったのか、相手側陣営への挨拶も行わず、判定結果を聞くや控え室に直行
した村中
ジム仲間やトレーナーが見守る中、号泣した、という
再起の対戦相手は、白井具志堅ジムの福永
村中同様、彼も昨年の東日本新人王トーナメントに出場し、優勝した金城に敗れている
メインは、日本ライトフライ級2位、レイスポーツジムの家住勝彦がタイ人と8回戦
21勝15KO6敗3分けの家住は27歳
このクラスとしては、高いKO率を誇るハードパンチャー
前回の試合、元世界ミニマム級王者、現WBAライトフライ級4位、タイのチャナと対戦
3回にダウンを喫し、結局、この失点が尾を引いて、ドロー
世界ランク獲得の大きなチャンスを逃してしまう
( この一戦については 過去記事 あります )
この日の対戦相手は、6勝4敗、タイのペッチェックシット・コプルカンピン
年内の日本王座挑戦を目指す家住にとって、取りこぼしは決して許されない再起戦
ほかに6回戦2試合 4回戦4試合
全9試合 フラッシュ赤羽興行を、今回は試合順に完全レポート
第1試合 バンタム級4回戦 ○寺尾浩樹(3-0判定)深沢雄太●
ともに、デビュー戦のフレッシュ対決
フラッシュ赤羽ジムの寺尾が、レイスポーツジムの深沢に3-0の判定勝ち
( 40-37 40-37 40-36 )
寺尾は、パンチ力はないが、防御勘にすぐれたボクサー
「あしたのジョー」だと「青山クンタイプ」(わかる人だけわかればいいです?)
深沢のパンチを、まともに受けることなく、打ち終わりにていねいに右を入れて、集中力を
切らすことなく大差の判定勝利
デビュー戦を白星で飾る
第2試合 ライト級4回戦 ○菊地陽平(4回2分8秒TKO)重野正章●
デビュー戦同士のフレッシュ対決パート2
五代ジムの菊地が、ジャパンスポーツジムの重野に4回TKO勝ち
1回菊地、2回重野、優位の流れ
3回はほぼ互角
4回、スタミナ消耗の重野に、菊地が連打をまとめ、レフェリーストップを呼び込んだ
第3試合スーパーフェザー級4回戦○寺尾知千(3回1分30秒TKO)高橋正光●
レイスポーツジムの寺尾(1勝1敗)が、ワタナベジムの高橋(1勝1敗)に3回TKO勝ち
寺尾は力強い踏み込みからの伸びのあるパンチで1回から圧倒
高橋は受けに回らされ、手数が出ない
そして3回 寺尾の右クロスがクリーンヒット
ワタナベジム、高橋陣営からは、即座にタオル投入
寺尾のTKO勝ちに
キャンバスに倒れたままの高橋
ダメージは重く、担架で運ばれる事態に
第4試合 ライトフライ級4回戦 ○中村一弘(3-0判定)石井文哉●
伴流ジムの中村(3勝1敗)が、フラッシュ赤羽ジムの石井(3勝2敗)に3-0の判定勝利
( 40-36 40-36 39-37 )
中村は、金子ジムのフライ級世界ランカー清水選手によく似た「イケメン」ボクサー
対する石井選手も「イケメン」(と思う・・・)
石井は、昨年度東日本新人王トーナメントに参戦
1回戦を突破したものの、2回戦で、全日本新人王戦ライトフライ優勝、MVPにも輝いた
新田ジムの黒田選手に1回KO負け
( この一戦については 過去記事 あります )
黒田の強烈なパンチをまともにもらった石井は、眼窩骨折
引退もありえたが、現役続行を選択
手術を受け、リハビリを経て、眼も完治
サウスポーの石井に対し、「合気道ボクシング」ともいうべき伴流ジム独特のボクシング
の中村
「静から動へ」 「動から静へ」
じっと様子を伺う静かな体勢から、いきなり大胆に踏み込んでの右オーバーハンド 左フック
迫力ある大振りのパンチの前に、石井は押され気味
思うように手数が出ず、ペースを握れない
気になったのは石井のガード
きちんとグローブを上げてはいるのだが、中村選手の強いパンチをしっかりとはじき返して、
確実に衝撃を殺してみせる、「固さ」が感じられない
ガードもろともパンチを被弾し、効いてしまっていたような印象を受ける
また、ガードするだけで、精一杯で、打ち終わりにすぐにリターンを入れる、といった攻防の
切り替えの速さが見られない
最終4回まで、中村のペース
勝敗は、判定にゆだねられ、3-0で中村の勝ち
第5試合 フェザー級6回戦 ○鎌田剛幸(2-1判定)吉田尚司●
花形ジムの鎌田(5勝1KO3敗3分け)が、フラッシュ赤羽ジムの吉田(5勝2KO3敗)に、
2-1の判定勝ち
( 59-56鎌田 58-57吉田 58-57鎌田 )
両選手、サウスポー
1回 鎌田が力強い左で流れをつかむ
ところが2回 鎌田の左がクリーンヒットした直後
気を良くして、前進する鎌田に、吉田のショートの右フック
腰から落ちる鎌田 ダウン
立ち上がった鎌田 タイミングでもらったダウンのようで、ダメージはあまり感じられない
3回以降、1回の流れを引き継いだ形で、鎌田の優勢
両選手、同じサウスポーでありながら、吉田が上体を立てたアップライトの構えに対し、鎌田
は頭を低くして、重心を下げた構え
アップライトの構えで、空きがちなボディを狙われる吉田
距離を詰められ、鎌田のプレスをさばききれないまま試合終了
勝敗は、判定にゆだねられ、2-1で、鎌田の勝ち
第6試合 フェザー級6回戦 ○山田直毅(2-1判定)本橋正行●
T&Tジムの山田(4勝1KO6敗1分け)が、五代ジムの本橋(5勝3KO7敗)に2-1の判定
勝利
( 58-57山田 58-57本橋 57-56山田 )
1回からアグレッシブに前に出ていたのは本橋
しかし、有効打は少なく、山田は的確にブロック
しかし、山田は手数が足りない
3回以降は、両選手、互角の打ち合い
最終6回ラスト10秒、山田にロープを背負わせて、山を作る本橋
本橋の勝ちに見えたが、判定は、2-1で山田の勝ち
第7試合 フライ級6回戦 ○村中優(3-0判定)福永真也●
2006年東日本新人王トーナメント準優勝、フラッシュ赤羽ジム期待のホープ、村中(7勝
2KO2敗)が、白井具志堅スポーツジムの福永(5勝2KO3敗1分け)に3-0の判定勝ち
( 58-56 58-57 60-56 )
1回 開始早々、村中の右クロスがクリーンヒット
しかし、2分過ぎには、福永のワンツーフック
両選手、スピードにあふれた動きで、軸もぶれず、フライ級でありながら、迫力十分
2回1分半過ぎ 村中はパンチをまとめ、見せ場を作る
3回も村中のペース
頭を振って、上体を動かしながら、左の上下のダブル いきなりの右オーバーハンド
アウトサイドからの大きなフックに、インサイドからのショートフック、ショートアッパー
をフォロー
上下、内外の打ち分けも巧みで、福永は3回、村中のヒッティングで左眼をカット
しかし、4回、形勢不利とみたのか福永も必死の反撃
足を止め、近い距離でのインファイトに村中も応じ、激しい打ち合いに
体全体のパワーでは、福永にやや劣った印象の村中
福永の得意な距離でのインファイトにあえて応じた形になったが、この打ち合いはほぼ互角
勝敗は判定にゆだねられたが、前半から中盤にかけて、多彩なコンビネーションでポイント
をリードした村中が3-0の判定勝ち
第8試合 54.5キロ契約8回戦 ○芹江匡晋(3-0判定)横枕敬治●
主催興行での主役を任されたフラッシュ赤羽ジムの横枕(6勝5KO5敗2分け)と、伴流ジム
の芹江(7勝2KO3敗)の一戦
「横枕対芹江 魂が震える名勝負の予感」
この日の興行の計量に立ち会ったレポートをアップした際の「タイトル」
2006年B級トーナメント、一回戦は、豪快な「横枕アッパー」でのKO勝ち
準決勝では番狂わせの優勢勝者扱いで「粟生に勝った男」山中慎介(帝拳ジム)を下し
決勝では、最後まであきらめない勇気溢れるファイトで、敗れたとはいえ、見るものの胸を
打った横枕
B級トーナメント敗戦後の再起戦の相手は、バンタム級の横枕から見れば、二階級上の
フェザー級の芹江
普通に考えれば、勝ち目がない厳しいマッチメイク
しかし、同じく勝ち目がないと思われていた「粟生に勝った男」山中をも下した「意外性」が
横枕の魅力
あの山中戦のような捨て身の踏み込みから体重の乗った強いパンチが決まれば再度の
番狂わせも十分可能
芹江も伴流ジムの選手らしく思い切った踏み込みからの力強いパンチが持ち味
両選手の「ビリーブフィスト(信じる拳)」が熱く交錯
素晴らしい名勝負になると期待
青コーナーから横枕入場
入場曲はフラッシュ赤羽ジムのテーマ曲
この興行の「主役」が横枕であることの何よりの証明
1回 芹江は、伴流ジム流の大振りの右オーバーハンドで横枕をけん制
一転、ガードを下げて、横枕の打ち気を誘う
カウンター狙いの「待ちの戦法」
横枕は、豪快な芹江のパンチを見せられているだけに、中に入れない
両選手とも手数が少なく、見合う展開で、1回終了
10-10 ただし、あえて差をつけるとすれば芹江のラウンドか
「魂が震える名勝負」どころか「単調な展開の凡戦」に終わる・・・・
この段階で、いやな予感が
2回も静かな展開
ただし、効果的にプレッシャーをかけて、ペースを握っているのは芹江に映る
手数も上
横枕は、クロス警戒からか左のリードも出ない
芹江の10-9
3回 カウンター警戒からガチガチの横枕に対し、芹江は余裕しゃくしゃく
あえて、サウスポーにスイッチしたり、打つぞ、打つぞ、とフェイントを入れて、横枕に
プレッシャー
2分過ぎ 芹江、大胆に飛び込んでの左フック
ラスト15秒 芹江、右から左フック
横枕も迎え撃つが、芹江には当たらない
芹江が巧みな点は、打ち終わり、必ず立ち位置を変えていること
「打っては動く」を実践
単発、大振りのパンチが多いにも関わらず、カウンターを合わせにくいのはそのため
3回も10-9で芹江
4回も展開は変わらず
横枕は芹江の術中にはまり、押されっぱなし
とにかく、手数が出ない 踏み込めない
かたや芹江も横枕の強打を警戒
強引に止めを刺そうとはせず、着実にポイントアウトを積み重ねる作戦
5回は横枕、積極的に局面の打開をはかろうとする
しかし、芹江の変則的な出所のわかりにくいパンチに苦しみ、効果的なプレスをかけられない
この回は、10-10 あるいはやや横枕か
6回 芹江の有効なヒッティングで、横枕、カット 流血
7回も、流れは変わらず、芹江ペース
「ビリーブフィスト」は交錯せず、試合はスイングすることなく、単調な展開に
この流れを変えるためには、強引にリスクを背負って、仕掛けるしかない
最終8回 ついに、捨て身になった横枕
なりふりかまわず、前に
しかし、芹江はクリーンヒットを許さない
試合終了
判定は、78-74 80-74 80-74 3-0の大差で芹江の勝ち
もっと早い回 できれば2回から、横枕は、最終回のような攻勢をとるべきだった
ただし、ボクシングは真剣勝負
真剣勝負に「たら」「れば」はない
早い回から、アグレッシブになりきれず、不利な流れを変えられなかった横枕
明らかに、カウンターを狙っていた芹江に、踏み込んでパンチを打つのはなかなかできる
ことではない
それは、横枕に捨て身になれる勇気がないということではない
言い換えれば、この一戦をもって「勇気がない」と横枕を責めるのは筋違い
「勇気」とは別の次元で、「いくべきときになぜかいけない」ということがボクシングではよく起こる
「いくべきときに(対戦相手に)いかせずに」試合をコントロールするテクニック
それらも含めた総合力で、芹江のボクシングは横枕のボクシングを上回った
重ねて言うが、ボクシングは真剣勝負
「名勝負」になるとの期待がそのままかなえられることは、めったにない
それはわかっているのだが、それにしても期待をかけていただけに、本当に残念
「ボクレポ」の記事を読んで、当日券を買った方が万一、いたとしたら、心から謝りたい次第
当事者ではない者でさえ、これほど残念なのだから、戦って、敗れた横枕はもっと残念な
思いを味わっているはずだ
このあと、どうしても、書かなければならないことが。
ボクシングを愛するファンとして、一言、いっておくべきことがある
フラッシュ赤羽ジムの関係者の中には、気を悪くされる方もいるかもしれない
でも、これもプロボクシングを愛し、フラッシュ赤羽ジムのことを思えばこそ
どうかご容赦いただきたい
横枕対芹江の一戦のあとの休憩時間
場内の失望感、沈痛な空気を全く無視するかのように、半裸のコメディアンがリングに登場
プロレスラーのアブドーラ・ザ・ブッチャー、アントニオ猪木のモノマネをやりはじめる
さらに、ズボンを脱ぎ始め、お尻に食い込んだパンツ一丁に
場内からは「もうやめろ」という野次も飛ぶが、このコメディアン氏は、一切かまわず
えんえんと相撲の力士のモノマネを
最後には、「オカマモード」になって、女性のモノマネまでやりはじめる
たしかに、興行に「華」は大切
多少の「笑い」「エンターテイメント」はあってよい
といはいっても
半ケツ状態で、下品極まりないモノマネをするコメディアンというのはあまりにひどくはない
だろうか
せめて、もう少し上品な出し物を見せてくれる「芸人」を呼ぶべきではなかったか
ここはボクシングのリングだ
このコメディアンがモノマネをしていた力士の世界では「土俵」に当たる
相撲の世界では、「土俵」は神聖な場所とされる
男女平等の現代においてなお、女人禁制
女性であることのみを理由に文部大臣の「土俵入り」を断ったことさえあった
これは、さすがに行き過ぎだろう
しかし、戦いの場である土俵が汚されないようその神聖さを守っていこうとする姿勢そのもの
は評価すべきではないだろうか
「ボクレポ」は、いまだに、亀田大毅選手がリングで、歌を唄うのに違和感を抱く
「リングは神聖」という思いがあるからだ
モノマネ終了直後、フラッシュ赤羽ジムの後援者でもあるフードセラピストの丸茂ゆきこ女史
がリングに
「食の気功」をテーマにスピーチをされたが、下品なモノマネの直後の登場になってしまって
とても話しにくそう
場内も、ざわついていて、集中力が切れてしまっている状況
せっかくの丸茂女史のお話に耳を傾けようという雰囲気になっていない
丸茂女史、とても、気の毒・・・・・・・
第9試合 ライトフライ級8回戦
○家住勝彦(3回1分39秒KO)ペッチェクシット・コプルカンピン●
日本ライトフライ級2位、レイスポーツジムの家住(21勝15KO6敗3分け)が、タイのコプルカンピン(6勝4敗)に、3回KO勝ち
取りこぼしなく、順調に勝った家住
陣営は、年内の日本タイトル挑戦、もしくは世界ランク入りを目指す
決めパンチは、左のボディ
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