湯場、強すぎ!日本ウエルター級王座決定戦(4.20後楽園ホール) |
「ボクシング・ルネッサンス・パート4」 ドリームアクション主催
みどころは、メイン
チャンピオンカーニバル 日本ウエルター級王座決定戦
同級1位、湯場忠志 対 同級6位、古川明裕
「日本王座3階級制覇」の湯場は、183センチの長身から繰り出すロングの左、をKOパンチ
にする左ボクサーファイター
都城レオスポーツ所属 30歳
戦績は、35戦29勝21KO4敗1分け
実戦はもちろん、その驚異的な強さは、むしろ「スパーリング」で有名
地方ジム所属、なおかつ重量級というハンデがあり、スパー相手にめぐまれない湯場
そこで、たびたび上京しては、「道場破り」?のように各ジムを回り、スパーリング武者修行
名だたる日本重量級の実力者たちをことごとく「ボコボコ」に
「湯場は強すぎる」
「スパーリングでは湯場が最強」
そんな湯場の最大の敵は「減量苦」
183センチと長身であり、なおかつ骨太な湯場
減量の必要がないスパーリングでは、本来の実力を発揮できるものの
試合では、15キロ以上の減量を余儀なくされ、万全の体調で臨めたことは、ほとんどなかったという
キャリアのスタートは、スーパーライト級
全日本新人王に輝いたあと、ライト級に減量し、日本王座を獲得
その後、スタート時のスーパーライト級に戻し、そこでも日本王座を獲得し、二階級制覇
それでも、デビュー2戦目の判定負け(1996年6月22日 前博志戦)以外は
2003年2月15日、日本スーパーライト級タイトルマッチで佐々木基樹(協栄ジム)相手に
喫した一敗が、唯一の黒星
これ以後、湯場は、ウエルター級に増量
減量苦からは、ある程度、解放されたものの、対戦相手のパンチ力も増してくる
グローブも8オンスから10オンスへ
しかし、湯場は、2005年1月16日、竹中義則(尼崎亀谷ジム)を下し、日本ウエルター級
王者になる
三階級制覇の達成
初防衛戦で、坂東竜(三迫ジム)を1回KO
そして迎えた二度目の防衛戦
対戦相手は、「豪腕」大曲(ヨネクラジム)
この試合で、大曲は、ゴング直後、奇襲
コーナーに背を向けた湯場が振り返ると同時に、渾身のパンチを打ち込む
3度のダウンを喫し、1回KO負け
日本ウエルター級王座から転落した湯場の再起戦は、世界ランカー、マサ・バキロフ
ロングの左で、ダウンを奪いながらも9回負傷判定負け
「湯場限界説」もささやかれたが、そんな評価を一変させたのが、今年1月21日の
新井恵一(高崎ジム)戦
この一戦、チャンピオンカーニバルにおける王者大曲への挑戦者を決める事実上の「挑戦者
決定戦」でもあった
本来なら、大曲は1位の牛若丸あきべえ(協栄ジム)と戦うべきところ
「大曲(おおまがり)だか、小曲(こまがり)だか、知らねえが、首、洗って待っとけ!」
あきべえ、は、以前から、挑発的に挑戦を表明し続けていた
ところが、あきべえのマッチメイクの全権を握っている亀田史郎氏の方針で、大曲戦は
キャンセル
このことで、あきべえ選手は逃げた、と非難する論調がある
しかし、もっとも非難されるべきはあきべえ選手ではなく、亀田史郎氏だろう
あきべえ選手は、今でも大曲選手と戦いたかったはず
「大曲対あきべえ」が流れた結果
そこで、3位の湯場と、5位の新井で、次期挑戦者を決定しようということに
結果は4回KOで湯場の勝ち
王者、大曲が苦戦の末に、9回逆転KOに下した新井を相手に、湯場は4度のダウンを奪い
一方的な内容で完勝
「湯場、やはり強し」を印象付けた
これでいよいよ「大曲対湯場」の夢のカードが見られると思いきや
今度は、眼疾で、大曲が王座放棄
あきべえ、もやはり亀田史郎氏の意向で、湯場とは対戦せず
他のウエルター級ランカーたちも、すでに試合が決定している選手が多く、湯場戦に、手を
上げるものはいない
そんな中、二階級上のミドル級の2005年新人王、スーパーウエルター級7位にあった男
が名乗りを上げる
古川明裕 日立ワールドスポーツ所属 28歳
戦績は、10戦9勝7KO1分け
「怪力」と書かれたトランクスが象徴するように
そのファイトスタイルは、豪快そのもの
大振りパンチを力任せに叩きつけ、対戦相手を腕力でねじ伏せてしまう
1位、湯場忠志 対 6位、古川明祐の日本ウエルター級王座決定戦
「(古川の)あんな大振りパンチが湯場に当たるはずがない」
戦前の予想は湯場の圧倒的な有利
ただし、湯場が負けた佐々木基樹戦 大曲戦を思い返してみると
ハードパンチャーで、距離を詰めて戦うファイタータイプを苦手にしているという見方も
成り立つ
と、すれば、この古川
まさに、湯場の苦手なタイプ
三階級制覇、湯場の王座返り咲きか
それとも、今年のチャンピオンカーニバル、最大の番狂わせが生まれるのか
メインの日本ウエルター級王座決定戦を中心に、ドリームアクション興行の熱闘をレポート
第7試合 メインイベント 日本ウエルター級王座決定戦
○湯場忠志(1回1分32秒KO)古川明裕●
「怪力」のトランクスで今回も入場の古川
続いて、湯場が入場
1回 ゴング直後 グローブタッチもせずに、あの大曲のように、突進する古川
しかし、湯場のふところは深く、クリーンヒットには結びつかず
逆に、湯場の左ストレートがカウンターでヒット
古川、ダウン
しかし、立ち上がる古川は、前に出て、力任せに振り回す
その一発が、湯場の後頭部にヒット
湯場、足がもつれ、キャンバスに
レフェリー浅尾は、スリップの宣告
立ち上がった湯場に、古川は突進
しかし、またもや湯場の左がカウンターでヒット
古川、2度目のダウン
なおも立ち上がってくる古川
鼻血を出しながら、突進
しかし、湯場はさらに、カウンターでショートの左
古川、3度目のダウン
湯場、1回1分32秒、KO勝ち
1年7ヶ月ぶりに、日本ウエルター級王座に返り咲き
「もう一度、ボクシングができるようになったのは、みんなのおかげ」
リング上のインタビュー
感極まって、涙の湯場
この日の興行は全7試合
8回戦3試合に、6回戦と4回戦が1試合づつ
第6試合 フェザー級8回戦
○澤永真佐樹(1回2分11秒KO)ブンチャイ・キャッドパイリン●
日本フェザー級1位、OPBFフェザー級7位、赤城ジムの澤永(19勝7KO7敗4分け)が、
タイのブンチャイ(11勝8敗)に、1回KO勝ち
サウスポーの澤永は、2回、右フックでブンチャイをキャンバスに
テンカウント
澤永は、20勝目
ブンチャイはこれで11勝9敗
ただし、日本で行われた試合での戦績は、6戦6敗
第5試合 スーパーライト級8回戦 ○吉田真(3-0判定)大川泰弘●
2006年スーパーライト級全日本新人王、宮田ジムの吉田(8勝3KO1敗)が、ワタナベジム
の大川(6勝1KO5敗2分け)に、3-0の判定勝ち
( 58-57 59-56 59-57 )
吉田は長身の右ボクサータイプ
大川は、打たれ強さが身上の右ファイタータイプ
あの牛若丸あきべえを相手に、唯一、判定に持ち込んだ選手
「ミスター闘争本能」と書かれたトランクスの大川
コーナー下で、吼えて、気合いを入れてのリングイン
2回までは、大川のペース
頭から、低く入って、吉田の距離をつぶし、体重の乗ったパンチを振るう
ところが、3回ラスト10秒、中に入ってくる大川に、吉田がカウンターの右
4回以降、吉田は遠い距離からワンツー、接近されるとアッパーで、大川を突き放す展開
私の採点は58-56で吉田
ジャッジ3名は、58-57 59-56 59-57 3-0で吉田の勝ち
勝った吉田だが、大川の粘りと、頭からのプレスに目を大きく腫らせていた
第4試合 54.5キロ契約8回戦 ○松本昇之(3-0)矢吹敬●
横浜さくらジムの松本(8勝3KO2敗2分け)が、平石ジムの矢吹(5勝10敗5分け)に3-0
の判定勝ち
( 79-73 80-74 80-73 )
松本が、1回から一貫して優位に進める
手数、有効打、ともにまさり、ボディブローも冴える
矢吹は、下がらされる一方で、後手後手に
しかし、6回以降、松本も攻め疲れ
手数が減って、ラウンドを流す展開
7回、私は、矢吹のポイントに
この回、松本はほとんど手を出さず、守りにまわり続ける
勝敗は判定にゆだねられ、79-73 80-74 80-73
松本が大差の判定勝ち
第3試合 ライトフライ級8回戦 ○須田拓弥(2-0判定)伊東純平●
沼田ジムの須田(6勝2KO2敗1分け)が、ワタナベジムの伊東(7勝4KO5敗)に2-0の判定
勝ち
( 77-77 77-76 77-76 )
須田はボディにもパンチを打ち分けながら、伊東を攻める
パンチに自信があるためか伊東は、やや単発傾向 ねらいすぎ
7回伊東の目の傷がひどく、ドクターチェック
再開後、「止められる危険」を考慮したのか伊東が攻勢
最終8回は打ち合いモード
勝敗は、判定に
2-0で、須田の勝ち
第2試合 58キロ契約6回戦 ○豊川陽樹(3-0判定)梁瀬亘●
戸髙秀樹ジムの豊川(5勝7敗2分け)が、JBスポーツジムの梁瀬(4勝6敗1分け)に3-0
の判定勝ち
( 58-57 59-56 59-56 )
梁瀬は、ほぼすべてのパンチがアウトサイドからのフック系
距離が詰まった場面でも、外側から振り回すばかりで、工夫がない
豊川は、アップライトに構えた右ボクサータイプ
インサイドからストレートをきちんと打てる選手
2回から、梁瀬は、ウイービングを入れて、中に入ろうとするが、相変わらず、外からのフック
ばかりで有効打に欠ける
パンチ力はありそうなので、もったいない次第
勝敗は判定にゆだねられ、3-0で、豊川の勝ち
58-57と、僅差のジャッジが2名いたが、梁瀬の一発の強打を評価したものと思う
第1試合 スーパーフェザー級4回戦 ○桑原健吾(2-0判定)伯耆良之●
横浜光ジムの桑原(1勝)が、ワタナベジムの伯耆(1勝1敗)に、2-0の判定勝ち
( 39-38 39-38 39-39 )
有効打、手数にまさる桑原が、判定勝ち
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