ノックアウトダイナマイト内山高志、磐石の初防衛! (2.2後楽園ホール) |
第432回ダイナミックグローブ ワタナベジム主催
メインはOPBFスーパーフェザー級チャンピオン
「ノックアウトダイナマイト」内山高志(ワタナベジム)の初防衛戦
挑戦者、山崎晃(六島ジム)は日本スーパーフェザー級8位、OPBF同級13位
戦績は14戦10勝6KO1敗3分け
唯一の敗戦は現日本スーパーフェザー級王者、小堀佑介(角海老宝石ジム)に喫したもの
アマ40戦31勝9敗
アマ、プロ通じてダウン経験はない
「玉砕覚悟、死んでもいいという気持ちで戦いたい」
試合前の山崎の決意
他方、チャンピオン内山高志は
「世界に近づくように印象付ける試合をしたいです」
20代のうちに世界王者、を目標とする内山は現在28歳
「ここでつまずいているわけにはいきません」
決意の弁
「ボクレポ」内山選手関連の過去記事
「ナデルフセイン戦後のビータイトラジオ出演」
「2007年9月8日 OPBFスーパーフェザー級王座決定戦 ナデルフセイン戦」
「ボクシングガール竹内綾香さんのナデルフセイン戦レポート」
「2007年6月2日 白承元戦」
「2007年2月10日 ムアンファーレック戦」
特にご注目いただきたい記事は先頭に紹介した「ビータイトラジオ」出演時のもの
内山選手はハードパンチャーであるばかりでなく、実は希代のテクニシャンでもある、という
ことをフセイン戦の分析を通じて強調させていただいた
「(ボクシングの)技術でも自分が上回っていることを証明したいです」
世界を目指す「ノックアウトダイナマイト」内山高志が初防衛に成功するのか
30歳でタイトル初挑戦 この大チャンスに「玉砕覚悟」で臨む山崎が大番狂わせを起こす
のか
またセミでは土居伸久(ヨネクラジム)、三枝健二(新開ジム)と実力者を立て続けに下し
て勢いに乗る日本スーパーバンタム級9位、中嶋孝文(ドリームジム)がノーランカー
栗田貴之(ワタナベジム)と激突
さらにセミセミでは船橋ドラゴンジムからワタナベジムに移籍後3戦目
日本バンタム級9位の冨山浩之介がOPBFスーパーフライ級1位、タイのノラシンと対戦
ほかに8回戦1試合 4回戦4試合
「第432回ダイナミックグローブ」の闘いをレポート
第8試合 メインイベント OPBFスーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦
○チャンピオン内山高志(10回1分37秒TKO)挑戦者山崎晃●
OPBFスーパーフェザー級チャンピオン、内山高志のワンサイドゲーム
10回TKOで初防衛に成功
1回から内山は左を突いて距離をとりペースメイク
中に入ろうとする山崎に右ストレート、左ボディ
2回 山崎、強引に前に
距離を詰めて左右のフックを上下に
しかし内山は強烈な左ボデイ、右アッパーで迎撃
突き放すとロングの右ストレート
ラスト10秒、山崎の左フックもヒットするが、この回も手数、有効打とも内山
3回そして4回
山崎は打たれながらも前に
「玉砕覚悟」の戦いぶり
内山は冷静に対処
上下に打ち分け、あるいはサイドに動き山崎のプレスをさばく
5回 山崎の前進はやまない
飛び込みざまの左フックが内山にクリーンヒット
一瞬、ぐらつく内山だがすぐに体勢を立て直す
冷静に左から上下に散らすコンビネーション
5回は3人の公式のジャッジのうち、一人のみ山崎10-9
一人のジャッジのみとはいえ
山崎がポイントを奪取した唯一のラウンドに
6回以降もペースは内山
一方的に打たれ続ける山崎
強いパンチが決まっているにも関わらず耐えつづけ前進
このタフネスぶりは驚き
内山は決して攻め急がず、深追いを避けて冷静に有効打を集めてポイントをとる
山崎のタフネスぶりを当初から計算に入れていたよう
コツコツと叩いてじっくり弱らせてから仕留める作戦か
そして10回 内山の右に動きが止まる山崎
ここで一気に内山が連打
防戦一方の山崎
ダメージが深いと判断したレフェリー浦谷が割って入る
レフェリーストップ
10回1分37秒
「ノックアウトダイナマイト」内山がほぼ完璧な試合運びでタフガイ山崎をTKO葬
初防衛に成功
「タフな選手だと聞いていて長丁場になると思っていました」
勝利者インタビュー
「コツコツ当てても前に出てきて・・・・勉強になりました」
「今までで一番プレッシャーがかかりました」
「倒すと倒さないではお客様の反応が全く違いますからよかったです」
世界戦については
「もうそろそろ30歳になってしまうのでなるべく早いうちに(世界戦を)と思っています」
「でも今の実力ではまだまだです。もっと強くならないと・・・」
あくまでも謙虚なチャンピオン
ファンへのメッセージ
「地元でも後援会が出来てスポンサーもついてきてくれて今、ボクシングに集中できる環境
になっています。そのおかげだと思っています」
最後に気が付いたポイントを少し
内山選手、たしかにワンツー、左ボディは重くパンチはある
しかし一気にスパートしていく場面がほとんど見られない
言い換えれば、パンチを「まとめていく」能力にやや欠ける
少々の被弾は覚悟で一気にパンチをまとめてラッシュに行く
そういった「回転力」には課題があるという印象
もっともこの背景には
内山選手自身が実は打たれ強い方ではないという事情があるものと考えられる
攻撃の際にも「打たれ強くはない」ためディフェンスに気を配らなければならない
だから被弾のリスクも高まる一気のラッシュを仕掛けることができない
決して深追いせず、コツコツと当てて徐々に弱らせる
今のこのボクシングが彼にもっとも合っているのかもしれない
しかし例えば同じスーパーフェザー級の日本王者、小堀佑介選手(角海老宝石ジム)の
ように
パンチをまとめる能力に優れたボクサーに強引に打ち合いに持ち込まれたケースを想定
すると
対応できるのかどうかやや不安なものが残る
また右のガードが低く左ボディの打ち終わり、右のガードが下がる場面が多い
前のナデル・フセイン戦でも唯一受けた有効打はフセインの左フック
今回の山崎戦でも左フックを被弾するシーンが何度かあった
左フックに対するディフェンスにやや欠点があるようにも感じられる
とはいえこの試合も私の採点では全てのラウンドが内山選手の10-9
プロデビュー以来
昨年2月に行われたタイのムアンファーレック戦でダウンを喫したラウンドを除く全ての
ラウンドを10-9で制している、との情報もある(「ボクシングアイ」より)
とてつもなく強いことは事実
「20代のうちに世界を目指す」
「ノックアウトダイナマイト」内山高志の今後から目が離せない!
第7試合 セミ スーパーバンタム級8回戦 ○中嶋孝文(3-0判定)栗田貴之●
日本スーパーバンタム級9位、ドリームジムの中嶋(10勝3KO3敗)とノーランカー、ワタ
ナベジムの栗田(7勝1KO3敗1分け)の一戦
サウスポーの栗田に対し中嶋はノーモーションの右でペースを握る
フェイントを駆使しじわじわと圧力をかけて距離が合ったら細かいフェイントを入れての
右ストレート、左フック
5回までは中嶋の一方的なペース
6回 劣勢の栗田がチャージ
打ち合いになりヘッドバッティングで両選手、減点1
この回は栗田のパンチが当たる場面も多く栗田の10-9
強引に打ち合いに出た栗田に試合の流れが傾くかと思われたが続く7回
開始早々 中嶋の右がクリーンヒット
中嶋は一気にラッシュ
栗田、ロープを背負わされ防戦一方に
最終8回はほぼ互角
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ 78-75 77-74 78-74
3-0で中嶋の勝ち
第6試合 53キロ契約8回戦
○冨山浩之介(3-0判定)ノラシン・ギャットプラサーンチャイ●
2005年全日本新人王、2006年A級トーナメント優勝、日本バンタム級9位、ワタナベジム
の冨山(15勝5KO1敗)とタイ国スーパーフライ級チャンピオン、OPBF同級1位ノラシン
(14勝11KO11敗2分け)の一戦
冨山は24歳 ノラシンは33歳のベテラン
1回からペースをつかんだのはノラシン
アゴが上がり気味でガードが低い冨山にいきなりの右がヒット
モーションは大きいがノラシンには独特の当て勘が備わっている印象
最後まで冨山はノラシンのこの右に苦しまされる
ノラシンの右打ち終わりに冨山が連打を「決めるシーンもあったがノラシン優位の流れは
変わらず
試合終了
ノラシンの勝利と思われたが判定結果は77-76 78-76 79-76
3-0で冨山の勝ち
勝った冨山は思わず涙
OPBF1位のランカー、ノラシンを下しランク入りを確実に
第5試合 スーパーフライ級8回戦 △福永真也(三者ともにドロー)立山信生△
白井具志堅スポーツジムの福永(8勝4KO4敗1分け)と2006年東日本スーパーフライ
級新人王、敢闘賞、2007年B級トーナメント準優勝、船橋ドラゴンジムの立山(8勝2KO
2敗1分け)の一戦
立山といえば、思い出されるのが2006年東日本新人王トーナメント決勝戦
ガチガチの優勝候補と目されていた八王子中屋ジムの月花選手を一撃でキャンバスに
沈めた右ストレート
ロング、あるいは中間距離から打ち込まれ
しっかり踏み込みを利かせているので予想以上に伸びる
またノーモーションで放たれるので反応が遅れ勝ちに
1回 右を自信を持って放って、ペースをつかむ立山
福永は様子見かと思われるくらい手数が出ない
後手に回らされる展開
10-9立山
2回 立山は得意の右、で攻め込む
福永、左目上をカット
この回、福永はさかんに左ボディを打つ
そこからコンパクトな右ストレートにつなげたり、上に返して左のダブル
ほぼ互角のラウンド
3回は立山のラウンド
右がクリーンヒット
しかし4回終了間際 立山の右打ち終わりに福永、カウンターの右ストレート
ひざが落ちる立山
立山の右は威力はあるが引きが遅い
5回 福永は右に、右を合わせる作戦か
この回、警戒する立山は右の手数が鈍る
3回までは立山ペース
しかし4回からやや福永の流れに
6回 立山は接近戦で戦うことを選択
遠い距離から放たれる右は封印する形
クロスレンジでの打ち合いに
そして7回 クロスレンジの打撃戦の中、福永の右ショートがヒット
立山、キャンバスにひざ
ダウン
ところが立山は立ち上がってから死にもの狂いで手数
最終8回 ダウンを奪われた立山がやはり必死の反撃
福永も迎え撃つが後手に回らされる展開
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ、三者とも76-76のドロー
引き分けに
福永は一発のパンチ力に自信があるのかやや「見すぎてしまう」欠点
ダウンを奪われたものの懸命に手数を繰り出す立山にポイントが流れてしまった
第4試合 58キロ契約4回戦 ○打馬王那(1回1分11秒KO)松永尚恭●
モンゴル人輸入ボクサー
1回24秒の秒殺KOデビューを飾ったワタナベジムの打馬王那(1勝1KO)のプロ2戦目
対戦相手は横田スポーツジムの松永(2勝2KO)
打馬はガードをしっかり固めてじりじりと前に
クロスレンジでのパンチの交換
打馬のフック、アッパーがヒット
この段階ですでに松永にかなりのダメージ
フィニッシュは直後の右アッパー
アゴにヒット
キャンバスに倒れこむ松永
なんとか立ち上がる松永だが再開直後、ダメージが深いと判断したレフェリーが試合
をストップ
打馬が、1回1分11秒、KO勝ち
デビュー戦が24秒KO 2戦目が71秒KO
「秒殺モンゴルボクサー」打馬の今後に注目
第3試合 スーパーフライ級4回戦 ○小松絵(3回1分24秒KO)長島豊文●
ワタナベジムの小松(3勝2KO1敗)が青木ジムの長島(3勝1敗)に3回KO勝ち
長島の身長はなんと183センチ
対する小松は169センチ
1回 圧倒的にリーチにまさる長島は左を切らさず、小松を突き放す
距離を詰めて中に入りたい小松だが手がかりをつかめない
しかし3回40秒過ぎ 小松の右オーバーハンドがクリーンヒット
ぐらつく長島は小松の腰につかまり足がもつれてキャンバスに
ダウンと思われたが判定はスリップ
試合は再開されるが小松の連打で長島、ダウン
立ち上がるも効いてしまっているのは明らか
マーチンレフェリーはストップせずに続行
再び小松が攻めて直ちにレフェリーストップ
小松が14センチの身長差を克服しKO勝利
第2試合 フェザー級4回戦 ○小川利希(2-1判定)長濱慎吾●
宮田ジムの小川(3勝1KO1敗)がセレスジムの長濱(3勝1敗1分け)に2-1の判定勝ち
小川は同じ宮田ジムのWBCフライ級王者、内藤大助選手を思わせる前傾姿勢
左を切らさず、距離をとって左右のフック
打っては頭を振り、足を使って、めまぐるしく立ち位置を変える
1回は手数、有効打とも小川が優位
2回 長濱、反撃
頭を振る小川に対しボディ攻め
しかし終了間際 小川の右ストレートがクリーンヒット
長濱、ぐらつかされる
3回はほぼ互角のラウンド
手数では小川が優位
最終4回 長濱、アグレッシブに前に
スタミナがかなり消耗していた様子の小川だが、足を使って、頭を振って
長濱の前進をさばき要所要所で有効打
試合終了
勝敗は判定に
40-37小川 39-38長濱 39-38小川
2-1で小川の勝ち
小川のパンチの有効度についてどう評価するのか
この点が大きくジャッジの間で採点が割れた原因か
小川のパンチは完全に手打ち
極端な前傾姿勢で腰が引けているフォーム
なおかつ膝のバネもほとんど利かせていない
手数では小川優位は明らか
しかし、小川のパンチは手打ちで有効度は低い
こう判断したジャッジは小川より長濱のパンチの有効度を高く評価したものと思う
第1試合 ウエルター級4回戦 ○大野徹哉(3回2分30秒TKO)遠藤関平●
船橋ドラゴンジムの大野(1勝1敗)がワタナベジムの遠藤(デビュー戦)に3回TKO勝ち
ダウンの応酬となったこの一戦
1回は有効打、手数ともにほぼ互角
2回 20秒過ぎ
迷いながら打ち込まれたような遠藤の力の無い右に大野が右クロスを合わせてダウン
なんとか立ち上がってきた遠藤にラッシュの大野
その直後
ダウンを奪ったのと同じような右のパンチを打ち込む大野に、今度は遠藤が返しの左フック
この一発がカウンターで決まり大野がダウン
3回 1分半過ぎ 遠藤の右フックがクリーンヒット
ぐらつく大野
しかし2分過ぎ 遠藤の左ジャブに大野、右クロス
ぐらつく遠藤を一気にコーナーに詰めて連打
右ストレートで遠藤ダウン
ダメージが深いと判断したレフェリーはノーカウントで試合をストップ
カウンターのセンスで上回った大野がこの日デビュー戦の遠藤をTKOで下しプロ2勝目
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