「バイオレンス」奈須勇樹、角海老参上! |
「バイオレンス」奈須勇樹
2005年全日本フライ級新人王 15戦13勝10KO2敗 24歳
大阪、グリーンツダジムからの移籍になる
グリーンツダジムといえば、ここにきて、経営面の危機的状況が表面化
4月に行われた新井田豊(横浜光ジム)との統一戦のファイトマネー350万円のうち、20万円
しか高山には、支払われていないとする前WBAミニマム級高山勝成選手に対するファイトマネー未払い問題発覚
6月12日のJBC(日本ボクシングコミッション)によるグリーンツダジム戸塚貴信マネージャー
への事情聴取
戸塚マネージャーは、「年内にすべて未払いのファイトマネーを返済したい」と謝罪するととも
に自らが代表を務める興行会社グリーンツダプロモーション社の解散を決定
高山自身も含め、現OPBFウエルター級王者、丸元大成選手、「セクシーソルジャー」久高
選手、「浪速のムニョス」楠選手らジム所属のプロボクサーは不安を募らせているというの
が現状だ
奈須選手は、同ジムの経営危機が表面化するギリギリのタイミングで、角海老宝石ジムに
移籍
再出発を期する事になった
「ボクレポ」が奈須選手をはじめてみたのは、2005年12月18日
後楽園ホールで行われた全日本フライ級新人王トーナメント決勝戦
東の代表、ランドジムの斉藤茂郎選手と対戦した奈須選手は3回右ストレート一発で、
ノックアウト勝ち
全日本新人王の座を獲得する
この鮮烈な「右」を目の前で見たボクレポは、以来、奈須選手の動向に注目
大阪での試合は生観戦するわけにはいかなかったが、スカイAのボクシング中継で、放送
される奈須選手の試合はすべてチェック
奈須選手のファンクラブ「チームユウキ」にも、加入した
会員番号は0051
有効期限は、2007年7月
11戦全勝9KO 無敗という戦績を引っさげて、奈須選手が、後楽園ホールに帰ってきたのは
2006年7月6日
この一戦、「ボクレポ」は当然、生観戦
( 過去記事 あります )
対戦相手は、タイのワンミーチョーク・シンワンチャー
そう、あの亀田興毅選手とOPBFフライ級王座を争って、3回KOで敗れたサウスポーだ
亀田よりも早く倒し、実力「ホンマモノ(この興行のタイトルでもあった)」ぶりをアピールして
くれるものと期待したのだが、大苦戦
思い切った踏み込みからのワンミーの左ストレートで、ダウンを奪われ、萎縮してしまったの
か手が出ない
後半、丹念に、ボディを攻めて、ワンミーのスタミナ失速にも助けられて、何とか2-0の判定
勝ちをおさめたが、敗北を宣告されても不思議ではない試合内容だった
次戦は10月8日 大阪・松下IMPホールで、フィリピンのロッキー・フェンテスに判定負け
12月30日の再起戦は、タイのクワンタイ・シットサイトーンに2回KO勝ち
そして、今年3月20日 再び、後楽園ホールに帰ってきた奈須選手は、世界ランカーでもある
サウスポーの翁長選手(沖縄ワールドリング)と対戦
この一戦も「ボクレポ」は生観戦
「チームユウキ」会員に配られた「奈須メガホン」を片手に応援したが、判定負け
( 過去記事 あります )
結果も悪いが、試合内容も悪すぎる一戦
あの必殺の「右」を打ち込むタイミングを最後までつかめず、見合う展開の中、翁長選手の
絶えず繰り出されていた右のリードジャブの手数が評価されての判定負け
「バイオレンス」という異名とはほど遠い消化不良の凡戦になってしまった
この敗北で、明確になったのは、奈須選手の伸び悩み
新人王を奪取し、ワンミーと戦うあたりまでの奈須選手は「こわいものなし」の状態
それが、ワンミーに苦戦した昨年7月の試合を境に、思い切った「右」が打てなくなってしまう
「スランプ」に陥ってしまった奈須選手
もちろん、対戦相手のレベルが上がっていることもあるだろう
たが、それ以上に、本人の「自信」が揺らいでしまっていることが、彼の「右」から思い切った
踏み込みを奪い
試合で、後手後手に回らされてしまう大きな原因になってしまっているように感じられた。
翁長戦の敗北のあと、奈須選手についての関心は薄らいでしまっていたが、今年5月
奈須選手の角海老宝石ジム移籍について、相談をもちかけられることになった
もともと、奈須選手は、グリーンツダジムに所属する前は、新松戸高橋ジム所属
さらに有力な支援者である実業家のお父様の会社は、東京所在
「チームユウキ」の本部事務局も東京にあり、奈須選手の生活基盤はそもそも関東にある
「環境を変えて、勢いのある角海老宝石ジムで思う存分、ボクシングがしたい」
この奈須選手の一途な思いに、できるだけ応えることが、日本プロボクシングの発展に尽くす
ことにつながると「ボクレポ」は考えた
ただし、協力するにあたり、ひとつだけ「条件」をつけた
角海老宝石ジムの「先生」こと田中栄民トレーナーの門下に入り、生活面にはじまって全面
的な指導を受けるということだ
なぜ、田中トレーナー門下なのか
第一の理由は、田中栄民トレーナーは、日本有数の名トレーナーであるということ
渡邊一久に日本フェザー級王座をとらせ、小堀佑介に、日本スーパーフェザー級の王座を
とらせ、また、本望信人をあのエドウイン・バレロを相手にあそこまで善戦させたその背景に
田中という「軍師」の存在がいたことは明らかだ
もともとパンチもあり、身体能力も優れている奈須選手
田中栄民という名トレーナーの徹底した指導がミックスされれば、天性の素質が開花し、それ
こそ「世界」を狙える素晴らしいプロボクサーに生まれ変わることも夢ではない
第二の理由は、「ボクレポ」がもっとも応援している小堀佑介選手に対する側面支援にもつ
ながるというものだ
生来の「自由人」である小堀選手の別の不名誉なニックネームは「サボリ」
才能を過信するあまり、ついつい、練習をサボってしまうところがある
田中門下のボクサーたちは、早朝、「先生」の家に集合し、ロードワークに行く
以前は、渡邊一久選手が田中門下の盟友で小堀選手は、一久と二人で、ロードワークをこな
していた
ところが事情が変わり、一久選手が、葛飾区に引っ越すことになり、早朝のロードワークに
参加するのは、小堀選手一人になることが多くなる
そうなると、「サボリ」モードが頭をもたげてしまうということなのか
コースをこなすのに、異様に時間がかかったり、走った後であるにも関わらず、あまり汗を
かかずにすっきりした表情だったり
しっかり、確かめたわけではないがロードワークをきちんとこなしているのか疑わしく思われて
も仕方がない状況証拠が次々に表面化
しかし、このロードワークに、奈須選手が参加すれば状況は大いに変わってくる
後輩の奈須選手に、ジムの大先輩として、模範を示さないわけにはいかないだろう
「サボリ」でいてもこれだけ強い小堀選手
ここに、「努力」の二文字が加われば、「鬼に金棒」
本当に、世界を狙える素晴らしいプロボクサーになるはずと思うのだ
「移籍した奈須選手の田中門下入り」
「ボクレポ」が提示した唯一のこの条件を、奈須選手、角海老宝石ジム双方とも快諾していた
だき、奈須選手の「移籍」は最終決定
晴れて、6月6日 奈須選手は新幹線で上京
翌6月7日 午後4時 お父様とともに、角海老ジムのあるJR大塚駅に降り立った
「バイオレンス」奈須勇樹、角海老ジム初見参!
ジムに入って、挨拶するや、奈須選手は地下に直行
早速、着替えて、練習したい、と訴える
「大体、動きを少し、見ていれば、どの程度の選手かわかるんだ」
田中先生の一言
着替え終わった奈須選手は、シャドーボクシング
「先生」の目つきが険しく変わる
しばらくシャドーボクシングを見ていた田中先生
奈須選手に近寄ると、熱心にアドバイス
二人の練習はそれからえんえん約二時間
「一からすべてが、変えられている感じ。基礎の基礎から、やり直されている感じです」
練習を終えた奈須選手の感想
すべてが変えられているとは、どういうことか?
「たとえば、左ジャブ。その打ち方ひとつが以前とはまったく違っています」
左ジャブの打ち方から、「先生」の教えはまったく違うという
「以前は、形だけ打つ、といったイメージでしたが、先生からは、相手にダメージを与える
効果的なジャブの打ち方を教えられました」
また、ステップの踏み方も変えられたという
「以前ははねるように、ステップを踏んでいましたが、先生からはすり足でのより重心がぶれ
ないステップの踏み方を教わっています」
目を輝かせて答える奈須選手
他方、「先生」に感想を聞くと
「ちょっと固いな、固い」
「でも、楽しみな選手だな」
まんざらでもなさそうな表情
それが証拠に、先生はその後も連日、奈須選手につきっきりで指導
奈須選手も誰かとは異なり、生来、真面目な選手のようで、
「日曜以外はジムワークを休みません」
6月10日日曜日午後1時からジムで行われた「謝恩パーティ」にも真面目な奈須選手は
「皆勤」
田中先生の手でさばかれた30キロのマグロに舌鼓を打ち
ジムメイトや先輩、トレーナーの方々とともに、写真におさまった
「野村再生工場」ならぬ「田中再生工場」がみごとに伸び悩む奈須選手を再生させるのか
小堀佑介選手の新たな盟友 「角海老宝石ジム」田中門下の「バイオレンス」奈須勇樹の
今後に大いに注目して下さい!
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