ホールに地鳴り!熱戦、川崎タツキ対新井恵一 (9.3後楽園ホール) |
「クリーンファイトボクシング パート4」 草加有沢ジム主催
全7試合中、ピックアップしたいのはメイン
川崎タツキ(草加有沢ジム)対新井恵一(高崎ジム)の一戦です
川崎選手は、日本スーパーウエルター級3位
サウスポーのファイタータイプ
必殺の破壊力を持つ右フックをが武器のKOパンチャー
戦績は、20勝16KO3敗 35歳
日本王座にはじめて挑戦したのは、2006年1月24日
王者は、クレイジーキム選手(ヨネクラジム)でしたがダウンを奪われ、一方的な試合内容
で、9回TKO負け
2度目の日本王座挑戦は、2007年4月5日
王者は石田順裕選手(金沢ジム)
長いリーチの石田選手のふところにはいれないまま、一方的に打ち込まれ、6回TKO負け
( 過去記事 あります)
年齢も35歳になり、もう限界と思われました
しかし、川崎選手は現役続行を決断
再起戦の相手に、敗れた石田選手と同じリーチに恵まれた右ボクサータイプ
新井選手を選びました
新井選手は、日本ウエルター級9位
長いリーチに恵まれた右ボクサータイプで、左ファイタータイプの川崎選手とは好対照
戦績は、12勝4KO4敗1分けの30歳
2006年9月19日には、日本ウエルター級王者、大曲選手に挑戦
優位に試合を進めていた新井選手
日本王座獲得は目前と思われた8回2分半過ぎ
「豪腕」王者、大曲選手の左フックが炸裂します
この一発で、形勢は逆転し、続く9回にKO負け
この一戦は、日本ボクシング史上に間違いなく残る名勝負でした。
( 過去記事 あります )
その後、今年1月21日には、日本ウエルター級1位の湯場忠志(宮崎レオスポーツジム)
と激突
4回KO負け
( 過去記事 あります )
そして、今回、川崎選手と拳を交えることになりました
いよいよ試合開始です
サウスポーの川崎選手は終始、前に出て左右のフック
新井選手、ジャブが少なく距離をとれません
同じリーチのある右ボクサータイプでありながら
このあたりが現スーパーウエルター級日本王者、石田選手との違いです
石田選手は、強い左のジャブを切らさず
常に距離をとって、川崎選手を中に入らせませんでした
新井選手、左のジャブにパンチを合わされるのを警戒したのかもしれませんが
川崎選手は絶妙のタイミングでカウンターを合わせてくるような
そんな器用なタイプのボクサーではありません
1回 10-10 2回10-9川崎 が、私の採点
しかし、3回 新井選手の戦い方に変化が
勇気を持って、左のジャブから組み立てるボクシングに
距離を作って、放たれるロングの右を次々にヒットさせます
3回は、新井選手の10-9
4回も新井選手の右がヒット
惨敗を喫した石田戦とおなじような展開に
ところがこの回1分20秒過ぎ
離れ際に川崎選手のショートの左フックがヒット
新井選手、ダウンです
やはり川崎選手は、パンチがあります
さらに新井選手、偶然のバッティングで、左目上をカット
おびただしい流血です
このまま川崎選手が押し切るかと思われましたが、新井選手も踏ん張ります
5回、6回は、ダウンを奪われ、左目上をカットした新井選手のペースに
左リードで距離をとっての右ストレートが再三、ヒット
やはり、ストレート系の右が、川崎選手攻略のカギのようです
私の採点は、5回、6回ともに、新井選手の10-9
4回のダウンのマイナス2ポイントが帳消しになり、57-57と互角に
35歳とベテランの川崎選手
歴戦の経験から「ここが勝負どころ」と見定めたのでしょうか
7回に入るや強引なまでにアグレッシブに前に
川崎選手が猛チャージをかけます
詰めての左右のフックが決まり、新井選手、ぐらつかされます
「ハートの違いが出たね」
リングサイドに陣取る某関係者のつぶやき
8回も川崎選手のペースです
突き放して距離をとりたい新井選手ですが、どうしてもジャブが打てません
詰められるやグローブでがっちりブロック
川崎選手の強打を殺しにかかりますが、どうしても見栄えは悪い
そもそもクロスレンジは、新井選手の距離ではなく、川崎選手の距離のはずです
しかし、勝敗はまだわかりません
9回1分50秒過ぎ それまで劣勢の新井選手
右クロスが絶妙のタイミングで川崎選手のアゴにヒット
川崎選手の腰が落ちかけます
9回は、この一発を評価して、10-9新井
最終10回は壮絶な打ち合い
新井選手は、左目上の傷から、血を流しながら、憤怒の表情で川崎選手に食らいつきます
血だるま状態の新井選手を殴りつける川崎選手の顔も赤く腫れあがっています
この打ち合いに、ホールは沸騰
そして、地鳴り
ファンの方々、ひとりひとりの床を踏み鳴らす音がホール全体をゆるがせます
試合終了
私は、10-9川崎
試合全体を通した採点は、96-94で川崎選手の勝利
公式のジャッジの採点は、96-94 96-94 97-94
3-0で川崎選手の勝ち
回を追うごとに、めまぐるしく主導権が入れ替わった見ごたえある熱戦を制し
川崎選手がみごとに、再起戦を白星で飾りました
また、今回は特別にもう一試合、紹介したいと思います
この日のセミで行われた草加有沢ジムの荒井「野人」操 対 倉敷守安ジムの真木和雄
の一戦です
荒井・野人・操選手の試合は、とにかく理屈抜きに楽しめます
なんといっても「キャラ」が立ってる
ゴングが鳴るや、野獣のように突進
左右のフックを振り回します
デビュー当初は、スタミナ面に課題があったのですが、肉体改造に努め
今は8ラウンドをしっかりと戦えるスタミナを築きあげました
戦績は9勝7KO3敗 31歳
日本スーパーウエルター級7位にランクされています
以下、荒井選手の野人ファイトの過去記事
写真を見ているだけでも楽しめますので、ぜひクリックしてみてください
2006年4月24日 高橋隆介(MTジム)戦
2006年9月5日 斉藤仁(ヨネクラ)戦
2006年12月6日 岡田山金太郎(オサムジム)戦
2007年3月31日 今井桃太郎(三迫ジム)戦
対戦相手、真木和雄選手は、9月20日で37歳に
JBCの定めた現役選手の定年にさしかかることに
つまり、この一戦が「ラストファイト」になります
戦績、8勝7KO8敗2分け 36歳
この試合、前進して、左右のフックを振るう荒井選手のペース
ところが、2回、真木選手の右、がまともにヒット
荒井選手、ぐらつきますが、なんとか踏みとどまります
この回後半には、一転して、反撃に
3回も詰めて上下に打ち分ける荒井選手が優位
4回、一気にパンチをまとめ、レフェリーストップを呼び込みました
4回27秒、荒井選手のTKO勝利です
勝ち誇る野人は「ウオー」
吼えながら、右手を突き上げます
敗れた真木選手は、四方のファンの皆様にひざをついて
頭を下げます
「37歳まで、見守って応援していただいて本当にありがとうございました」
そんな彼の口には出ない心の声が聞えてきます
そして、リングから下りたその瞬間
野人、荒井選手、マイクを握るや
「真木選手は37歳を迎えます。今日が最後のリングでした。皆様、拍手をおねがいします」
真木選手を称えます
とてもすがすがしいシーンでした
それから最後に・・・・
今回の興行から、パンフレットでマニアックな解説をされていた「郷」さんの名が消えていました
どんな事情があったのか詳しくはわかりませんが、草加有沢ジム興行を丹念に追ってきた
ファンとして、本当に残念です・・・
ボクシングを深く愛しているであろう「郷」さんの復帰を切望したいと思います
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