日高和彦、OPBFウエルター級新チャンピオンに!(10.29後楽園ホール) |
10月29日に行われた新日本木村ジム主催興行より
セミとメインの重量級対決をピックアップ
まずは、メイン
OPBFスーパーウエルター級王座決定戦
OPBF同級5位 日高和彦(新日本木村ジム)対同級10位、野中悠樹(尼崎ジム)
「カズ」の愛称で知られる豪腕サウスポー、日高選手
第1回ビータイト優勝者
元OPBFウエルター級チャンピオン
戦績30戦25勝18KO5敗 30歳
「ボクレポ」 過去記事 2006年7月3日 松元慎介(進光ジム)戦
対戦相手、野中選手もサウスポー
戦績は22戦14勝5KO6敗2分け 30歳
KO率は低くハードパンチャーとはいえないが、防御技術に優れ、足も使え、スピードも
ある
「ボクレポ」過去記事 2006年8月5日 松橋拓二(帝拳ジム)戦
結果的には判定で敗れたものの
日高選手と同じくKOパンチャーのサウスポー、松橋を最後まで苦しめたこの一戦は
野中選手の評価を上げた
この一戦
実績からみれば、日高選手有利は否めないが、懸念されるポイントも
それは、日高選手の「もらいぐせ」
「打たれもろさ」
2005年3月19日 レブ・サンテリャン(フィリピン)を4回TKOに下しOPBFウエルター級
王者に君臨した日高選手
同年7月21日にはドンドン・スルタン(フィリピン)を7回TKOに下し初防衛に成功する
ここまでは問題なかった
その後、日高選手は「世界戦」を視野に入れて、渡米スパーリング修行
連日のハードなスパーリングを精力的にこなして帰国するが、このスパーリング修行
以降、日高選手は明らかに打たれもろくなってしまう
2005年12月3日 サンテリャンとのリターンマッチに8回KO負け、王座陥落
サンテリャンのノーモーションのパンチに全く反応できず、まともにもらう場面が目立つ
2006年7月3日 再起をかけた松元戦では2回TKOで勝利したもののダウンした
相手に対し、加撃
その後、我にかえって、自分の犯した反則行為を詫びるが、どうも精神面での強靭さ
が欠けてきている印象を受ける
そして、2006年12月16日の光永智博(協栄ジム)戦
2007年6月22日のウィトップ・ケッタリングチャン(タイ)戦
光永は、判定
ウィトップ・ケッタリングチャンは2回TKO
勝つには勝ったもののこの2試合ともダウンを喫してしまう
日高選手が明らかに打たれもろくなってしまったのは、渡米スパーリング修行以降
この間の事情については、新日本木村ジム 石井トレーナーのコラムに詳しい
「日高の専任トレーナーを降りた」(2005年9月25日)
「日高和彦の敗北の裏で」(2006年1月9日)
渡米スパーリング修行中、日高選手を指導したのは、マック・クリハラトレーナー
マックトレーナーの指導はスパーリングが中心
たとえば日本のジムでは、スパーリングは最低、一日は開けて行うことが多い
ところが、マックトレーナーは連日が基本
このやり方で、めきめきと実力を上げて、世界王者になる選手もいれば
ついていけなくなってリタイヤしてしまう選手もいる
日高選手の場合、よくない影響があったというのが、石井氏の意見
日高選手、南側通路から「サプライズ」入場
試合開始
1回は両選手、様子見
スタンスを広くとり、ガードを固め、前傾姿勢の日高
野中はアップライト ガードは開き気味 足を使う
ところが2回1分20秒過ぎ 野中のフック気味の左が、クリーンヒット
日高、ダウン
やはり「打たれもろさ」感は否めず
しかし、立ち上がった日高も反撃
ラスト30秒近辺には、左をヒットさせる
野中、両目上をカット
3回から6回まではほぼ互角の攻防
野中の左もヒットするが、日高のほうが一発の破壊力にまさる
ただし、この日の日高の左は空転するシーンが多い
アウトサイドからフック気味、大振り単発
力み過ぎというべきか
打ち終わりも不安定で、軸がぶれるため、返しが出ない
この大振りの左は野中も食わない
ただし、よりコンパクトな右ジャブ、右フックは被弾
また、全体として日高のプレスに下がらされ勝ち
6回終了時点で私は57-56で野中
しかし、7回から流れは日高に
一発の威力にまさる日高の圧力はやはり強く
スタミナの消耗もあり、野中は手数負け
ヒットはしていなくても、日高の大振りの左が放たれると野中は下がらされてしまう
7回以降は、ほぼすべてのラウンドが日高
ただし、日高の力みは相変わらず抜けず
上体が柔らかく、足も使え、ディフェンステクニックに恵まれた野中に左はヒットしない
ダウンにつながる強烈なクリーンヒットを野中から奪えないまま、試合終了
勝敗は判定にゆだねられ
116-111 116-112 116-113
3-0で日高の勝利
日高和彦が、スーパーウエルター級OPBF新王者に
ウエルター級に続いて二階級制覇を達成した
次にとりあげたいのはセミファイナルで行われたミドル級のランカー対決
4位の氏家福太郎(新日本木村ジム)対5位の保住直孝(ヨネクラジム)の一戦
私は、氏家の優位を予想
というのもこのところの保住
とにかく冴えない
2006年12月9日 ビータイト決勝で佐藤幸治(帝拳ジム)に3回TKO負け
( 過去記事 あります )
2007年3月20日 本来、二階級下のウエルター級の選手である音田隆夫(トクホン真闘
ジム)を相手に辛くも判定勝ち
( 過去記事 あります )
2007年6月16日には、ノーランカー、小松学(ワタナベジム)を相手に4回判定負け
32歳という年齢
さらにほとんど練習をしない、という風評
モチベーションを失ってしまっている可能性も否定できず
失礼ながら保住は限界、と判断
対戦相手、氏家は26歳と若い
戦績17戦11勝6KO5敗1分け
今年3月25日には、日本ミドル級王者、江口啓二(姫路木下ジム)に挑戦
ダウンを奪う健闘を見せるも3回KOで敗れている
( 「ボクレポ」過去記事では 2006年12月20日 コマンド岸本戦あり )
のぼり調子の若い氏家に、限界も懸念される不調の保住
氏家の勝利は固いと予想したのだが
結果は、2-1の判定で保住の勝利
スコアは97-95保住 97-95氏家 96-95保住
私の採点は97-96 1差で保住
氏家の敗因
保住の正面に立って足を止めての打ち合いに応じすぎたこと
いいかえれば、「保住の距離につきあいすぎたこと」
これにつきる
2回が氏家のベストラウンド
べた足でスピードに欠ける保住に対し
氏家は足を使って、出入りを繰り返し、打っては離れ、サイドに回って
保住に反撃の余地を与えなかった
ところが3回以降、氏家は保住の正面に立ち、打ち合ってしまう
近い距離での打ち合いでは保住に一日の長
ボディを的確に打てる上
左のダブルがフルに威力を発揮
さらにクリンチの技術でも保住がまさる
懸念されたスタミナ面でもこの日の保住は最後まで切れず
試合前の調整では「絶好調」が伝えられていた氏家
調子が良すぎて、欲をかき、「出入りのアウトボクシング」を忘れ、保住の距離で戦うことに
なり
ベテラン保住の術中に陥ってしまった
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】