ボクシングストレートレポート(ボクレポ):現地ナマ観戦記
2009-03-30T13:19:12+09:00
box-houkoku
WBA前ライト級王者小堀選手の世界戦をプロデュース「ボクレポ」のブログです。
Excite Blog
長嶋建吾選手(18古河ジム)OPBFライト級新王者に
http://boxing12.exblog.jp/10664394/
2009-03-30T11:06:00+09:00
2009-03-30T13:19:12+09:00
2009-03-30T11:07:56+09:00
box-houkoku
現地ナマ観戦記
2009年3月29日 後楽園ホール
OPBF東洋太平洋ライト級王座決定戦を生観戦
日本ライト級王者、WBAライト級11位、石井一太郎選手(横浜光ジム)が
放棄して空位となったOPBFライト級王座の決定戦
長嶋建吾(18古河ジム)対ランデイ・スイコ
OPBF同級2位、WBC同29位、長嶋建吾選手は技術に秀で経験豊富な
左ボクサータイプ
戦績40戦35勝17KO3敗2分け 33歳
どちらかといえば打たれ強いほうではない
想起されるのは2002年8月のWBC世界スーパーフェザー級王座決定戦
シリモンコンシンワンチャーに喫したKO負け
あるいは昨年3月15日のジムレックスハカ戦でのダウンシーン
しかしそれを補って余りある経験に裏打ちされたディフェンステクニックを誇る
2007年4月21日に行われた日本ライト級タイトルマッチ
当時王者だった長嶋選手は現在、WBAライト級ランカーである石井一太郎
選手(横浜光ジム)の強打を封じ込め完封している(3-0判定勝ち)
OPBFライト級1位、WBCライト級14位、ランディスイコ選手は「フィリピンの
石の拳」の異名を持つハードパンチャー
戦績33戦28勝24KO4敗1分け
2006年7月15日 ファンデイアスの持つWBAライト級王座に挑戦し9回
TKO負け
典型的な右ファイタータイプ
スピードやパンチの回転で勝負するタイプではない
じりじりと前に出て圧力をかけて一発一発しっかりとパンチを打ち込んでくる
またもっとも印象的な特徴は異様なまでの打たれ強さだ
明らかにダウンを喫しても不思議ではない角度とタイミングでもらっても
まったく効いていないかのように平然と前に出てくる
たとえはよくないが「ゾンビ」を思わせるボクサーだ
ともに世界戦経験を持つベテラン同士
ただしそのファイトスタイルは対称的
左ボクサータイプでやや打たれもろいところがある長嶋
「ゾンビ」のようにタフな右ファイタータイプのスイコ
ジャッジの構成はフィリピン1名 日本2名
試合は1回から長嶋のペース
圧力をかけて前に出ているのはスイコだが手を出しながら、がない
ただ漫然と前に出てはパンチをもらう流れ
左ストレート、右フックを軸に長嶋はクリーンヒットを奪いポイントを積み重ねる
打ち終わりにサイドに動き
スイコのパンチをブロック、あるいはスウエーでかわしまともにもらわない
4回 スイコの右アッパーがクリーンヒット
しかし長嶋は冷静さを失わずクリンチでしのぎダメージの回復をはかる
4回終了時点で私は39-37で長嶋
4回のみスイコのラウンドとした
公式のジャッジは二者が39-37で長嶋
ところが一者は39-37でスイコ
案の定、このジャッジはフィリピン人
愛国心を存分に発揮
5回以降も長嶋のペース
スイコは前に出てはいるが手数がなくスピード不足
単発で右フック、あるいは右アッパーを繰り出すのみで攻撃が単調
パンチのつなぎも遅い
しかし打たれ強さは驚異的
まともにパンチが入りアゴがはね上がる場面もあるのだが
本人はなにごともなかったかのようにけろっとしている^^
8回終了時点
79-73が二者 77-75が一者
さすがのフィリピン人ジャッジもこれではスイコにポイントを振るわけには
いかない
判定では大差がついているからといって逃げずに
この日の長嶋はアグレッシブな攻撃姿勢
しかし軸足が攻撃にシフトし、ややディフェンスがおろそかになってしまったのか
11回 距離が詰まった場面でスイコのアッパーがヒット
長嶋、やや効いてしまった印象
しかしクリンチワークを駆使し冷静に対処
最終12回も有効打を奪い続けているのは長嶋
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ 118-110 118-110 115-113
3-0で長嶋の勝ち
私も118-110で長嶋
スイコに振ったラウンドは4回 11回のみ
前に出ているのはスイコ 下がらされているのは長嶋という展開だったが
スイコは攻撃が単調でスピードもない
手数も出ない
ディフェンステクニックに優れた長嶋はスイコに有効打を許さず
スイコが前に出てくるところにヒットを浴びせ続けポイントを積み重ねた
「今日の勝利はみなさまの応援あってのこと。感謝しています」
試合終了後の長嶋
「帝拳ジムの辻選手は法政大学の後輩でした。天国に旅立ってしまいましたが
後輩のためにもという気持ちで頑張りました」
「今日はロン毛気味で・・・白髪もまじっています。このあたりで世界王座に挑戦
できるよう清志会長、よろしくおねがいします」
世界戦実現をマイクアピール
興行全体を通じて気づいたポイント
辻選手の件を経て
セコンドのタオル投入のタイミングが明らかに早くなっている
レフェリーについては泰然自若、平常心
私には特にストップのタイミングが早くなっているようには感じなかった
JBCのレフェリーはプロ集団だ
何千試合もプロボクシングを観戦し裁いてきた経験に裏打ちされた自分の判断に
ついて確たる信念を持っていると思う
私は「プロフェッショナル」としてのこの信念をとにかく尊重したいと思う
また私自身についてだが
小堀選手の件もあり、いろいろとショックが大きく罪悪感すら感じ
自分が愛してきたプロボクシングそのものがとても野蛮で非人間的なものである
ように思われて
暗い気持ちになってしまっていた
しかし、この日の興行の観戦を経て
選手の健康を第一に考えるセコンドの在り方を目の当たりにし
また熱心に事故の再発防止策を論じる業界関係者の方々の真摯な思いにも触れ
ることができて
少しだが前向きな気持ちになり元気をもらうことができた
プロボクシング万歳!
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】
]]>
3/19 角海老ボクシング 角海老勢5勝1敗!
http://boxing12.exblog.jp/10607736/
2009-03-22T12:08:00+09:00
2009-03-22T12:10:45+09:00
2009-03-22T12:08:54+09:00
box-houkoku
現地ナマ観戦記
角海老プロモーション主催
ランカー対ノーランカーのセミとメイン
アンダーカードは8回戦2試合 6回戦2試合
全6試合を生観戦
第6試合 メインイベント 62.5キロ契約8回戦
○方波見吉隆(2-0判定)坂本大輔●
日本スーパーライト級7位、角海老宝石ジムの坂本大輔(3勝2KO1敗1分)
と伴流ジムのハードパンチャー方波見吉隆(13勝10KO4敗1分)の一戦
1回 2回と強引に前に出る坂本のペース
リーチが長く懐の深いサウスポーの方波見に対し坂本は頭から前に前に
アグレッシブにプレスをかけてアッパー、あるいは左右フック
スウエーでかわそうとする方波見だが坂本は体ごと前に出て距離をつぶし
攻撃
方波見はカウンター狙いか手数不足
見過ぎてしまっている状態
後手に回らされ主導権を握られる
3回 方波見のカウンターの左 あるいは右アッパーがヒット
坂本のプレスが弱まる
少しずつ方波見のパンチのタイミングが合ってきている印象
4回はどちらともいえない微妙なラウンド
前半4回を終了し私は39-37で坂本
1回2回は坂本
3回は方波見 4回は10-10とした
5回 2分過ぎ 方波見の左ストレートがカウンターでヒット
坂本の腰が一瞬落ちかける
10-9方波見
6回も方波見のペース
坂本は反撃するが力みすぎ
大振りの上、常に上狙い
背が高く顔の小さい方波見にはほとんど当たらない
なぜボディを打てないのか
冷静さを失っているとしか考えられない
7回 方波見の左を浴びつづけ、自らクリンチ
ダメージは深くスタミナの消耗も激しい
あごが上がり、上体が突っ立ったまま
顔を狙うパンチを繰り出す坂本だがほとんど空振り
試合終了
私は77-75 2差で方波見
公式のジャッジの採点は 78-76 77-75 76-76
2-0で方波見の勝ち
立ち上がり、懐の深い左アウトボクサータイプの方波見は強引にプレスを
かけてくる坂本に後手に回らされる流れ
しかし中盤から後半にかけて坂本の動きに徐々に対応
左のカウンターを軸に有効打を積み上げて方波見がペースを掌握
ほとんどボディを打たず上狙いで振り回す坂本の拙攻にも助けられて
ポイントアウト
日本ランク入りを確実に
第5試合 セミファイナル ライトフライ級8回戦
○大内淳雅(3-0判定)浜中優一●
日本ミニマム級10位、角海老宝石ジムの大内(9勝2KO4敗1分)と国際ジムの
浜中(8勝4KO6敗)の一戦
大内は今年1月17日 帝拳ジムの島崎選手を2-1の判定に下し日本ランキング
を獲得
この試合がランカー初戦になる
1回から試合は完全に大内のペース
手数、有効打ともに大内
もっとも印象に残ったのは「効かせた」あとに「まとめる」ことが自然にできること
全キャリア中KO負けを喫した事は一度も無い浜中はやはりタフ
大内の回転を効かせたパンチを被弾しながらもダウンは拒む
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ 80-73 80-73 80-72
3-0で大内の勝ち
第4試合 フェザー級8回戦 ○青木幸治(3-0判定)寺澤俊治●
角海老宝石ジムの青木(7勝3KO3敗)と横浜さくらジムの寺澤(6勝1KO3敗3分)の
一戦
昨年10月29日 日本ランカーへの挑戦となった芹江(伴流ジム)戦で痛烈なKO負け
を喫した青木
一階級上げフェザー級で復帰戦に臨む
左リードジャブを突きつつ距離をとる青木
前に出る寺澤に右アッパー、右ストレート
1回から青木の一方的なペース
芹江戦での教訓を「距離と(パンチを)もらわないこと」と語っていた青木
まとめるチャンスもあったと感じたがこの日は慎重
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ 80-73 80-74 79-74
3-0で青木の勝ち
第3試合 フェザー級8回戦 ○松本良一(3-0判定)中川健司●
KTTジムからの移籍初戦、角海老宝石ジムの松本(7勝6敗)と花形ジムの中川
(8勝2KO3敗1分)の一戦
松本は足を使って動き上体をやわらかく使って自在に出入り
トリプル、フォースと連続してリードジャブ
パンチも上下に散らし手数で圧倒
ただし一発のパンチは中川に分
1回、2回と松本のペースだったが3回中川のカウンターの右がクリーンヒット
4回今度は松本が連打で攻め込み中川はロープを背負う
5回以降は両選手、スタミナの消耗とも戦いながらのペース争い
ハードパンチャーとはいえない松本だがディフェンスは巧み
相手のパンチをまともに食わないスペースに動くことを心がけ
頭の位置取りにも気を配り中川のパンチをはずしていた
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ78-75 78-75 77-76
3-0で松本の勝ち
攻守ともに柔軟自在な松本のボクシングがジャッジにアピール
移籍初戦を白星で飾る
第2試合 ライトフライ級6回戦 ○青野弘志(3-0判定)伊藤和貴●
全日本ライトフライ級新人王、7戦全勝3KO、角海老宝石ジムの青野が3-0
の判定で三迫ジムの伊藤(6勝2KO5敗)を下し全勝をキープ
左ファイタータイプの青野は自他共に認めるハードパンチャー
伊藤は左ボクサータイプ
身長で青野を約11センチ上回る
立ち上がりは足を使い離れた距離から左を打ち込んでくる伊藤の流れ
しかし青野は2分過ぎプレスを強め距離をつぶしボディ狙い
「前に出て下を狙う」
長身のボクサータイプに対する作戦として当然のこと
ところが2回 前進する青野に伊藤の左がカウンターでヒット
2回までは全体として伊藤のペース
しかし3回 青野は下がることなく前に出てのボディ狙い
左を打ち込む伊藤だが青野はかまわず前に
中に入ってボディの連打
青野の圧力を伊藤はさばき切れず
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ 58-57 59-55 59-55
3-0で青野の勝ち
全勝をキープしたものの伊藤のカウンターを被弾し続けた青野の
ダメージは深く
「病院に直行」とのこと
気になる点
ここ数試合の青野はパンチがフック気味、大振り
全体としてボクシングが大味になってきている印象
またフォームについても
もう少し半身になるべきところ
打ったあと、体が開いてまともに正面を向いてしまう
だからカウンターを入れられやすい
足がそろい勝ちな点も気になる
第1試合 フェザー級6回戦 ○青山慶洋(3-0判定)佐野司●
角海老宝石ジムの青山(6勝2KO2分)がフラッシュ赤羽ジムの佐野(6勝3KO
3敗2分)に3-0の判定勝利
1回から青山のペース
しっかりとジャブを打ち込み、右ストレート、左ボディ
クリーンヒット後、佐野の動きが止まる場面もたびたび
一気に行けばダウンを奪えた気も
しかし青山は慎重
追ってパンチをまとめる動きには出ない
試合終了
60-55 60-55 60-54
3-0で青山の勝ち
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】
]]>
37歳 嶋田雄大、25歳世界ランカーを4回KOで撃破!
http://boxing12.exblog.jp/10571837/
2009-03-16T23:14:00+09:00
2009-03-17T00:06:17+09:00
2009-03-16T23:14:19+09:00
box-houkoku
現地ナマ観戦記
2009年3月16日 後楽園ホール
「エキサイトボクシング」 ヨネクラジム主催
日本ライト級6位、37歳、嶋田雄大(ヨネクラジム 22勝15KO4敗1分け)とWBA
ライト級12位、パナマのアメス・ディアス(25勝19KO8敗)の一戦を生観戦
1回 アメスディアスは、パナマ人ボクサーらしく手足が長く動きが柔軟
やわらかく上体を振りながらジャブから右ボディ、左アッパー
柔軟なボディワークを駆使し、的を絞らせずパンチを繰り出す
嶋田は相手の動きを見極めようとするあまり手数に乏しい
10-9 ディアス
アメス・ディアスは2008年12月20日 ドミニカの英雄、「リトルタイソン」の異名を持
つホアングスマン(29戦全勝17KO)とWBAライト級挑戦者決定戦で激突
ハードパンチャーのグスマン相手に12回まで戦い抜き3-0の判定で敗れている
「かなりの実力者」という前評判に違わぬ動きだ
2回 ディアスのヒットが続く
しかし嶋田は被弾されつつも芯はずらしている印象
まともにはもらっていない
スリッピングアウェー、ウイービング、ダッキング、パーリング
特に印象が深かったのは巧みなスリッピングアウェー
1分10秒過ぎ
嶋田の右クロスがカウンターでクリーンヒット
ひざが揺らぐディアス
あのバレロとの昨年6月の世界戦
3回に決めたカウンターの右を思わせる強い一撃
しかしディアスも左フックのカウンターをヒットさせる
この回は強い右を決めた嶋田のラウンド
3回 ペースはディアス
ディアスは柔らかい動きの中からパンチを繰り出してくる
パンチの出どころがわかりにくく対応しづらい
それでも嶋田は芯ははずしている
嶋田は2回の再現を狙い、さかんに右を打つが空転
10-9ディアス
そして4回 ディアスのペースで続く流れの中 1分30秒過ぎ
嶋田の右クロスがまともにクリーンヒット
倒れこむディアス
なんとか立ち上がるがダメージが深く足元がおぼつかない
ファイティングポーズもとれず10カウント
嶋田4回1分47秒KO勝利
キャンバスに突っ伏して喜びを爆発させる
「バレロに負けてこの7,8ヶ月毎日悔しくてボクシングのことだけを考えトレーニング
し続けてきました」
リング上の勝利者インタビュー
「うれしいです」
正直、私はディアス有利と見ていた
しかしなんともうれしい番狂わせ
WBAの最新ランキングでは、前王者小堀佑介(角海老宝石ジム)はライト級7位から
6位にアップ
来月のランキングに嶋田選手が入ることは確実だ
37歳にしてなおも「進化」を続ける嶋田雄大のボクシングにはまさに脱(ニット)帽
心地よい興奮にひたりつつホールをあとにした
嶋田選手!おめでとうございます!
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】
]]>
正面衝突!長瀬慎弥対迫田大治 涼野鮮烈1回KO勝利 (オーバーヒートボクサーズナイトVOL46)
http://boxing12.exblog.jp/10566773/
2009-03-16T08:50:00+09:00
2009-03-16T15:05:54+09:00
2009-03-16T08:51:49+09:00
box-houkoku
現地ナマ観戦記
「オーバーヒートボクサーズナイトVOL46」 フラッシュ赤羽ジム主催
メイン、セミ、セミセミの3試合をレポート
第6試合 フェザー級8回戦 ○涼野康太(1回1分44秒KO)笛木亮●
日本フェザー級8位、2007年B級トーナメントフェザー級優勝、7連勝中の笛木亮(ジャパン
スポーツジム)と「タフガイ」涼野康太の一戦
笛木は2006年東日本新人王トーナメント参戦時より「ボクレポ」は注目し続けてきた
戦績15戦13勝10KO1敗1分けのサウスポー
踏み込みの利いた左ストレートを武器にKO勝利を積み重ねてきた
なかなかの「イケメン」
プロとしての華、スター性を備えている好選手で新人王戦時代からリングに笛木が登場する
と場の空気が一気に変わるのが感じられたほど
東日本フェザー級新人王決勝戦でその年の全日本新人王に輝いた加治木了太(協栄ジム)
と対戦
加治木の左フックを浴びて6回TKO負けで初黒星
( 過去記事 あります )
しかし翌年のB級トーナメントにエントリー
決勝で天笠尚(HS山上ジム)に判定勝利
その後も順当に白星を重ね現在7連勝中
この勢いをキープし、日本タイトル挑戦に向けてさらに弾みをつけたい一戦
対戦相手、涼野は戦績27戦14勝3KO10敗3分けのノーランカー
右ファイタータイプ
2005年11月17日 モンゴルのガンバータル選手に6回判定勝ち
以来約3年4ヶ月白星から遠ざかっており現在4連敗中
しかしその対戦相手を調べてみるとそうそうたる顔ぶれ
2006年は塩谷悠(川島ジム)、阿部元一(ヨネクラジム)2007年は渡邉一久(
角海老宝石ジム)、三浦一馬(ドリームジム)
塩谷を除く3人が元日本チャンピオン
塩谷も日本タイトル挑戦の経験がある
4連敗といってもこれほどの実力者を相手にしてのこと
また涼野は2002年A級トーナメント決勝で小沢大将(ヨネクラジム)に敗れ
2003年には現日本スーパーフェザー級チャンピオン矢代義光(帝拳ジム)に敗れ
また2004年、2005年に宮田芳憲(角海老宝石ジム)に連敗を喫している
しかし注目すべきは現在の日本チャンピオン(矢代)、または元日本チャンピオン(阿部
渡邊、三浦)も含むトップクラスの選手を相手にしながら
涼野はいまだKO負けを喫した事が無い
「タフガイ」と呼ぶしかない打たれ強さ
強豪選手との試合を積み重ねてきたことから得られた豊富なキャリア
この2点がボクサー涼野の誇るべきアピールポイント
2003年8月には坂東ヒーロー(フォーラムスポーツジム)に判定勝利を挙げている
ことからもわかるように
4連敗中のノーランカーとはいえその実力は侮れない
逆に笛木サイドに立てば、この「タフガイ」涼野をKOすることができれば
大いに評価が上がり年内の日本タイトル挑戦も視野に入るところ
試合開始
笛木は右リードを伸ばし左を打ち込むタイミングを探る
涼野はアグレッシブにプレス
距離を詰め笛木にロープを背負わせる
クロスレンジでのパンチの交換
1分半過ぎ 笛木の左に涼野カウンターの左フック
笛木ダウン
なんとか立ち上がるもレフェリーは試合続行不可能と判断
1回1分44秒 涼野KO勝利
唯一の敗北を喫した加治木戦でも
笛木がキャンバスに沈められたパンチは「左フック」だった
左を打つ際にやや右のガードが下がる傾向があるのかもしれない
涼野はリーチの長い笛木を相手に前に出て中に入りアグレッシブに打ち合いを
挑む戦法が功を奏した
ノーランカー涼野がランカー笛木を1回KOに下し日本ランキング獲得を確実に
第7試合 60キロ契約8回戦 ○近藤明広(2-1判定)塩野翼●
2007年全日本ライト級新人王、日本ライト級12位、日東ジムの近藤明広(10勝5KO
1敗)とノーランカー、角海老宝石ジムの塩野翼(6勝3KO6敗)の一戦
塩野は約2年のブランクからの復帰戦
2006年9月の「ズラボクサー」小口(草加有沢ジム)との一戦に敗れ
( 過去記事 あります )
さらに日本ランカーへの再挑戦になった2007年2月の松崎博保(協栄ジム)戦にも敗れ
以来リングから遠ざかっていた
( 過去記事 あります)
2年ぶりの復帰戦は階級をライトに上げて
小口、松崎に続き3度目の日本ランカーとの対戦
2度あることは3度あるのか
それとも3度目の正直、となるのか
また、塩野といえば入場時の凝った衣装が特徴
この日は13日の金曜日ということでジェイソンのコスプレで入場という企てもあった
ようだが
自主規制?
いたってシンプルな入場になった
対戦相手の近藤はアマエリート出身
アップライトの構えからワンツー主体の基本に忠実なボクシングで2007年ライト級
全日本新人王に
さらに2008年も3勝負け無し
日本ライト級12位の座をキープ
1回 前に出る塩野に近藤はタイミングのよい右ストレートをヒット
しかし2分過ぎ 塩野のワンツーがヒットする
ラスト10秒は激しい打ち合い
2回 近藤は左に回りつつジャブ さらに右
私は1回 2回と近藤にポイント
3回も近藤のペース
ところがラスト20秒過ぎ 塩野にクリーンヒット
3回は塩野のラウンドか
続く4回 塩野、低い姿勢で前に前に
しかし近藤のタイミングのよい右を浴びてプレスは鈍り勝ち
ラスト10秒 両選手、激しい打ち合い
打ち合いの中で塩野の左フックがクリーンヒット
5回 ややダメージが残る近藤
しかし塩野も失速気味
そして6回 低い姿勢でプレスをかけた塩野だが偶然のバッテイング
左眉上をカット
ドクターチェック後レフェリーストップ
勝敗は判定にゆだねられ 58-57塩野 58-57近藤 58-57近藤
2-1で近藤の勝ち
有効打の数では近藤が優位
しかし塩野はプレスをかけ続け、またラウンド後半に打ち合いに持ち込みダメージ
を与えるパンチを入れていた
塩野を支持したジャッジは、前に出ていたこと、さらにラウンド後半でのクリ-ンヒット
を評価したものと思う
第8試合 スーパーライト級8回戦 △迫田太治(1-0ドロー)長瀬慎弥△
メインは日本スーパーライト級3位、フラッシュ赤羽ジムのエース、長瀬慎弥が登場
頭抜けた身体能力を生かした変則スタイルの右ボクサーファイター
( 長瀬選手についての過去記事 )
対戦相手は2007年全日本スーパーライト級新人王、横田スポーツジムの迫田太治
(9勝6KO2敗)
豊富なスタミナ 強靭なフィジカル
これが迫田の武器だ
被弾してもダウンを奪われても決してひるまず
じりじりと前進しプレスをかけ続け相手を追い込んでいく
ハンドスピードにはやや欠けるもののパンチは強い
常に前に出て一発一発をしっかりと打ち込んでくる右ファイター
1回から迫田はプレス
下がらされる長瀬だが要所要所でクリーンヒットを奪う
2回にはラウンド終了間際に猛ラッシュ
1回 2回と私は長瀬の10-9
しかし3回 迫田はがっちりブロックを固め前に前に
長瀬にロープを背負わせプレスをかけてアッパーをねじ込んでくる
4回さらに5回
迫田の攻勢が光る
ふらつく長瀬
効いている印象
しかし長瀬もタフ
決してあきらめず、迫田の打ち終わり 右を打ち込む
ややオープン気味の大振りの左はかわされ勝ちだが
右は高い的中率
それでも迫田は前進をやめない
体で押し込みパンチをガツガツとねじ込む
7回1分過ぎには長瀬の右フックが痛烈にヒット
ぐらつく迫田
最終8回 迫田と長瀬 意地の攻防に
試合終了
私は76-76のドロー
ジャッジの採点は 78-77迫田 77-77 77-77
1-0のドロー
迫田の前進を正面から受け止めた長瀬
長瀬が迫田に付き合ったため全体としては迫田のペース
しかし下がらされながらも長瀬はジャッジの印象に残るクリーンヒットを奪い
引き分けに持ち込んだ
不器用ながらもゴツゴツとお互いの闘志とプライドがぶつかり合ったボクシング
見応えのある、また満足感の残るプロのボクシングだった
両選手の健闘に拍手
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】
]]>
「安全パイ」の逆襲! (3.10アンタッチャブルファイト12)
http://boxing12.exblog.jp/10533546/
2009-03-11T10:54:00+09:00
2009-03-11T21:08:42+09:00
2009-03-11T10:56:13+09:00
box-houkoku
現地ナマ観戦記
「アンタッチャブルファイト12」 川島ジム主催
川島ジムが誇る二人の日本ランカーが登場
一人はセミに登場の塩谷悠
日本スーパーバンタム級10位
長いリーチを駆使しての正統派右ボクサータイプ
戦績21戦19勝10KO2敗
下田選手(帝拳ジム)が持っていた日本スーパーバンタム級王座に挑戦し惜敗
その後二連勝
ところが2008年10月9日の田内絹人(横浜光ジム)にダウンを奪われまさかの
判定負け
しかしランク落ちにはならず
今回は田内選手に敗れたあとの大事な復帰戦になる
対戦相手、東海ジムの柴田選手は戦績28戦9勝1KO17敗2分
大きく負け越していてKO率も低い
もう一人の川島ジムが誇る日本ランカーは小林タカヤス
日本フライ級10位
戦績17戦13勝2KO2敗2分け
柔軟なボディワークを駆使
多彩なフェイントが光る右ボクサーファイター
対戦相手、新田ジムの柳直大選手は32歳のベテラン
戦績15戦8勝4KO7敗
1998年のA級トーナメントフライ級準決勝で秋田選手(協栄ジム)に判定負け
以来試合から遠ざかること約10年
2008年7月28日 ジェット勇(FIジム)戦で再起
判定負けを喫するが同年11月11日の吉岡健一(国際ジム)戦で判定勝利
約10年のブランク明け3戦目にして日本ランカーとの対戦
言葉は失礼ではあるが
この柳選手も、塩谷選手の対戦相手、柴田選手も
「安全パイ」として選抜された印象
果たして、塩谷、小林の川島ジム日本ランカーは順当に白星を飾るのか
それとも「安全パイ」として選ばれた感のある柴田、柳
二人の意地が番狂わせを引き起こすのか
さらにセミセミには「無敗の喧嘩パンチャー」
「ボクレポ」注目の赤穂亮選手(横浜光ジム)が登場
( 過去記事 あります )
日本スーパーフライ級5位
戦績12戦11勝6KO1分
スタミナとディフェンス面に課題があるとはいわれながらも
パンチの迫力、攻撃の破壊力はスーパーフライ級においては出色
対戦相手は川島ジムのノーランカー永安潤之介選手
戦績15戦10勝3KO5敗の右ボクサーファイター
2005年東日本バンタム級新人王戦準決勝で岩間選手(横田スポーツジム)
に4回判定負け
この悔しさをバネに2006年二連勝
2007年4月には、格上の鈴木将選手(横浜光ジム)を下す番狂わせ
さらに9月には岩間選手に雪辱
2008年1月にはワタナベジムの今西秀樹
5月には帝拳ジムの石本康隆と対戦
判定負けを喫したがランカークラスの実力者であることはアピールできた
「喧嘩パンチャー」赤穂の豪快なKOシーンが見られるのか
それともキャリアで上回る永安が初のランク入りを果たすのか
川島ジム主催 「アンタッチャブルファイト12」の熱戦をレポート
第3試合 セミセミ スーパーフライ級8回戦 ○赤穂亮(2-1判定)永安潤之介●
1回から赤穂はワンツー、さらに左ボディで攻め込む
しかし永安は「ハードパンチャー対策」として
①しっかりとガードを上げてあごを引きグローブで顔面を覆い
②ガードを固めたまま頭の位置を下げて距離を詰めて密着、クリンチ
ハードパンチャーに対して後ろに下がるのは愚策
逆に前に出て攻撃のスペースをつぶし
赤穂のパンチを殺していく戦法か
オフェンス面では
①遠い距離では先手を取って、丹念にジャブをつきサイドにステップ
②赤穂の攻撃が始まるや、ガチガチにガードを固めた体勢で前に
赤穂の胸に頭を預け、密着しそのままボディを打ちアッパーをアゴに
他方、赤穂は迫力あるパンチで押し込み
左ボディアッパーをヒットさせガードの隙をつく
赤穂がラッシュをかけると永安は守勢一方
赤穂はガードの上を叩くパンチが多く、クリーンヒットは少ないが、攻勢を印象
付ける
私の採点は
1回 赤穂 2回 永安 3回 赤穂 4回 永安
2回1分過ぎ、永安のアッパーが赤穂のあごを跳ね上げれば
3回 赤穂が猛ラッシュ
前半4回を終えた時点でほぼ互角の展開
5回はどちらともいえない微妙なラウンド
赤穂の大振りが目立つが永安も受けに回らされ攻勢に転じられない
6回 前に出る永安を赤穂は強く押し返す
永安は後退し距離が一瞬開く
すかさず赤穂右フックをクリーンヒット
しかしレフェリー浅尾は「プッシング」の注意
私は赤穂の攻勢を評価
7回は明確な赤穂のラウンド
サイドにステップをとっての右がヒット
永安は打たれ疲れか手数に乏しくペースを握れない
最終8回 永安のカウンターがヒット
しかし赤穂も猛ラッシュ
試合終了
私は78-75で赤穂
勝敗は判定にゆだねられ77-76永安 78-76赤穂 77-76赤穂
2-1のスプリットで赤穂の勝ち
赤穂の強打を巧みなデイフェンスでかわし続け、有効打を奪っていた永安だったが
守勢に回らされる展開が続き決定的な攻勢をとれず
完全にペースをつかむことができなかった
スタミナを切らせることなく最後までプレスをかけて手を出し続けていた赤穂の攻勢が
評価されての2-1の判定勝ち
無敗を守った赤穂の戦績はこれで13戦12勝6KO1分け
第4試合 セミ スーパーバンタム級8回戦 ○塩谷悠(3-0判定)柴田義正●
3回までは順当に塩谷のペース
リーチにまさる塩谷はアップライトの構えからワンツー
アッパー
4回に波乱
終了間際、柴田の右フックがカウンターでヒット
塩谷、ダウン
かろうじて立ち上がるがかなり効いた印象
ゴングに救われる
5回 狙いすぎて手数が減る柴田に対し塩谷は反撃
2分過ぎにはアッパー、ストレートが決まり柴田がふらつく
塩谷、たたみかけて柴田にロープを背負わせる攻勢
ところが6回
またもや柴田の右がクリーンヒット
ふらつく塩谷
この回は明確に柴田のラウンド
続く7回は塩谷が有効打にまさる
8回はほぼ互角
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ
77-74 77-75 77-75
3-0で塩谷の勝ち
タイトル挑戦経験もある日本ランカーとしては不出来の一戦
塩谷の顔に笑みはない
気になったのはパンチが手打ち気味に感じられたこと
踏み込んで腰を入れて打つパンチが少なかった
また後半大きく口が開き、足元がふらつく場面もありスタミナ面にも課題を残した
第5試合 メインイベント フライ級8回戦 ○小林タカヤス(3-0判定)柳直大●
前半4回までは圧倒的な小林のペース
頭を振って、フェイントを織り交ぜての攻撃で有効打を積み重ねる
4回には鮮やかな左フックでダウンを奪う
5回一気に決めにかかる小林
しかし柳は倒れない
逆にじりじりと反撃
6回 打ち疲れた小林はペースダウン
柳はとにかく前に出て手数を振るう
打たれても下がらない
7回 柳のプレスは止まらず
小林が自分からクリンチで逃れる場面が増える
6回 7回 ダウンを奪われたはずの柳が優勢に
最終8回 やはり柳は前に出て攻勢をとる
スタミナの消耗もあり、小林はペースをつかめず
接近戦での打ち合いに巻き込もうとする柳に手を焼く展開
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ
77-75 77-75 78-75
3-0で小林の勝ち
この日のホールは空席が目立った
閑散としていた
セミもメインも拮抗した力を持った選手同士のサバイバルマッチといったものではなく
ボクシングファンの食指が動かなかったのだろう
しかし試合内容は熱かった
ほぼ100%負けるだろうと思われた側がやはり負けた
二人の日本ランカーは予想通り勝利した
しかし決して楽な試合ではなかった
塩谷は9勝17敗の柴田からダウンを奪われ、最終8回は足がもつれ目もうつろだった
そして小林も約10年のブランクから復帰した柳の必死の頑張りに押され後半は苦戦
を強いられた
柴田と柳
二人は最後まで決してあきらめず真っ向から噛み付いていった
「安全パイ」として選ばれたはずの二人の意地に
閑散と冷え切っていた後楽園ホールは熱く燃えた
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】
]]>
進化!榎洋之世界に再挑戦 (3.7ダイナミックグローブ)
http://boxing12.exblog.jp/10517566/
2009-03-09T00:48:00+09:00
2009-03-09T08:44:11+09:00
2009-03-09T00:49:35+09:00
box-houkoku
現地ナマ観戦記
第460回ダイナミックグローブ 角海老宝石プロモーション主催
第6試合 メインイベント 128ポンド契約10回戦
○榎洋之(3回3分6秒KO)アルディ・ディエゴ●
WBA世界フェザー級8位、榎洋之(27勝19KO1敗2分)がインドネシアフェザー
級チャンピオン、アルディ・ディエゴ(8勝5KO1敗1分)に3回KO勝ち
WBA世界フェザー級タイトルマッチで王者クリスジョンに敗れて以降の復帰戦を
白星で飾る
再起戦に向けた榎洋之のテーマは「進化」
攻撃のバリエーションを増やすこと
過度に左ジャブに頼らず、さまざまな攻撃パターンを習得、実践すること
1回から榎はインドネシアチャンピオンにプレッシャー
左リードを突きつつ、じりじりと前に
下がらされるアルディ・ディエゴ
1分40秒過ぎ
榎、ワンツーから飛び込みざまの左フック
さらに左ボディをフォロー
これは従来の榎にはみられなかった大胆、アグレッシブな攻撃パターン
2回も榎のペース
左ジャブを省略しての右スイング
いきなりの左フック
左ジャブのみに頼らないパンチのつなぎを披露
3回 ラウンド終了間際
力をこめた左ボディが22歳の若きインドネシア王者にクリーンヒット
キャンバスに倒れテンカウントを聞かされた
「世界戦に負けて弱くなったと思われたくない。負けてから強くなったところを
見せたかった」
リング上での勝利者インタビュー
「世界チャンピオンになるために練習頑張ります」
随所に「進化」の跡を見せた榎が豪快なKO勝利
再度の世界戦に向けて力強い一歩を踏み出した
第5試合 スーパーバンタム級8回戦 ○福島学(3-0判定)久永志則●
日本バンタム級4位、角海老宝石ジムの新鋭、久永(11勝6KO2敗1分)と同級7
位、花形ジムのベテラン福島(33勝19KO8敗4分)のランカー対決
1回 福島のノーモーションの右が冴える
この右でペースを狂わされた久永は力み勝ち
上体が立ち、あごが上がった状態ででの大振りパンチ
福島はたくみに防御し打ち終わりに右を上下
2回も福島のペース
ノーモーションの右をもらい久永はペースをつかめない
3回は2分過ぎ 久永のフックがクリーンヒット
一発のパンチ力では久永が勝る
4回
ベテラン福島のテクニックに阻まれ久永は主導権を握れない
福島が右をヒットし続けペースを握る
バッティングにより福島、右目上を負傷
レフェリーはドクターチェックを要請
再開後、負傷によるストップが懸念される中、判定の不利を悟った久永は
猛ラッシュ
しかし福島は久永のラッシュをいなし、カウンターの右を当てる
5回
レフェリーは福島の右目上の負傷が試合続行不可能なものと判断
49-47 49-47 48-47
3-0の判定により福島の勝ち
ノーモーションの右を武器にペースを握った福島がべテランの持ち味を発揮し
新鋭久永の強打を封じ込めてランカー対決を制す
第4試合 ライトフライ級8回戦 △斉藤直人(三者三様)小野心△
日本ライトフライ級3位、角海老宝石ジム期待の新鋭、斉藤(15勝5KO4敗4分)
と花形ジムのノーランカー小野(10勝2KO3敗)の一戦
両者は2005年1月8日に対戦
このときは小野が3-0の判定で斉藤を下している
以来、斉藤は3つの引き分けをはさんで9連勝中
2006年3月の辻(帝拳ジム)戦 2007年12月の五十嵐(帝拳ジム)戦でも
前評判が高かった両選手に対し、互角の攻防
実力者ぶりをみせつけて日本、OPBF双方でランク入り
また前回昨年10月の八巻戦では豪快に2回KO勝利
体幹トレーニングの成果か着実にパワーもつけてきた
今年は日本タイトル奪取の期待がかかる「勝負の年」
4回までは斉藤のペース
足を使った出入りのボクシングでサウスポーの小野を翻弄
常に先手をとり、打っては位置を変える斉藤に小野は後手に回らされる
スピード、手数で勝る斉藤がラウンドを支配
このまま斉藤、圧勝と思われたが5回から小野がじりじりと反撃
斉藤の右に左を合わせ、そのまま前に押し込みアッパーを強打
強気の斉藤は果敢に打ち合うが一発のパンチでは小野が勝っている印象
打ち合いでは小野が優位
6回 7回も小野のペース
斉藤は前半の出入りのボクシングができず接近戦を望む小野の距離での
攻防につきあってしまう悪い流れ
最終8回 両選手、意地の打ち合い
斉藤のクリーンヒットもあるが小野も重いパンチを返す
試合終了
勝敗は判定に
私は77-76で斉藤の勝ち
1回から4回は斉藤
5回から7回は小野
8回は10-10とした
ジャッジの採点は 77-76小野 77-76斉藤 77-77
三者三様の判定でドロー
第3試合 スーパーフェザー級8回戦 ○中真光石(3-0判定)阿部展大●
日本スーパーフェザー級10位、沖縄ワールドリングジムの中真(13勝6KO1敗)に
角海老宝石ジムのノーランカー阿部(9勝7敗1分)が挑んだ一戦
右構えから左構えにスイッチするなど
阿部はトリッキーな動きも入れて体ごと前に前に
正統派的な中真のボクシングを崩そうとする
しかし中真は下がらされる場面はあっても右ストレート、左フックを的確にヒット
勝敗は判定にゆだねられ
77-75 78-75 78-75
3-0の判定で中真の勝利
第2試合 スーパーフライ級8回戦 ○奈須勇樹(4回2分53秒KO)リトルロスマン●
2005年全日本フライ級新人王、角海老宝石ジムの奈須(15勝11KO4敗)がインドネシア
フライ級9位、リトルロスマン(19勝8KO7敗2分)に4回KO勝利
1回から奈須はロスマンを手数で圧倒
ワンツー
ワンツーからの左ボデイ 左アッパー
ロスマンはディフェンス一辺倒
2回 ロスマン横殴りの右スイングを披露
しかし手数、クリーンヒットともに奈須
3回も奈須のラウンド
一方的な展開の中、4回2分30秒過ぎ
奈須のワンツーがクリーンヒット
ロスマンはキャンバスに沈んだ
第1試合 68キロ契約6回戦 ○清田広大(6回2分41秒TKO)加藤大輔●
協栄ジムのハードパンチャー清田(8勝8KO5敗2分)と角海老宝石ジムの加藤
(6勝5KO4敗)の一戦
1回 清田は強い左ストレートで早くも加藤からダウンを奪う
ところが加藤も右でダウンを奪い返す
清田は左が単発でフォローがない
またなるべく半身の体勢をキープすべきところ
左打ち終わりに足がそろい体が開いて正面を向く
ここに加藤の右を入れられふらつく場面が多い
2回 3回はほぼ互角
4回は加藤のラウンドか
5回も加藤の返しの左フックがヒット
清田、足がもつれる
ところが6回 カウンターの左が加藤にクリーンヒット
加藤ダウン
さらに左ストレートがもろに決まり、加藤再度のダウン
レフェリーはノーカウントでストップ
清田が課題を残しつつも主武器である左の強打を生かして豪快なKO勝利
おわりに
久々のホール
なぜかボクアイさんがいないぞ
更新もとまっている
どうなっているのだろうか
彼のボクシング愛はホンモノと思っているので心配だ
またかわいらしい女性ファンから急に声をかけられ
お酒のプレゼントをいただいた
スペインのお酒(写真)
52度
早速、ロックで
飲み口はハードボイルド?
苦い
でも美味しい
そんでもって回るの早い
あのアナーキーな無茶苦茶コーナー「アルコールレポート」のファンなの
だろうか
無言のひんしゅくというか
関係者筋の冷たい視線はさすがに鈍い私にも感じられる
今後のこともあるだろうし
3回で終わりにしようかとも思ったが・・・
かわいい女性の期待を裏切るわけにはいかん
4回目もやったるか!
お酒、どうもありがとうございました^^
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】
]]>
亀田兄弟世界前哨戦「チェンジ」
http://boxing12.exblog.jp/10490864/
2009-03-05T08:50:00+09:00
2009-03-05T14:35:41+09:00
2009-03-05T08:51:24+09:00
box-houkoku
現地ナマ観戦記
亀田兄弟世界前哨戦興行をテレビ観戦
52キロ契約10回戦 ○亀田大毅(6回27秒KO)ワンディ・シンワンチャー●
WBCフライ級17位、亀田大毅選手が元二階級制覇王者、ワンディ・シンワンチャー
に6回KO勝ち
1回 ワンディは右から左のボディフック
左フックから突き上げる右アッパーのコンビでスタートから一気に攻勢
プレスをかけて距離を詰めてキャリアに劣る大毅を攻めつぶす構え
大毅は前に出るワンディに左ジャブ
打ち終わりにショートの左フック
さらに左フック上下のダブル
ただし先手をとって攻め続けていたのは元世界王者か
私はワンディの攻勢、手数を評価し10-9 ワンディ
2回 クロスレンジで頭を付け合い足を止めてのパンチの交換
大毅の左のコンパクトなコンビネーションが冴える
左アッパーからの左フック上下が特に印象に残る
ワンディも左右のボディフックをヒットさせて打ち合うが大毅の左ショートフック
がより効果的
10-9 大毅
3回 大毅カウンターの左ショートフックがいい
この左ショートフックによりワンディの攻勢は寸断され勝ち
得意の右アッパーにも大毅は後ろに引かず左ショートフックを合わせてくる
さらに何度か右もフォロー
ワンディはペースをつかめない
10-9 大毅
4回 2分10秒過ぎ
ワンディが右から左のボデイフックから右アッパー
この一撃が大毅のアゴにクリーンヒット
あわててクリンチ
この一撃は効いたと思う
ワンディは攻勢を強めるが大毅も左フックを軸にパワーで押し返す
10-9 ワンデイ
4回を終わってほぼ互角の展開
ファイター同士のクロスレンジの攻防
5回 この回から大毅は左レバーブロー中心の攻撃
ワンディのプレスが弱まり手数が減る
2分過ぎ ワンディのワンツーに大毅、左レバー
これが効いてワンディ、ダウン
立ち上がるワンディに左レバーのトリプル
執拗にレバーを攻める大毅
ガードの上からでも効かせる構え
10-8 大毅
そして6回 完全にボディが効いてしまったワンディに大毅 左レバー
元世界王者はキャンバスに沈んだ
大毅は打ち終わりに繰り出される左のショートフックが冴えていた
せっかく攻勢に出てもこの左ショートフックを合わされて振り出しに戻される
ワンデイはペースを掌握することができなかった
左上下のダブルも切れていた
さらに注目したいのは5回の左レバーの連続攻撃
効いたところをガードの上からでもおかまいなしにダブル、トリプル、フォース
しっかりと下半身を鍛えている成果かこれだけ強いパンチを打っても軸がぶれない
この攻撃は迫力があった
ただし、左に比べて、右のパンチには課題が残る
踏み込んでの右クロス
さらに得意の左レバーでガードを下げさせて、アゴに右アッパーといったコンビ
左ショートフックに右のフォロー
といった右を組み込んだ攻撃のパターンが増えればさらに強くなると思う
他方、ワンディは大毅を侮りすぎていた
戦う距離を間違った
まともに打ち合い過ぎた
フレームとスタミナ、パワーでは劣っているという自覚があれば、もっと左リードで
突き放し足を使って大毅の前進をさばくボクシングをするべきだった
内藤大助選手は大毅と正面から打ち合うことはなかった
うまく足を使ってサイドに回りクリーンヒットを奪ってポイントアウト
WBC世界フライ級のベルトを守った
ワンディはあの戦い方を参考にするべきだった
次はプレスをかけて打ち合うファイタータイプではなく
足を使えるボクサータイプの実力者との対戦を見てみたい
51.5キロ契約10回戦 ○亀田興毅(2回2分9秒KO)ドローレス・ビダル●
WBAフライ級1位、指名挑戦者、亀田興毅がWBCフライ級20位ドローレス・ビダルに
KO勝利
あまりに実力差のありすぎた試合
見ての通りとしか論評できない
終わりに
大毅選手がWBC13位のワンディを下したことで、ランキング15位以内に入る
ことは確実
これで、亀田兄弟のダブル世界戦興行が開催されることも考えられる
興毅対デンカオセーンのWBAフライ級タイトルマッチ
内藤対大毅のWBCフライ級タイトルマッチ
交渉は難航することだろう
だが、ボクシングファンの夢をかなえるということをまず第一に考えて
お互い歩み寄れるところは歩み寄って合意にこぎつけてもらいたいと思う
最後の最後に「アンチ亀田」問題について
「アンチ」にも二種類いることに気づいた
ひとつはボクシングには関心も愛情もないがとにかく亀田は嫌い
もうひとつはボクシングを愛するがゆえに、亀田は嫌い
亀田ジムの立場で考えると
前者についてはいかんともしがたいだろう
この手のやからは人をバッシングすることでしか生きる実感を見出せない人たちだ
叩く相手はたまたま今は亀田というわけ
しかし後者については
ボクシングを愛するがゆえに亀田は嫌いという人たちについては
良質のボクシングを見せていくことで挽回していくことが可能だと思う
この日の大毅選手のすばらしい戦いぶりは
「アンチ亀田」の人たちでも
ボクシングを愛するなら一定の評価を下さざるを得ないと思う
「応援してくれるみなさまに、拳で応えていきたい」
試合直後の興毅選手のリング上の言葉だ
ボクサーの真価は拳
拳で描く作品が試合だ
芸術家の評価は残した作品の質で定まる
ボクサーもまた同様であろう
ボクサー興毅 ボクサー大毅の価値をさらに高めるためにも
ひりひりするようなプロボクシング独特の緊張感が感じられる
ハードなマッチメイクを望みたいと思う
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】
]]>
ノックアウトダイナマイト内山高志、磐石の初防衛! (2.2後楽園ホール)
http://boxing12.exblog.jp/7440279/
2008-02-09T15:01:49+09:00
2008-02-09T15:01:50+09:00
2008-02-09T15:01:50+09:00
box-houkoku
現地ナマ観戦記
2008年2月2日 後楽園ホール
第432回ダイナミックグローブ ワタナベジム主催
メインはOPBFスーパーフェザー級チャンピオン
「ノックアウトダイナマイト」内山高志(ワタナベジム)の初防衛戦
挑戦者、山崎晃(六島ジム)は日本スーパーフェザー級8位、OPBF同級13位
戦績は14戦10勝6KO1敗3分け
唯一の敗戦は現日本スーパーフェザー級王者、小堀佑介(角海老宝石ジム)に喫したもの
アマ40戦31勝9敗
アマ、プロ通じてダウン経験はない
「玉砕覚悟、死んでもいいという気持ちで戦いたい」
試合前の山崎の決意
他方、チャンピオン内山高志は
「世界に近づくように印象付ける試合をしたいです」
20代のうちに世界王者、を目標とする内山は現在28歳
「ここでつまずいているわけにはいきません」
決意の弁
「ボクレポ」内山選手関連の過去記事
「ナデルフセイン戦後のビータイトラジオ出演」
「2007年9月8日 OPBFスーパーフェザー級王座決定戦 ナデルフセイン戦」
「ボクシングガール竹内綾香さんのナデルフセイン戦レポート」
「2007年6月2日 白承元戦」
「2007年2月10日 ムアンファーレック戦」
特にご注目いただきたい記事は先頭に紹介した「ビータイトラジオ」出演時のもの
内山選手はハードパンチャーであるばかりでなく、実は希代のテクニシャンでもある、という
ことをフセイン戦の分析を通じて強調させていただいた
「(ボクシングの)技術でも自分が上回っていることを証明したいです」
世界を目指す「ノックアウトダイナマイト」内山高志が初防衛に成功するのか
30歳でタイトル初挑戦 この大チャンスに「玉砕覚悟」で臨む山崎が大番狂わせを起こす
のか
またセミでは土居伸久(ヨネクラジム)、三枝健二(新開ジム)と実力者を立て続けに下し
て勢いに乗る日本スーパーバンタム級9位、中嶋孝文(ドリームジム)がノーランカー
栗田貴之(ワタナベジム)と激突
さらにセミセミでは船橋ドラゴンジムからワタナベジムに移籍後3戦目
日本バンタム級9位の冨山浩之介がOPBFスーパーフライ級1位、タイのノラシンと対戦
ほかに8回戦1試合 4回戦4試合
「第432回ダイナミックグローブ」の闘いをレポート
第8試合 メインイベント OPBFスーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦
○チャンピオン内山高志(10回1分37秒TKO)挑戦者山崎晃●
OPBFスーパーフェザー級チャンピオン、内山高志のワンサイドゲーム
10回TKOで初防衛に成功
1回から内山は左を突いて距離をとりペースメイク
中に入ろうとする山崎に右ストレート、左ボディ
2回 山崎、強引に前に
距離を詰めて左右のフックを上下に
しかし内山は強烈な左ボデイ、右アッパーで迎撃
突き放すとロングの右ストレート
ラスト10秒、山崎の左フックもヒットするが、この回も手数、有効打とも内山
3回そして4回
山崎は打たれながらも前に
「玉砕覚悟」の戦いぶり
内山は冷静に対処
上下に打ち分け、あるいはサイドに動き山崎のプレスをさばく
5回 山崎の前進はやまない
飛び込みざまの左フックが内山にクリーンヒット
一瞬、ぐらつく内山だがすぐに体勢を立て直す
冷静に左から上下に散らすコンビネーション
5回は3人の公式のジャッジのうち、一人のみ山崎10-9
一人のジャッジのみとはいえ
山崎がポイントを奪取した唯一のラウンドに
6回以降もペースは内山
一方的に打たれ続ける山崎
強いパンチが決まっているにも関わらず耐えつづけ前進
このタフネスぶりは驚き
内山は決して攻め急がず、深追いを避けて冷静に有効打を集めてポイントをとる
山崎のタフネスぶりを当初から計算に入れていたよう
コツコツと叩いてじっくり弱らせてから仕留める作戦か
そして10回 内山の右に動きが止まる山崎
ここで一気に内山が連打
防戦一方の山崎
ダメージが深いと判断したレフェリー浦谷が割って入る
レフェリーストップ
10回1分37秒
「ノックアウトダイナマイト」内山がほぼ完璧な試合運びでタフガイ山崎をTKO葬
初防衛に成功
「タフな選手だと聞いていて長丁場になると思っていました」
勝利者インタビュー
「コツコツ当てても前に出てきて・・・・勉強になりました」
「今までで一番プレッシャーがかかりました」
「倒すと倒さないではお客様の反応が全く違いますからよかったです」
世界戦については
「もうそろそろ30歳になってしまうのでなるべく早いうちに(世界戦を)と思っています」
「でも今の実力ではまだまだです。もっと強くならないと・・・」
あくまでも謙虚なチャンピオン
ファンへのメッセージ
「地元でも後援会が出来てスポンサーもついてきてくれて今、ボクシングに集中できる環境
になっています。そのおかげだと思っています」
最後に気が付いたポイントを少し
内山選手、たしかにワンツー、左ボディは重くパンチはある
しかし一気にスパートしていく場面がほとんど見られない
言い換えれば、パンチを「まとめていく」能力にやや欠ける
少々の被弾は覚悟で一気にパンチをまとめてラッシュに行く
そういった「回転力」には課題があるという印象
もっともこの背景には
内山選手自身が実は打たれ強い方ではないという事情があるものと考えられる
攻撃の際にも「打たれ強くはない」ためディフェンスに気を配らなければならない
だから被弾のリスクも高まる一気のラッシュを仕掛けることができない
決して深追いせず、コツコツと当てて徐々に弱らせる
今のこのボクシングが彼にもっとも合っているのかもしれない
しかし例えば同じスーパーフェザー級の日本王者、小堀佑介選手(角海老宝石ジム)の
ように
パンチをまとめる能力に優れたボクサーに強引に打ち合いに持ち込まれたケースを想定
すると
対応できるのかどうかやや不安なものが残る
また右のガードが低く左ボディの打ち終わり、右のガードが下がる場面が多い
前のナデル・フセイン戦でも唯一受けた有効打はフセインの左フック
今回の山崎戦でも左フックを被弾するシーンが何度かあった
左フックに対するディフェンスにやや欠点があるようにも感じられる
とはいえこの試合も私の採点では全てのラウンドが内山選手の10-9
プロデビュー以来
昨年2月に行われたタイのムアンファーレック戦でダウンを喫したラウンドを除く全ての
ラウンドを10-9で制している、との情報もある(「ボクシングアイ」より)
とてつもなく強いことは事実
「20代のうちに世界を目指す」
「ノックアウトダイナマイト」内山高志の今後から目が離せない!
第7試合 セミ スーパーバンタム級8回戦 ○中嶋孝文(3-0判定)栗田貴之●
日本スーパーバンタム級9位、ドリームジムの中嶋(10勝3KO3敗)とノーランカー、ワタ
ナベジムの栗田(7勝1KO3敗1分け)の一戦
サウスポーの栗田に対し中嶋はノーモーションの右でペースを握る
フェイントを駆使しじわじわと圧力をかけて距離が合ったら細かいフェイントを入れての
右ストレート、左フック
5回までは中嶋の一方的なペース
6回 劣勢の栗田がチャージ
打ち合いになりヘッドバッティングで両選手、減点1
この回は栗田のパンチが当たる場面も多く栗田の10-9
強引に打ち合いに出た栗田に試合の流れが傾くかと思われたが続く7回
開始早々 中嶋の右がクリーンヒット
中嶋は一気にラッシュ
栗田、ロープを背負わされ防戦一方に
最終8回はほぼ互角
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ 78-75 77-74 78-74
3-0で中嶋の勝ち
第6試合 53キロ契約8回戦
○冨山浩之介(3-0判定)ノラシン・ギャットプラサーンチャイ●
2005年全日本新人王、2006年A級トーナメント優勝、日本バンタム級9位、ワタナベジム
の冨山(15勝5KO1敗)とタイ国スーパーフライ級チャンピオン、OPBF同級1位ノラシン
(14勝11KO11敗2分け)の一戦
冨山は24歳 ノラシンは33歳のベテラン
1回からペースをつかんだのはノラシン
アゴが上がり気味でガードが低い冨山にいきなりの右がヒット
モーションは大きいがノラシンには独特の当て勘が備わっている印象
最後まで冨山はノラシンのこの右に苦しまされる
ノラシンの右打ち終わりに冨山が連打を「決めるシーンもあったがノラシン優位の流れは
変わらず
試合終了
ノラシンの勝利と思われたが判定結果は77-76 78-76 79-76
3-0で冨山の勝ち
勝った冨山は思わず涙
OPBF1位のランカー、ノラシンを下しランク入りを確実に
第5試合 スーパーフライ級8回戦 △福永真也(三者ともにドロー)立山信生△
白井具志堅スポーツジムの福永(8勝4KO4敗1分け)と2006年東日本スーパーフライ
級新人王、敢闘賞、2007年B級トーナメント準優勝、船橋ドラゴンジムの立山(8勝2KO
2敗1分け)の一戦
立山といえば、思い出されるのが2006年東日本新人王トーナメント決勝戦
ガチガチの優勝候補と目されていた八王子中屋ジムの月花選手を一撃でキャンバスに
沈めた右ストレート
ロング、あるいは中間距離から打ち込まれ
しっかり踏み込みを利かせているので予想以上に伸びる
またノーモーションで放たれるので反応が遅れ勝ちに
1回 右を自信を持って放って、ペースをつかむ立山
福永は様子見かと思われるくらい手数が出ない
後手に回らされる展開
10-9立山
2回 立山は得意の右、で攻め込む
福永、左目上をカット
この回、福永はさかんに左ボディを打つ
そこからコンパクトな右ストレートにつなげたり、上に返して左のダブル
ほぼ互角のラウンド
3回は立山のラウンド
右がクリーンヒット
しかし4回終了間際 立山の右打ち終わりに福永、カウンターの右ストレート
ひざが落ちる立山
立山の右は威力はあるが引きが遅い
5回 福永は右に、右を合わせる作戦か
この回、警戒する立山は右の手数が鈍る
3回までは立山ペース
しかし4回からやや福永の流れに
6回 立山は接近戦で戦うことを選択
遠い距離から放たれる右は封印する形
クロスレンジでの打ち合いに
そして7回 クロスレンジの打撃戦の中、福永の右ショートがヒット
立山、キャンバスにひざ
ダウン
ところが立山は立ち上がってから死にもの狂いで手数
最終8回 ダウンを奪われた立山がやはり必死の反撃
福永も迎え撃つが後手に回らされる展開
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ、三者とも76-76のドロー
引き分けに
福永は一発のパンチ力に自信があるのかやや「見すぎてしまう」欠点
ダウンを奪われたものの懸命に手数を繰り出す立山にポイントが流れてしまった
第4試合 58キロ契約4回戦 ○打馬王那(1回1分11秒KO)松永尚恭●
モンゴル人輸入ボクサー
1回24秒の秒殺KOデビューを飾ったワタナベジムの打馬王那(1勝1KO)のプロ2戦目
対戦相手は横田スポーツジムの松永(2勝2KO)
打馬はガードをしっかり固めてじりじりと前に
クロスレンジでのパンチの交換
打馬のフック、アッパーがヒット
この段階ですでに松永にかなりのダメージ
フィニッシュは直後の右アッパー
アゴにヒット
キャンバスに倒れこむ松永
なんとか立ち上がる松永だが再開直後、ダメージが深いと判断したレフェリーが試合
をストップ
打馬が、1回1分11秒、KO勝ち
デビュー戦が24秒KO 2戦目が71秒KO
「秒殺モンゴルボクサー」打馬の今後に注目
第3試合 スーパーフライ級4回戦 ○小松絵(3回1分24秒KO)長島豊文●
ワタナベジムの小松(3勝2KO1敗)が青木ジムの長島(3勝1敗)に3回KO勝ち
長島の身長はなんと183センチ
対する小松は169センチ
1回 圧倒的にリーチにまさる長島は左を切らさず、小松を突き放す
距離を詰めて中に入りたい小松だが手がかりをつかめない
しかし3回40秒過ぎ 小松の右オーバーハンドがクリーンヒット
ぐらつく長島は小松の腰につかまり足がもつれてキャンバスに
ダウンと思われたが判定はスリップ
試合は再開されるが小松の連打で長島、ダウン
立ち上がるも効いてしまっているのは明らか
マーチンレフェリーはストップせずに続行
再び小松が攻めて直ちにレフェリーストップ
小松が14センチの身長差を克服しKO勝利
第2試合 フェザー級4回戦 ○小川利希(2-1判定)長濱慎吾●
宮田ジムの小川(3勝1KO1敗)がセレスジムの長濱(3勝1敗1分け)に2-1の判定勝ち
小川は同じ宮田ジムのWBCフライ級王者、内藤大助選手を思わせる前傾姿勢
左を切らさず、距離をとって左右のフック
打っては頭を振り、足を使って、めまぐるしく立ち位置を変える
1回は手数、有効打とも小川が優位
2回 長濱、反撃
頭を振る小川に対しボディ攻め
しかし終了間際 小川の右ストレートがクリーンヒット
長濱、ぐらつかされる
3回はほぼ互角のラウンド
手数では小川が優位
最終4回 長濱、アグレッシブに前に
スタミナがかなり消耗していた様子の小川だが、足を使って、頭を振って
長濱の前進をさばき要所要所で有効打
試合終了
勝敗は判定に
40-37小川 39-38長濱 39-38小川
2-1で小川の勝ち
小川のパンチの有効度についてどう評価するのか
この点が大きくジャッジの間で採点が割れた原因か
小川のパンチは完全に手打ち
極端な前傾姿勢で腰が引けているフォーム
なおかつ膝のバネもほとんど利かせていない
手数では小川優位は明らか
しかし、小川のパンチは手打ちで有効度は低い
こう判断したジャッジは小川より長濱のパンチの有効度を高く評価したものと思う
第1試合 ウエルター級4回戦 ○大野徹哉(3回2分30秒TKO)遠藤関平●
船橋ドラゴンジムの大野(1勝1敗)がワタナベジムの遠藤(デビュー戦)に3回TKO勝ち
ダウンの応酬となったこの一戦
1回は有効打、手数ともにほぼ互角
2回 20秒過ぎ
迷いながら打ち込まれたような遠藤の力の無い右に大野が右クロスを合わせてダウン
なんとか立ち上がってきた遠藤にラッシュの大野
その直後
ダウンを奪ったのと同じような右のパンチを打ち込む大野に、今度は遠藤が返しの左フック
この一発がカウンターで決まり大野がダウン
3回 1分半過ぎ 遠藤の右フックがクリーンヒット
ぐらつく大野
しかし2分過ぎ 遠藤の左ジャブに大野、右クロス
ぐらつく遠藤を一気にコーナーに詰めて連打
右ストレートで遠藤ダウン
ダメージが深いと判断したレフェリーはノーカウントで試合をストップ
カウンターのセンスで上回った大野がこの日デビュー戦の遠藤をTKOで下しプロ2勝目
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】
加藤「デーブ」善孝 ランカー中村を撃破! (1.28後楽園ホール)
http://boxing12.exblog.jp/7391521/
2008-02-02T07:25:44+09:00
2008-02-02T07:25:44+09:00
2008-02-02T07:25:44+09:00
box-houkoku
現地ナマ観戦記
2008年1月28日 後楽園ホール
「第73回ダイナマイトパンチ」 横浜光ジム主催
メインに抜擢されたのは 9戦8勝5KO1分け
無敗のハードパンチャー赤穂亮
ランキングにも入っていない赤穂選手をあえてメインに
所属する横浜光ジムの期待の大きさがうかがえる
ランキング獲得→日本王座挑戦に向けて豪快なKO勝利が望まれるところ
セミには日本スーパーライト級10位
相模原ヨネクラジムの中村徳人が登場
角海老宝石ジムのノーランカー、加藤善孝と激突
当初は同じ角海老宝石ジムの坂本大輔との対戦が決まっていた
ところが大きく報じられた事件が原因で、で坂本は出場不能
急遽、加藤が代役に
そもそも、実は
中村の対戦相手として、真っ先にオファーされたのは加藤だった
加藤との対戦交渉がまとまらず、「代役」に抜擢されたのが坂本
さらにその坂本が出場不能になった結果、「代役」になったのが元に戻って
加藤に
ランカー中村との対戦が決まった加藤
対戦を受諾したものの準備期間も短く対戦相手は一階級上
スーパーライト級のランカーで日本タイトルへの挑戦経験もある
加藤のブログ「加藤善孝の虎視眈々」によれば
「不安と不満」 でいっぱいだったようだ
「代役の代役」としてランカーに挑戦する加藤
果たしてランカーの壁を破り、ランキングを獲得する事ができるのか
ほかにアンダーカードとして6回戦2試合 4回戦2試合
「第73回ダイナマイトパンチ」
合計6試合の熱闘を完全レポート
第6試合メインイベント スーパーフライ級8回戦 ○赤穂亮(3-0判定)難波拓人●
横浜光ジム期待の新鋭、赤穂(8勝5KO1分け)が明石ジムの難波(7勝2KO5敗1分け)
に3-0の判定勝ち
( 79-75 79-74 80-74 )
KO勝利が期待された赤穂だったが結果は判定
1回から赤穂は大きなモーションからの左フックで攻め立てる
難波は足を使って防御に徹するボクシング
攻勢をとっているのは赤穂だがクリーンヒットは少ない
「早く倒そう」と気ばかりがあせっている印象
狙いすぎ、単発、大振り、上狙い
ハードパンチャーにありがちな悪癖に終始
5回には、戦い方を変えてボデイ狙い
パンチを下に散らす工夫を見せる
しかし7回以降「倒せないまま判定になってしまう」というあせりからか
狙いすぎ、単発、大振り、上狙い
元の粗いボクシングに逆戻り
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ 79-75 79-74 80-74
3-0で赤穂の勝ち
勝った赤穂に笑顔なし
ワンサイドゲームではあったものの試合内容は拙戦といって過言なし
赤穂選手の今後に大きな課題を残す一戦に
第5試合 スーパーライト級8回戦 ○加藤善孝(7回1分54秒TKO)中村徳人●
日本スーパーライト級10位、相模原ヨネクラジムの中村(13勝3KO10敗)と角海老宝石
ジムのノーランカー、加藤(11勝2KO2杯分け)の一戦
打たれ強くスタミナ豊富な中村は前に出て中に
加藤は左を突いて距離をとってコンビネーション
2回 2分40秒過ぎ 加藤のワンツーがまともにヒット
中村、ダウン
立ち上がるも深いダメージ
加藤は一気に攻めるが、ここでラウンド終了のゴング
3回 加藤の手数が減る
ダウンを奪われた中村が必死の反撃
4回 一貫して前に出る中村に加藤はアッパーで迎撃
さらに左フックをフォロー
また右のショートも多用
一方的な加藤のペース
しかし中村はタフ
決してあきらめない
7回 打たれ続ける中村 右目上をカット
連打で攻め立てる加藤
ここで中村陣営セコンドからタオル投入
7回1分54秒TKO勝ち
加藤が中村を破り、スーパーライト級弟9位にランクイン
第4試合 スーパーライト級6回戦 ○張飛(3回2分13秒TKO)千葉龍史●
2007年西日本スーパーライト級新人王、明石ジムの張飛(4勝3KO5敗)が、2006年
西軍スーパーライト級新人王、横浜光ジムの千葉(6勝5KO)を3回TKOに下す
1回は様子見
互角
2回は張飛のラウンド
千葉は左フックがオープン気味
動きにキレを欠き、スピード不足
張飛は手数も出てスピードにもまさる
3回 1分過ぎ 張飛の右ストレートで千葉のひざが揺らぐ
1分半過ぎ 返しの左フックがクリーンヒット
張飛、ダウン
立ち上がったもののダメージは深い
すかさず張飛はラッシュ
レフェリーストップを呼び込んだ
第3試合 113ポンド契約6回戦 ○阿知和賢(2-0判定)阿修羅優作●
横浜光ジムの阿知(4勝1KO1敗1分け)が、アポロジムの阿修羅(4勝2KO1敗1分け)に
2-0の判定勝ち
( 58-58 58-56 59-55 )
右ファイタータイプの阿知は前に出て左右のフック
阿修羅は距離をとって戦うアウトボクサータイプ
阿知の前進をさばく
入ってくるところに左フック、左アッパー、右ストレート
ボディ打ちも巧みで2回まではやや阿修羅のペース
しかし3回
阿知の右がクリーンヒット
阿修羅は足さばきは問題ないが、上体が固く頭が振れていない
遠い距離からの阿知のパンチをまともにもらってしまう
5回以降、阿修羅のスタミナが消耗
手数にまさる阿知のペースに
試合終了
勝敗は判定に
2-0で阿知の勝ち
第2試合 56キロ契約4回戦 ○小野遼太郎(3-0判定)岩鬼城●
横浜光ジムの小野(3勝2KO)がファミリーフォーラムジムの岩鬼(2勝2KO9敗)に3-0の
判定勝ち
( 39-37 40-37 40-37 )
1回 小野はやや見すぎ
岩鬼が手数勝ち
しかし2回以降、小野は左からのコンビネーション
有効打、手数ともに小野のペースに
勝敗は判定にゆだねられ
3-0で小野の勝ち
小野は戦績4戦4勝2KOとなり全勝をキープ
第1試合 スーパーバンタム級4回戦 ○土岐龍之介(2-0判定)田代智幸●
相模原ヨネクラジムの土岐(1敗)がFTB益子ジムの田代(4敗1分け)に2-0の判定勝ち
( 38-38 38-37 38-37 )
1回 1分過ぎ 土岐の右で田代ダウン
しかしこのピンチをしのぐと2回以降、田代反撃
土岐は受けに回りがちに
田代はプレスをかけてくっついての手数
土岐はスタミナが消耗しているのか手が出ない
最終4回 土岐は左をしっかり突いて距離をとり田代を中に入れない作戦
田代、土岐の左で鼻血
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ 2-0で土岐の勝ち
土岐がダウンを奪っての判定勝ちでプロ初勝利
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】
絶対王者、木村登勇V11! (1.19後楽園ホール)
http://boxing12.exblog.jp/7374604/
2008-01-30T18:46:19+09:00
2008-01-30T18:46:19+09:00
2008-01-30T18:46:19+09:00
box-houkoku
現地ナマ観戦記
2008年1月19日 後楽園ホール
第431回ダイナミックグローブ 横浜光ジム主催
メインは日本スーパーライト級タイトルマッチ
王者、木村登勇(横浜光ジム) 対 挑戦者、松本憲亮(ヨシヤマジム)
WBAスーパーライト級15位、WBC同級6位
目下10連続防衛中の王者、木村
王座を守りきれば11度目の防衛
スーパーライト級日本タイトルでは新記録となる
39戦32勝16KO5敗2引き分け
この強さを支えるものが「木村術」
木村自身が命名した独自のボクシングテクニックだ
「木村術」とは何か
考察してみた過去記事から引用
強さの秘密は「木村術」と自称する独自のテクニック
「いかに相手のパンチを避けて、いかに自分のパンチを当てるか」
勝利のために、日々の練習、実戦経験の中から、細かい工夫を積み上げて木村選手自身が
編み出したもの
木村のボクシング人生の結晶だ
「木村術」 その詳細は一切不明
ただし、その内容を推し量る手がかりは今までの試合や木村自身の発言の中にあるはず。
まずは、木村選手自身の発言から
①木村術の基本は「人に教えてもらうのでなく、自分で考えること」
②「空いているところを打つんです。だからよく変な体勢から打つといわれたりしてるけど・・・」
③得意なパンチは木村術パンチ (横浜光ジムHPより)
④「ストレートにしてもいろんなストレートがあって、ジャブにしても、フック、アッパーにしても
いろんな種類があるんです。タイミングを変えたり、距離や角度を変えたり・・・それにリズ
ムですね。そんなことを自分なりに考えながらパンチを出しているんです。それが木村術
の実態ですかね」(原功氏のインタビューより)
次に木村選手の試合で目に付くポイント
①緩急自在 バランスがよく、動きがやわらかい
②左はノーモーションで打ち込まれる上、本来、右利きの選手の左
ということもあってか、軌道が独特で、出所が読みにくい
③ガードはやや下げ気味
④相手の動きをよく観察している
⑤思わぬ角度、体勢からパンチが出る。体がやわらかく、まさに
「空いているところ」を形にとらわれずに攻撃するボクシング
⑥パンチを打ち込むとほぼ同時に、頭が動く。頭を動かしながらのパンチ
⑦表情は常に冷静
⑧中間距離でのパンチの交換には絶対の自信 インファイトはやや苦手(佐々木戦など)
特に、注目すべきは②、⑤、⑥
木村選手のスタイルが、変幻自在で、つかみどころがないといわれる所以(ゆえん)だ。
木村術とは何か
決まった形、やり方にとらわれることなく、「打たれずに打つ」ことを自ら工夫し、実践する
ボクシング、といえるのではないだろうか
チャンピオン木村に挑戦する松本(ヨシヤマジム)は同級8位の右ボクサーファイター
アマ38戦25勝、プロ26戦20勝15KO3敗3分け
現在引き分けを7連勝中の28歳
ただし26戦中12戦がタイ、インドネシア、韓国の選手
これらの地域の選手との対戦成績は12戦11勝9KO1敗
対して、日本人選手との戦績は14戦9勝6KO2敗3分け
対日本人選手に限定すると過去5試合、KO勝利はない
「絶対王者」木村が日本スーパーライト級新記録となる11度目の防衛に成功するのか
「聖地」後楽園ホール初登場、7連勝中の松本が勢いに乗ってビッグアップセット(大番狂わ
せ)を引き起こすのか
アンダーカードも見どころいっぱい
セミでは「男前ボクサー」元NO1ホストの伊藤博文(相模原ヨネクラジム)が昨年度B級
トーナメント優勝の篠崎生思郎(ヨネクラジム)と激突
セミセミは昨年度A級トーナメント決勝戦のダイレクトリマッチ
優勝の李冽理(横浜光ジム)対円谷篤志(アベジム)
さらに日本バンタム級トップコンテンダー、臼井欽士郎(横浜光ジム)も登場
全7試合の熱闘を完全レポート
メインイベント 日本スーパーライト級タイトルマッチ10回戦
○チャンピオン、木村登勇(7回1分37秒TKO)挑戦者、松本憲亮●
チャンピオン木村のワンサイドゲーム
1回から木村の左がヒット
ほぼ一方的な展開
離れた距離ではヘッドスリップを効かせた左
詰まると変則的な打ち出しからのアッパー
5回 木村がやや打ち疲れ
自分からクリンチに行くシーンもあるが木村優位の流れは変わらず
打ち込まれながらも前に出る松本だが反撃のきっかけをつかめない
7回 木村の連打で防戦一方の松本
ダメージが深刻と判断したレフェリーが試合を止めた
国内に敵なし、をあらためて強く印象付けた王者、木村
スーパーライト級では最長となる11度目の日本王座防衛に成功
1978年3月15日生まれの木村はすでに30歳
デビューは1996年5月20日 12年のキャリア
世界戦の早急な実現が待たれるところ
第6試合 セミファイナル スーパーライト級8回戦
○伊藤博文(8回48秒KO)篠崎生思郎●
元日本スーパーライト級12位、「男前ボクサー」相模原ヨネクラジムの伊藤(9勝7KO2敗
1分け)が昨年度B級トーナメントライト級優勝、ヨネクラジムの篠崎生思郎(8勝2KO2敗)
に8回TKO勝ち
篠崎は初の8回戦
「元NO1ホスト」という伊藤だが、そのイメージとは裏腹にボクシングは基本に忠実、真面目
そのもの
1回なんと1分10秒まで一切、右は打たず
左ジャブのみ
右ファイタータイプの篠崎に対し、リーチでまさる伊藤は左を切らさず距離をとる戦い方
ジャブから右、さらに左ボディ
篠崎は中に入れない
2回2分過ぎ 伊藤の左フックがクリーンヒット
篠崎、ぐらつく
3回まで伊藤優位の流れ
4回 ペースを変えようと篠崎、プレスを強める
ややもてあまし気味の伊藤
この回はほぼ互角のラウンド
しかし5回以降、ペースはまたもや伊藤に
基本に忠実に、左からのコンビネーションがクリーンヒット
詰めて中に入りたい篠崎だが、上体がやや固い印象
詰めるスピードに欠け、詰め方も一本調子で柔軟な変化に乏しい
ダメージの蓄積、スタミナの消耗から7回以降、篠崎の手数に衰え
最終8回 伊藤、一気に攻勢
手数をまとめて連打
右アッパー二発からのワンツーがクリーンヒット
篠崎、ダウン
レフェリー浦谷、即座に試合をストップ
「男前ボクサー」伊藤が8回48秒KO勝ち
3連続KOで7連勝
第5試合 フェザー級8回戦 ○李冽理(3-0判定)円谷篤史●
昨年度A級トーナメント決勝戦のダイレクトリマッチ
日本フェザー級11位、横浜光ジムの李(8勝5KO1敗1分け)とアベジムの円谷(12勝6KO
6敗1分け)の一戦
1回 やや低い姿勢から前に出る右ファイタータイプの円谷
しかし、李はバックステップ、サイドステップ
足を使って距離をとり手数
李がペースを握る
2回 開始30秒過ぎ 李の右フックで円谷、ぐらつく
ラスト10秒にも李、ショートの右フック
ひざが落ちる円谷
2回は10-8に近い10-9 李のラウンド
3回もペースは李
ファイタータイプの円谷だが、クロスレンジの打ち合いでは回転にまさる李が優位
中間距離ではノーモーションで繰り出される右フックをまともにもらってしまう
4回 戦い方を変えてきた円谷
ファイタータイプのはずの円谷が足を使って距離をとり、特に李の右フックを警戒
李の右をはずすことには成功するが、手数、有効打とも李の優位は変わらず
李は上下に散らすコンビネーションで攻めてペースを守る
7回 判定では不利と判断したのか
円谷が捨て身の反撃
前に出て李と打ち合う
ファイターの面目躍如
ほぼ互角
最終8回もクロスレンジでの打ち合い
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ、79-76 78-74 79-73
3-0で李の勝ち
李がダイレクトリマッチを制し、円谷を返り討ちに
第4試合 54キロ契約8回戦
○臼井欽士郎(5回2分25秒KO)ジョッキーレック・シッスーイ●
日本バンタム級1位、OPBF4位、WBC40位、横浜光ジムの臼井(15勝7KO1敗)がタイの
ジョッキーレック(9勝4KO4敗1分け)に5回KO勝利
1回から左ボディを決める臼井のペース
5回 1分半過ぎ 強烈な左ボディアッパーでジョッキーレック、ダウン
なんとか立ち上がったものの再度の左ボディで2度目のダウン
カウントアウト
臼井が勝って、ランキング1位の座を守りぬいた
第3試合 スーパーフェザー級6回戦 ○松村浩太郎(3-0判定)木村拓磨●
ワタナベジムの木村(5勝3KO9敗2分け)はこの一戦で引退
最後の対戦相手はミナノジムの松村(4勝1KO3敗2分け)
1回から手数にまさる松村のペース
引退試合とあってか木村は精彩を欠く
4回はやや木村
しかし、5回、最終6回と松村はボディに打ち分けて攻勢
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ 59-57 59-56 59-56
3-0で松村の勝ち
第2試合 フェザー級4回戦 ○宇都宮敏鉱(3-0判定)チャベス高久●
ファミリーフォーラムジムの宇都宮(4勝1KO3敗1分け)がひたちなかジムのチャベス
高久(4勝4KO4敗)に3-0の判定勝ち
リーチにまさる宇都宮は足を使ってのアウトボクシング
低い姿勢からウイービング、ダッキング
頭を振って前進するチャベス
宇都宮のアッパーが低く構えるチャベスの顔面にヒット
有効打は宇都宮が優位
最終4回 宇都宮はアウトボクシングから前に出ての打ち合いに
応じるチャベスとの間で激しいパンチの応酬
しかし40秒過ぎ 従来のアウトボクシングに戻す
チャベスをさばいて試合終了
勝敗は判定にゆだねられ、39-38 39-38 39-37
3-0で宇都宮の勝ち
第1試合 バンタム級4回戦 ○芝田もーと(3-0判定)若松真之●
3勝2KO6敗1分け、八王子中屋ジムの芝田と3勝2Ko4敗1分け、輪島スポーツジムの
若松の一戦
ともに3勝
勝った選手がB級ボクサーに昇格
左ジャブから右アッパー、右ストレート
さらに打っては回り的をしぼらせず
先手をとることを心がける芝田のペース
上下の打ち分けも巧み
3回までは芝田の一方的な優位
最終4回 さらに攻勢を強め、距離を詰める芝田
打ち合いになり、若松のパンチもようやく当たる
4回はほぼ互角
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ 三者ともに39-37
3-0で芝田の勝ち
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】
伊藤院長MVP!新春後楽園ホール初興行 後編 (1.5後楽園ホール)
http://boxing12.exblog.jp/7328012/
2008-01-23T17:34:00+09:00
2008-01-23T17:52:16+09:00
2008-01-23T17:34:01+09:00
box-houkoku
現地ナマ観戦記
「第430回ダイナミックグローブ」 角海老宝石ジム主催
メインの日本スーパーフェザー級タイトルマッチは王者、小堀佑介(角海老宝石ジム)が
同級1位の松崎博保(協栄ジム)を3-0の判定に下して6度目の防衛に成功した。
アンダーカード6試合のレポートは以下の通り
第1試合 65キロ契約4回戦 ○土信田亮太(2回2分21秒TKO)真神風大谷●
両選手、デビュー戦
角海老宝石ジムの土信田が全日本パブリックジムの真神風に2回TKO勝ち
32歳でプロテスト合格、33歳プロデビューという真神風だがほぼ全てのパンチが大振りの
上、オープン
普通のストレートが打てない
1回 土信田は真神風の大振りのフックに合わせて左ショートフックでダウンを奪う
さらに2回2分過ぎ 左フックで真神風、ダウン
ダメージが深いと判断したレフェリーはカウントを数えず試合を止めた
真神風は担架で医務室に
土信田が2回2分21秒TKO勝利
デビュー戦を白星で飾る
第2試合 スーパーフェザー級8回戦 ○阿部展大(3-0判定)八木橋淑郎●
角海老宝石ジムの阿部(7勝5敗1分け)がオサムジムの八木橋(7勝2KO11敗)に3-0の
判定勝ち
35歳のベテラン、八木橋に対し、24歳、初の8回戦となる阿部
2回までは両選手、様子見
3回から阿部が攻勢
サウスポーへのスイッチを交えつつワンツーからフック
あるいはボディ攻撃
八木橋をコーナーに詰めての連打
4回以降もペースは阿部
前に出る八木橋に阿部の連打
ただし阿部も体の軸がぶれ勝ち
連打で攻めていくときにアゴが上がり上体が流れてしまう傾向
6回以降は両選手とも距離が合わず膠着した展開
ただし有効打の数は阿部がリード
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ79-74 79-74 80-73
3-0で阿部の勝ち
第3試合 ミニマム級8回戦 ○瀬川正義(2-1判定)小川利樹●
日本ライトフライ級5位、2004年全日本新人王、横浜光ジムの瀬川(12勝3KO2敗)と
日本ミニマム級6位、角海老宝石ジムの小川(14勝8KO5敗2分け)のランカー対決
サウスポーの瀬川は左ストレート、右フック
小川は左サイドに回らず、正面から右で圧力
2回までは小川の前進に瀬川が左を当てて優位に
3回 小川のプレスが強まる
右から詰めての左ボディ、左フック
やや大振りが目立つが上下に散らす小川のペースに
4回 3回は押されがちだった瀬川が反撃
小川の攻勢を正面から受け止めての打撃戦
5回 一転して瀬川は距離をとるボクシング
小川の前進をいなし打ち終わりを狙う
6回以降も瀬川は4回のような打ち合いには応じず
小川の打ち終わりに的確に左ストレート、右フック
試合終了
勝敗は判定に
前に出て攻勢を取り続けていたのは小川
下がらされながらも的確に有効打を積み重ねていたのは瀬川
ジャッジの採点は、78-76小川 78-76瀬川 77-76瀬川
2-1で瀬川の勝ち
第4試合 58キロ契約8回戦
△秋葉慶介(5回1分負傷判定1-0ドロー)堀茂雄△
日本フェザー級3位、角海老宝石ジムの秋葉(11勝2KO4敗2分け)とノーランカーの
サウスポー、ワタナベジムの堀(12勝3KO8敗)の一戦
6センチ、リーチで上回る堀の左ストレートがヒット
詰めたい秋葉はラスト10秒にプレス
2回は2分過ぎ、堀の左ストレートがクリーンヒット
ぐらつかされる秋葉
2回までは堀のペース
3回 秋葉が右ストレートを中心にプレスを強める
4回 距離を詰めて手数を振るう秋葉のペース
クロスレンジの戦いで偶然のバッティングにより堀、右目上をカット、流血
5回 堀の傷がさらに開きドクターチェック後、レフェリーストップ
負傷判定は48-47秋葉 48-48 48-48
1-0のドロー
第5試合 スーパーフライ級10回戦
○ジョジョ・バルドン(1回2分8秒KO)奈須勇樹●
OPBFフライ級1位、前OPBFフライ級チャンピオン、フィリピンのジョジョ・バルドン(22勝
9KO10敗2分け)と角海老宝石ジム移籍2戦目、WBCスーパーフライ級36位、奈須(
14勝11KO2敗)の一戦
1回 いきなりバルドンのボディフェイントを入れた左フックがクリーンヒット
このパンチに全く反応できていなかった奈須はまともにもらって、ダウン
立ち上がるもダメージは深く、バルドンは追撃
1分45秒過ぎ、右ストレートで2度目のダウン
再び、立ち上がってくる奈須だがバルドンがさらに連打
レフェリーストップを呼び込んだ
普通のボディフェイントに簡単に引っかかってダウンを奪われたこと
1度目のダウンを喫したバルドンの左フックに体が全く反応できていなかったこと
上記2点は今後の奈須選手にとって大きな懸念材料
しかし、角海老宝石ジム陣営はあえて強気のマッチメイク
奈須選手の次戦の対戦カードとして
WBCスーパーフライ級14位、中広大悟選手(広島三栄ジム)との一戦を決定
第6試合 60キロ契約4回戦 ○伊藤院長(1回25秒KO)永井正輝●
両選手、デビュー戦
角海老宝石ジム所属アルファー接骨院伊藤院長(32歳)が1回、左フックで、
全日本パブリックジムの永井(26歳)にKO勝ち
この一戦で引退と伝えられる院長
計量会場での表情、さらに試合当日のジムでの表情を見ているのだがかなり緊張した
様子
顔色も青ざめていて、こわばった雰囲気
ガチガチに緊張した状態で試合に出ても普段の実力を発揮できないことは明らか
ところがこの懸念は杞憂に
カウンターの左フック一閃の豪快なKO勝利
会場の盛り上がりの度合いも含めて
ある意味この日の角海老興行MVP!
番外編
ラウンドガール対決
○梅ちゃん(1-0判定)綾香ちゃん●
この日の興行のラウンドガール対決
どちらも素晴らしいので勝敗をつけるのもどうかと思われるのだが
世界戦の基準に従ってあえてマストポイントシステムでどちらかに振り分けるとすれば
梅ちゃんの技あり一本?
10-9の判定勝ち
この興行が行われた日は1月5日
お正月
このタイミングを冷静に読んであえて「着物」を着てラウンドガールをやる、という前例の無い
賭けに出た梅ちゃんのチャレンジスピリット、機転を利かせたパフォーマンスに敬服
実は前回のラウンドガール時
赤いビキニの水着についてボクシング業界の某実力者の不興を買っていたのだが、これに
対応する意味もあったのか、今回は水着は一切無し
露出を完全に抑えて最後まであえて上品に着物で通した点も第一人者としての貫禄を
自然にアピールすることにつながった
次回、綾香ちゃんの巻き返しに期待!
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】
]]>
小堀佑介苦渋のV6!後楽園ホール新春初興行前編 (1.5後楽園ホール)
http://boxing12.exblog.jp/7302876/
2008-01-19T22:38:00+09:00
2008-01-19T23:17:05+09:00
2008-01-19T22:38:12+09:00
box-houkoku
現地ナマ観戦記
「第430回ダイナミックグローブ」 角海老宝石ジム主催
小堀佑介(角海老宝石ジム)対松崎博保(協栄ジム)の日本スーパーフェザー級タイトル
マッチを中心に
全7試合の熱闘をレポート
メインイベント 日本スーパーフェザー級タイトルマッチ10回戦
○小堀佑介( 97-96 96-95 98-93 3-0判定)松崎博保●
WBA、WBCスーパーフェザー級ともに7位、日本スーパーフェザー級チャンピオン、
角海老宝石ジムの小堀(21勝11KO2敗1分け)が同級1位、協栄ジムの松崎(17勝
8KO1敗)を3-0の判定に下し6度目の日本王座防衛に成功
戦前の大方の予想は王者小堀のKO防衛
ところが結果は二人のジャッジが1差という僅差の判定に
まずは簡単に試合経過から
2回までは小堀のペース
ていねいに左を突いて、右のボディストレートを決め先手をとる
ところが3回から松崎が反撃
左を切らさず右を当ててはバックステップ
4回 松崎、左ボディアッパーからの右フック クリーンヒット
小堀は3回以降、左リードが出ない
狙いすぎか全体に手数不足
5回 小堀の左フックがクリーンヒット
バランスを崩しぐらつく松崎
KOのチャンスと思われたが大振りの右フックはヒットせずクリンチに逃げられ詰めきれず
この回は2回に続いて3人のジャッジがすべて小堀の10-9
6回 手数にまさる松崎のペース
この回初めて3人のジャッジがそろって松崎の10-9に
6回終了時点でジャッジ浅尾、ジャッジ安部がそろって58-57で松崎
ジャッジサラサスは59-56小堀
実は6回までは2-1で勝っていたのは松崎
この日の小堀は動きが鈍い
体の切れがなく追い足に乏しい
手数も不足勝ちで振りも大きくミスブローが目立つ
ところが7回以降 再度ペースは小堀に
7.8.9回 ジャッジの支持を多く集めたのは小堀
6回までは打っては下がり、を繰り返していた松崎
しかし7回以降、バックステップ、サイドステップを繰り返し立ち位置を変えていた松崎の
足の動きが止まる
どうやら足を止めて体重の乗ったパンチを打ち込むアグレッシブな戦い方にやや
シフトチェンジ
この作戦が裏目に出た形で、いかに防御に優れた松崎でも打ち合いは小堀有利
松崎は旺盛な手数で対抗
しかし特にラウンド終盤で振るわれる小堀のビッグパンチが手数で積み上げた松崎優位の
印象を一気にひっくり返してしまう
9回終了時点で 86-86 87-87 88-84
1-0のドロー
そして最終10回
「土壇場力」を発揮して小堀が攻勢
松崎にロープを背負わせ連打
この10回は2回、5回に続いて、3人のジャッジがすべて小堀の10-9
勝敗は判定にゆだねられ
97-96 96-95 98-93 3-0で小堀の勝ち
一言でいって松崎選手の大善戦
「研究されつくしていました」
試合終了後 開口一番
控え室で王者、小堀選手が語った言葉
松崎選手陣営は、小堀佑介というボクサーを徹底的に研究
その長所を封じ込め、弱点をつく作戦を徹底的に練り上げ、それを冷静に実行してみせた
「みんなは勝てないと考えているかもしれませんが」
「ぼくは判定なら四分六でよい勝負になるのではと思っています」
試合前のある会合
自信のほどが伺える松崎選手の発言
では松崎選手陣営が考えた「小堀対策」はどのようなものだったのか
まずは右の写真①
小堀選手のオーバーハンドの右フックのシーン
松崎選手の視線はしっかりと小堀の右フックの軌道に
この右フック
2007年1月6日に行われた大之伸くま戦から小堀選手が用いているフィニッシュブロー
なのだが
いったんボディへのフェイントが入った上でボディではなく「上」に繰り出される形に
このボディへのフェイントが松崎選手には全く効かなかった
読まれてしまっていた
この右フックはことごとくかわされてしまっっていた
次に右の写真②
しっかりとした右のガードに注目してほしい
左を突くとき
あるいは右の打ち終わり
グローブををしっかりとあごにくっつけてガードを固めている
これは明らかに、小堀選手の左フックへの対応だろう
小堀選手はワンツーのあと、返しの左フックが実戦でスムーズに出るボクサー
「ワンツーフック」が攻撃の主軸
この左フックをまともにもらわないように松崎選手は右のガードをしっかりと固めていた
さらに写真③
頭を沈み込ませるディフェンス
完全に下を向いてしゃがみこみに近い姿勢をとってみせる
小堀選手の側から見ると
打つ場所がなくなってしまう
もちろんアッパーで起こすというやり方もあるのだが
小堀選手のブローはストレート系中心
アッパーはあまり実戦では使われない
さらにこのディフェンスの応用
写真④
松崎選手は右オーバーハンド、あるいは左フックを打つ際に
打ちながら頭の位置を大きく動かして
深く沈みこませてしまう
ちょうど打ち終わりが写真③と似た形に
打つところがなくなってしまう体勢
カウンターのセンスに秀でた小堀選手に、打ち終わり、パンチを合わされないための工夫と
思われる
しかし、このディフェンスには欠点も
なにしろしゃがみこみに近い形になるまで
頭を沈み込ませるのだからバランスが崩れやすい
この体勢のままでは軽いパンチをもらったり、体で押されただけでぐらついてしまう
5回 たたらを踏むまでにバランスを崩したのはそのため
ダウン寸前に見えたが、果たして本当に小堀選手のパンチが効いていたのか
単に体勢が不安定で、そこにパンチを受けたのでバランスが崩れただけなのか
松崎選手は試合後、自らの「ブログ」で
「効いたパンチはなかった」と述べている
さらに松崎選手が上手かったのは距離のとり方
「小堀の距離で戦わせてもらえなかった」
試合直後の小堀選手の師匠、田中栄民トレーナーの述懐
小堀選手の得意な距離は「ミドルレンジ」
中間距離での打ち合いには無類の強さを発揮するボクサーだ
素早いステップインはなくベタ足で「待って打つ」タイプ
いいかえれば追い足にやや欠ける点があり、ロングの距離は得意ではない
また「クロスレンジ」も得意とはいえない
小堀選手は相手が接近してくるとグローブで押し出す動きをよく用いる
くっつかれるのを嫌がる傾向があり、パンチもクロスレンジでのコンビネーションは中間距離
でのそれに比べ、いまひとつ滑らかさに欠ける
松崎選手は小堀選手の得意な「中間距離」での打ち合いは避けて
くっつくか(クロスレンジ)
離れるか(ロングレンジ)
に徹していた
松崎選手は打った後、すぐにバックステップしてしまう(写真⑤参照)
ワンツーのツーを打ち出す場面
もうバックステップの準備に入っているかのようで、重心は後ろに残した形に
これではいわゆる「手打ち」になってしまって、体重の乗ったパンチは打ち込めないが
そもそも松崎選手陣営の作戦の重点は「判定で勝つ」ことに置かれていた
さらに小堀選手が前に出て追いにかかると今度は一気に距離をつぶしてクリンチに
決して中間距離での打ち合いには応じない
①打ったら離れる
②くっつくか離れるかに徹し中間距離にいない
これを松崎選手は冷静沈着に実行してみせた
さらに小堀選手のペースを狂わせたのは松崎選手の「左」
小堀選手はどちらかといえば「待って打つ」カウンターパンチャー
自分から仕掛けて試合の主導権を握るタイプのボクサーではない
典型的にそのことが確認できるのが小堀選手の試合における左リードジャブの手数
これが明らかに少ない
ジャブを突いて相手のリズムを狂わせてペースを握る
これはボクシングの基本中の基本なのだが
これを松崎選手にやられてしまっていた(写真⑦参照)
ボクサーとしてのトータルのスケールでは小堀選手がはるかに松崎選手を凌駕している
はず
しかし、「ジャバー」としてのパフォーマンスでは
この試合に関する限り松崎選手のほうが優れていた
実は2回までは、小堀選手もていねいに「左」を突いていた
左の突き合いに負けていなかった
ところが3回以降、めっきり「左」の手数が減って
一発のカウンターでのKO狙いの「雑念」に支配されて
大振りの強引なパンチが目立ちミスブローを連発してしまう
おそらく2回までの攻防を通じて
松崎選手の実力を独りよがりに見切ってしまって
緊張感、集中力を著しく欠いてしまったのだと思う
「パンチは手打ち気味で威力も無い」
「自分の一発が当たればいつでも倒せる」
こういった希望的観測、過度の楽観主義に毒されて
松崎選手の出方を「見すぎてしまって」左の手数が激減
全体としてなんとも注意散漫な「雑な」ボクシングに
結果として試合の主導権を奪われる形になってしまった
この試合、「ペース支配」という面では3回以降は実は松崎選手が優位にあった
攻防は小堀選手ではなく松崎選手の「土俵」で行われていたといええる
で、あるにも関わらず
それでもなお最終的に、有効打の「質」一発のパンチ力、さらにプロボクサーとしての
底力をジャッジにアピールし、勝利をもぎとったのは小堀佑介だった
相手の土俵で戦いながらもなお最終的に勝利を奪う
これは付け焼刃の強さではなく
本当に強い「ホンモノの」ボクサーでなければできないことだと思う
予想を完全に裏切る苦しい試合となった6度目の防衛戦
王者、小堀の「底力」を示すことができたと同時に
「世界のベルト」を目指すうえで多くの課題があることも浮き彫りとなった
自らを「進化」させる能力
失敗に学び、よりレベルアップした水準に自らのボクシングを進化させる能力
いいかえれば「進化力」あるいは「自己変革能力」
これもボクサーの「強さ」の重要な部分を構成するファクターだと思う
この一戦を経て今後
世界のベルトを目指すべく
より一層集中して戦い続けなければならない現段階において
小堀佑介という「才能」に問われているものはまさにこのファクター
「進化力」 「自己変革能力」ではないだろうか
言い換えれば伸びしろの大きさ、ボクサーとしての器の大きさ
ここまでのボクサーなのか
それともさらに強くなるボクサーなのか
その答えは小堀佑介自身が
これからのボクシング人生で自らの拳を通して、あるいは生き様を通じて
導き出していくよりないだろう
「こうなったらぜひ世界のベルトを巻いてください」
試合直後
自らの悔しい思いをおくびにも出さずそういっていただいた
好敵手、松崎選手の期待を同じプロボクサーとして、無にしてはならないはずだ
頑張れ!小堀!
(以下 後編に続く)
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】
]]>
「スリラーイン横浜」 注目3試合! (1.14横浜文化体育館)
http://boxing12.exblog.jp/7288419/
2008-01-17T17:27:34+09:00
2008-01-17T17:27:34+09:00
2008-01-17T17:27:34+09:00
box-houkoku
現地ナマ観戦記
第4試合の黒田雅之(新田ジム)対池原繁尊(横浜光ジム)
第5試合の真鍋圭太(石川ジム)対細野悟(大橋ジム)
そしてメインイベント
WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ
王者アレクサンデル・ムニョス対挑戦者、川嶋勝重(大橋ジム)
上記3試合をレポート
第4試合 50キロ契約10回戦 ○池原繁尊(3-0判定)黒田雅之●
2006年全日本新人王、MVP 日本ライトフライ級9位、新田ジムの黒田(10勝8KO1敗)
と同級10位、横浜光ジムの池原(14勝11KO1敗1分)のランカー対決
ともにこの階級では出色の高いKO率を誇るハードパンチャー同士の一戦
1回から4回までは池原のペース
黒田のあごのあたりに頭をくっつけ、中に入ってボディ中心に手数
前進し距離を詰めて上下に打ち分けるコンビネーション
離れた距離では右オーバーハンドから右アッパー
頭もよく振って的を絞らせない
黒田は上体が伸び切っていてやや固い印象
ダッキング、ウイービングはない
池原に中に入られると持て余してしまう
さかんに左を突いて池原のプレスを押し返そうとする黒田だが
池原の圧力は強く左ジャブのみでは下がらせることはできない
クロスレンジでは手数、有効打ともに池原が圧倒
ところが5回
黒田の戦い方に明らかな変化
まず脇をしっかり絞ってガードをがっちり固め池原のパンチをブロック
さらに前に出る池原に対しサイドに回っていなす動き
池原の正面に立たず距離を作り出そうと試みる黒田
5回は両選手の距離が微妙に広がり黒田の左フック、右ストレートがヒット
10-9で黒田のラウンド
しかし6回 変わりかけた流れを池原が再度、引き戻す
ラスト30秒 1回から続くボディ攻撃で黒田のガードが下がったタイミング
強烈な右オーバーハンドがクリーンヒット
6回は10-9池原
このまま池原のペースで終わるかと思われたが8回
黒田が粘る
前進し距離を詰める池原に足を使ってサイドに動き立ち位置を変えて
自ら距離を作って、ワンツー
中間距離では黒田のビッグパンチがヒット
8回は黒田のラウンド
続く9回も黒田のペース
池原は打ち疲れの傾向
追って詰める圧力が衰え中間距離からの黒田のパンチがヒット
最終10回
黒田の左フックがクリーンヒット
ぐらつく池原
ダウン寸前
クリンチでなんとか逃げ切る
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ3者ともに96-95
池原がハードパンチャー対決を制す
この一戦、前半は
詰めて戦うという戦略を実践
コンビネーションの多彩さ、ダッキング、ウイービングなどの防御技術、上体の柔らかさに
まさる池原の一方的なペース
しかしそのままずるずると押し切られずに自分の得意な距離での展開を心がけ、ハードパンチ
を武器にキャリアにまさる池原を追い上げた黒田
敗れたとはいえ持ち味を発揮しその実力を十分にアピール
第5試合 スーパーフェザー級10回戦 ○細野悟(5回2分23秒TKO)真鍋圭太●
「ノックアウトセンセーション」石川ジムの真鍋(26勝22KO3敗1分け)と「バズーカ」大橋
ジムの細野(9勝7KO)のハードパンチャー対決
1回から細野のペース
一撃必殺の真鍋の左フックに備えて
細野はガードをしっかり固め、真鍋の打ち終わりにパンチを合わせる
大振りはせず左ボディから右フック
あるいは左を上下にダブル
ボディのフェイントを入れての左フック
パンチを上下に散らし、じっくりと攻めて真鍋を弱らせる
ダメージが蓄積する真鍋
細野の固いガードに阻まれ反撃の糸口をつかめない
5回 右ストレートからの左フックで真鍋のひざが揺らぐ
スタンディングダウン
試合は続行されるが真鍋のダメージは深い
一気に連打をまとめる細野
レフェリーが割って入り試合終了
「バズーカ」細野が真鍋に完勝
スーパーフェザー級ハードパンチャー対決を制す
メインイベント WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦
○王者、アレクサンデル・ムニョス(3-0判定)挑戦者、川嶋勝重●
「日本人キラー」ベネズエラのムニョス(31勝27KO2敗)に「ラストサムライ」大橋ジムの
川嶋(32勝21KO6敗)が挑んだ世界戦
僅差の激闘という見方が多かったこの一戦だが私は117-111
6ポイント差でムニョス
公式の採点は115-114 115-113 117-111
3-0でムニョスの勝ち
手数、特に左の使い方の巧みさにまさり
世界戦でのポイントの取り方を熟知した王者ムニョスが2度目の防衛に成功
3回まではムニョスのラウンド
左を突いて右につなげるチャンピオン
川嶋はムニョスのジャブをたくみにはずすが反撃の手数が出ない
有効打に差が無い場合、たとえヒットしていなくても手数を出しているほうにポイントを
振り分けるのが世界戦の判定傾向
4回は私は川嶋に
2分半過ぎ 激しい打ち合いの中、川嶋の左右のフック、左ボディアッパーが炸裂
ところがムニョスは5回、6回、ペースを奪い返す
カギはやはり「左のリード」
ジャブを切らさず、巧みに距離を支配
川嶋は手数が出ない
7回は川嶋が攻勢
ウイークポイントと目されるムニョスのボディを攻め立ててガードを下げさせ
あのWBC同級王者ミハレスからダウンを奪った破壊力十分の「ブーメランフック」につなげ
る狙い
この右フックがヒット
クリーンヒットが入ると逆に攻勢を強めて打ち返すムニョス
両選手、激しい打ち合いに
私はこの回は川嶋
8回 7回の流れを受け継ぐ「打ち合い」モードを嫌がるムニョスは足を使って距離をとる
動き
やはり「左リード」を中心に右ストレート、あるいは迫力十分のアッパーにつなげるムニョス
が手数にまさりポイントアウト
9回 川嶋が足を使ってサークリング
「攻撃にむすびつかない防御」なのでやはり手数を出すムニョスのラウンドに
この謎のアウトボクシング?
ポイントで勝っている、と錯覚しているのでは、と思ったが「8回から足に力が入らなくなって
しまった」からのよう
1ラウンド流して、スタミナの回復をはかる狙い
10回もムニョスのラウンド
川嶋のパンチがヒットする場面もあるがムニョスは打たれると一気に打ち返し、先の川嶋
のクリーンヒットの印象を相殺してしまう
11回 ボディ攻撃のダメージの蓄積か
ムニョスも消耗
クリンチが多くなるがこの回2分過ぎ
ロングの右ストレートがクリーンヒット
川嶋のひざが落ち、ダウン寸前に
10-9ムニョス
最終12回 ポイントの優位を自覚しているのかムニョスは逃げ切り体制
クリンチを連発
川嶋は最後まであきらめずに全力ファイト
試合終了
最終12回は川嶋のラウンド
私の採点は117-111でムニョス
4 7 12回が川嶋
他の回はすべてムニョスに振った
公式のジャッジの採点は意外な僅差
115-114 115-113 117-111
3-0で勝ったのは王者ムニョス
世界戦の採点
3人のジャッジがすべて一方につけたラウンドがいくつあったか、を数えてみると
1 3 5 6 10 の合計5ラウンド、3人のジャッジがすべてムニョスに振る
他方、川嶋が3人のジャッジの支持を集めたのは7 12の2回のみ
この2回ともたしかに誰が見ても川嶋
明確にポイントを奪取したラウンドだった
いいかえれば「10-8」に近い「10-9」のラウンド
対してムニョスが3人のジャッジの支持を集めた5ラウンドはすべて「微差」
あえて振り分ければ手数にまさり有効打で上回るムニョス、というパターン
いいかえれば「10-10」に近い「10-9」
要するに、ムニョスは川嶋に比べて世界戦の採点傾向を熟知し効果的にポイントを奪う
技術にまさっていたといえる
「手数」特に左リードの差
これに尽きたと思う
たとえグローブの上であっても手を出しているほうにポイントが流れてしまうのが世界戦の
採点傾向
この傾向自体に問題があることは確かだが、いかに問題点があったとしても世界戦に挑む
選手はこの現実を前提として自分のスキルを磨かなければならない
10-10を認めてしまうのが日本国内の試合の採点基準
「微差であっても一方に振り分ける」世界戦の採点基準に国内のそれをあらためる必要を
痛切に感じた次第
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】
]]>
日本フライ級タイトルマッチ ビータイトプロ「弾丸5」(12.8後楽園ホール)
http://boxing12.exblog.jp/7197845/
2008-01-04T04:44:00+09:00
2008-01-04T12:35:08+09:00
2008-01-04T04:44:36+09:00
box-houkoku
現地ナマ観戦記
2007年12月8日 後楽園ホール
「弾丸5」 ビータイトプロモーション主催
メインは日本フライ級タイトルマッチ
王者、吉田健司 対 挑戦者、佐藤常二郎
この一戦については試合前から詳しくレポート
以下「ボクレポ」過去記事より
吉田、佐藤両選手出演のビータイトラジオ
タイトルマッチ10日前の王者吉田選手、公開スパーリング
タイトルマッチ前日計量
王者、吉田の防衛か 佐藤、初挑戦でタイトル奪取か
またセミとセミセミにはワタナベジムの誇る日本ランカー
日本フェザー級3位の福原力也 日本フライ級6位の金城智哉が登場
ノーランカーの高山和徳(船橋ドラゴンジム) 清水真吾(マーベラスジム)とそれぞれ激突
さらに第5試合では日本スーパーライト級ランカー同士が対戦
2004年全日本新人王、2005年B級トーナメント、2006年Bタイト優勝の同級4位
小野寺洋介山(オサムジム)が2006年全日本新人王、同級11位の吉田真(宮田ジム)
と激突
ほかに6回戦2試合 4回戦2試合
スペシャルエキジビションとして日本スーパーフェザー級王者、小堀祐介(角海老宝石ジム)
対OPBF同級王者内山高志(ワタナベジム)の賞金スパーリング3ラウンド
「かませ」と目されてもやむを得ない外国人ボクサーは完全排除
「ボクシングファンの見たいカードを提供する」
これがビータイトプロモーションのポリシー
ビータイトプロ主催興行「弾丸5」全8試合を完全レポート
メインイベント 日本フライ級タイトルマッチ10回戦
○チャンピオン吉田健司(3-0判定)挑戦者佐藤常二郎●
チャンピオン、笹崎ジムの吉田(12勝5KO6敗)と挑戦者同級9位佐藤(角海老宝石ジム)
の日本フライ級タイトルマッチ
吉田はWBA同級5位、WBC同級24位に位置する世界ランカー
佐藤にとっては日本王座と同時に世界ランク獲得のチャンス
入場に引き続き、国歌斉唱
日本タイトルマッチとしては初の試み
初物好きのビータイトプロ代表瀬端氏ならではのアイディア
「警戒すべきは第3のパンチ」
戦前、佐藤は王者、吉田のヘッドバッドなどの反則行為に対する懸念を再三表明
1回 佐藤なりの作戦か
王者、吉田のお株を奪い、頭から突っ込んで中に入って左右のフック
吉田に比べてリーチでは劣ってしまう佐藤は距離を詰めて戦う構え
しかし、中に入る際に頭を持っていってしまったことで両選手の頭が再三、激突
吉田はしつように反則をレフェリーにアピール
「頭が当たってしまって、ついつい冷静さが失われ熱くなってしまった」
試合後の王者吉田の弁
吉田は前に出る佐藤を抱え込んでホールド気味のクリンチ
振りほどこうとする佐藤との間でもみ合いに
1回から「乱戦模様」
私は佐藤のプレス、中に入っての左フックを評価
10-9で佐藤
2回 1分過ぎ 佐藤の左フック
さらに2分半過ぎにも同様に左フックのヒット
吉田はやはりクリンチに
10-9佐藤
3回 佐藤の前進が続く
クロスレンジの攻防は佐藤有利
ただし手数の交換、打ち合いにはならず
クロスレンジでの体をつけ合っての押し合い、もみ合いが展開されるシーンに終始
吉田、もみ合って体勢が崩れた佐藤に加撃
レフェリー浦谷は「注意」を与えたのみ
偶然のバッティングで吉田、側頭部をカット
終了間際 吉田の右アッパーがヒット
佐藤のアゴが跳ね上げられる
3回は10-10
前半の3回までは乱戦模様ながら、やや佐藤のペース
4回 流れを引き戻そうと吉田がよりアグレッシブに
左フックをヒットさせる
しかし、打ち込んでは佐藤の反撃をクリンチで封じ込めるやり方は1回から変わらず
佐藤も工夫なく正面からの突進を繰り返すだけで両選手、パンチを打っては距離が詰まって
のクリンチの連続
4回は吉田が有効打で上回った印象
5回 吉田、クリンチ後のもみ合いの中で佐藤を投げ飛ばす
両選手、距離が合わず
打ってはクリンチの連続
お互いに闘志が空回りしている印象
6回 吉田 離れ際に攻撃
押し合い、もみ合いの展開じは変わらないが3回までの流れと異なり先に当てているのは
佐藤ではなく吉田
7回もクリンチ、押し合い、もみ合い
私は4回から7回までは吉田のポイントに
7回終了時で68-66 2差で吉田
8回 1分半過ぎ 吉田の右ストレート
9回 ポイントの優位を自覚したのか
吉田やや距離をとってのアウトボクシングを試みる構えに
アリシャッフルも披露
しかし相変わらず佐藤が出て距離が詰まるとクリンチに
8回 9回と私は吉田のラウンドに
最終10回 あとがない佐藤は最後の力をふりしぼって前に
吉田はやはりクリンチ、抱え込み
バランスを崩し、両選手ともキャンバスに倒れこむ場面が再三
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ98-96 97-94 99-94
3-0で吉田の勝ち
乱戦を制した吉田が2度目の防衛に成功
打ってはクリンチを繰り返しダーティな投げ飛ばしをも再三、繰り出してしまった吉田は
試合後、反省しきり
厳しい言い方になるが、日本チャンピオンとしての自覚に欠けるといわれてもやむを得ず
ところが挑戦者、佐藤もただただ頭から突っ込んでいくばかりで工夫がみられず
キャリアと技量の不足を露呈した形
エキジビション賞金スパーリング3ラウンド 小堀佑介対内山高志
双方ともにダウンは奪えず賞金10万円はゲットできず
スパーリングの内容については
過去記事 参照していただければ幸い
セミファイナル フェザー級8回戦 ○高山和徳(4回42秒TKO)福原力也●
元日本スーパーバンタム級王者、日本フェザー級3位、ワタナベジムの福原(20勝16KO
2敗1分け)とノーランカー、船橋ドラゴンジムの高山(11勝2KO4敗4分け)の一戦
高山は前の試合、ワタナベジムの元日本フェザー級王者、梅津と対戦しドロー
( 過去記事 あります)
連続してのランカー挑戦になる
1回 1分30秒過ぎ 上体を沈み込ませヘッドスリップしながらの右オーバーハンドがヒット
福原、ダウン
立ち上がるがその後、アッパーを強振した際に右腕を二箇所骨折
左手一本での戦いを強いられる形に
2回 3回と高山の右がヒット
右手が垂れ下がったままガードにも使えない福原は有効な反撃ができず
4回 高山の右オーバーハンドで福原2度目のダウン
ここでセコンドからタオル投入
ノーランカー、高山が4回42秒TKO勝ち
ランカー福原を下す大金星
高山は12月のランキング選考で日本フェザー級6位をゲット
第6試合 フライ級8回戦 ○金城智哉(8回2分3秒TKO)清水慎悟●
2006年全日本新人王、日本フライ級6位、ワタナベジムの金城(13勝5KO1敗1分け)
とノーランカー、マーベラスジムの清水(8勝3KO5敗1分け)の一戦
1回 様子見に徹する金城
清水はスピードを生かし出入りのボクシングで金城の強打をさばきたいところ
ラスト10秒 金城のワンツーがクリーンヒット
2回以降 一方的な金城ペース
ワンツーからのボディのフォロー
上下の打ち分け
6回には清水の打ち終わりを狙っての連打
さばきたい清水だったが金城のプレスは想定以上のものだったよう
一方的に清水にダメージが蓄積していく展開
8回 表情もややうつろになってきた清水に金城のワンツー
ダメージが深いと判断したレフェリーが試合を止めた
8回2分3秒、金城のTKO勝ち
金城の次戦は4月14日 対戦相手は日本フライ級5位、古口ジムの今宮佑介
この勝者が、チャンピオンカーニバルの日本フライ級タイトルマッチ吉田(笹崎ジム)対
清水(金子ジム)の勝者に挑戦することに
第5試合 日本Sライト級6回戦 △小野寺洋介山(三者三様のドロー)吉田真△
日本スーパーライト級4位、オサムジムの小野寺(16勝6KO1敗)と同級11位、宮田ジム
の吉田(10勝3KO1敗)のランカー対決
小野寺は2004年全日本新人王、2005年B級トーナメント優勝、2006年Bタイト優勝
「なにくそ魂」を武器に切れない手数、スタミナで押し切る右ファイター
吉田は2006年全日本新人王
長身の右ボクサータイプ
ファイター対ボクサー、の対決となったこの一戦
まずはじめに流れをつかんだのはボクサータイプの吉田
遠い距離からの右、さらに返しの左フック
小野寺が前進してくるとバックステップ、サイドステップ
打っては立ち位置を変え、的を絞らせず
また吉田はブロックも固い
小野寺が強引にロープに押し込んでもガードを固め有効打を許さない
3回までは吉田の距離での攻防
吉田ペースに
しかし4回 小野寺がさらに圧力を強める
ラッシュ、ラッシュ
切れない手数を武器に前に前に
5回 小野寺の猛攻が続く
吉田のパンチでダメージを負っているはずなのだが小野寺の手数は止まらない
高速の回転を効かせた連打で吉田を攻め立てる
吉田にスタミナ消耗の兆候
ラスト15秒 小野寺、怒涛のラッシュ
吉田をロープに詰めて連打
5回は明確に小野寺のラウンド
最終6回 小野寺のラッシュが続く
パンチがオープン気味な点が気がかりだがこの切れない連打の前に吉田は防戦一方
試合終了
前半3回まではボクサータイプの吉田
後半はファイタータイプの小野寺のペース
勝敗は判定にゆだねられ 58-57吉田 58-57小野寺 57-57
三者三様の引き分けに
前半、ペースをつかんでいた吉田には笑顔なし
小野寺はもらった花束を吉田に渡し、その健闘を称える
両選手、抱擁
この興行のベストマッチといえる熱戦
第4試合 スーパーライト級6回戦 ○闘将青木誠(4回15秒TKO)末永達也●
グリーンツダジムの闘将青木誠(6勝3KO7敗2分け)が壮絶な打撃戦の末、輪島スポーツ
ジムの末永(6勝4KO3敗)に4回TKO勝ち
1回 末永、強烈な左フックをヒットさせる
必ずしも打たれ強くはない青木はぐらつく
しかしラスト10秒 反撃に転じた青木が左フックで末永からダウン
ところが2回 末永に打ち込まれ、またも青木、ぐらつく
2回はダウンを奪われたはずの末永のラウンド
3回 青木が反撃
手数で末永を圧倒
4回 末永をコーナーに詰めてラッシュをかける青木
末永は打たれっぱなし 防戦一方
ダメージが深いと判断したレフェリーが試合を止めた
第3試合 ウエルター級6回戦 ○下河原雄大(3-0判定)トム岡川●
角海老宝石ジムの右ボクサータイプ下河原(7勝1KO5敗2分け)とMTジムの右ファイター
タイプ、トム岡川(7勝4KO6敗1分け)の一戦
リーチに恵まれた下河原は左で突き放して右
中に入りたい岡川は距離を詰めてボディ
2回まではほぼ互角
3回 下河原のロングの右がクリーンヒット
4回にもロープを背負わせ、右を打ち込む
下河原のペースが続き最終6回には岡川のマウスピースが飛ぶ
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ
58-57 59-57 59-56 3-0で下河原の勝ち
勝った下河原だが気になった点が三つ
ひとつは左のガード
やや下げすぎでジャブの引きに右を合わされると危険
二つ目に左フックがオープン
きちんとナックルを当てないと効くパンチにならない
14戦7勝1KO5敗2分け、とこの階級にしてはKOが少ない下河原
その大きな原因になっている可能性がある
最後にボディが少なすぎる
上下の打ち分けを意識しないと攻めが単調になり効果的な攻撃ができなくなってしまう
第2試合 バンタム級4回戦 ○伊藤皓(4回2分39秒TKO)中島文幸●
新日本木村ジムの伊藤(3勝1KO3敗1分け)が笹崎ジムの中島(2勝1KO1敗1分け)
に4回TKO勝ち
右ファイタータイプの中島だったが伊藤は冷静に打ち終わりを狙う
4回 伊藤の左フックがヒット
コーナーに詰めての連打
中島ダウン
ダメージが深いと判断したレフェリーが試合を止めた
第1試合 バンタム級4回戦 ○青山朋彦(4回29秒TKO)石橋正裕●
両選手、デビュー戦
角海老宝石ジムの青山が笹崎ジムの石橋に4回TKO勝ち
右ファイタータイプの石橋
しかし前に出たところに青山の左フックがカウンターでヒット
石橋、ダウン
立ち上がる石橋だが以後、青山のペース
一方的に打たれ続ける展開が続き最終4回
青山の右が入ったところでレフェリーストップ
田中栄民トレーナー門下の青山がデビュー戦を白星で飾る
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】
「越後魂」小林秀徳、全力ファイト 下田2度目の防衛成功!(12.1後楽園ホール)
http://boxing12.exblog.jp/7181023/
2008-01-01T13:41:00+09:00
2008-01-03T10:42:35+09:00
2008-01-01T13:41:15+09:00
box-houkoku
現地ナマ観戦記
2007年12月1日 後楽園ホール
第428回ダイナミックグローブ 帝拳プロモーション主催
メインは日本スーパーバンタム級タイトルマッチ
王者下田昭文(帝拳ジム)対 挑戦者小林秀徳(角海老宝石ジム)
フロイド・メイウエザーを目標とする下田は天性のカンとスピードにあふれたサウスポー
WBA同級8位 WBC同級5位
戦績17戦16勝8KO1敗 23歳
今回が日本王座2度目の防衛戦
「ボクレポ」過去記事から
2006年11月13日 ソニー・ゴンザレス戦
2007年4月9日 山中大輔選手から日本王座奪取
2007年8月4日 塩谷悠選手に勝ち初防衛
対する小林は同級7位 無敗の挑戦者
戦績14戦13勝5KO1分け 29歳
2000年全日本フェザー級新人王、MVPにも輝くが2002年7月29日に行われた辻口篤史
戦(全日本パブリックジム)で眼窩底骨折
3度の手術を重ね以後リングを去ること4年
2007年2月17日、小平恵司戦(伴琉ジム)でカムバック
小平は2006年B級トーナメントフェザー級優勝、MVPのハードパンチャーだったが小林は
切れない手数で圧倒し判定勝利
さらに同年5月19日 長井祐太(勝又ジム)に判定勝利
9月26日に石田隆次(国分寺サイトージム)を3回TKOに
カムバック後3連勝
無敗をキープしたまま念願のタイトル挑戦にこぎつけた
3つの作戦
小林選手は角海老宝石ジムの「チャンピオンメーカー」田中栄民トレーナーの秘蔵っ子
小林も田中トレーナーには最大限のリスペクト
もとは宮田ジムにいた田中トレーナーが角海老宝石ジムに移るとともに、小林も後を慕って
移籍した経緯がある
深い師弟愛に結ばれた二人
圧倒的に王者、下田が有利と目されていた日本スーパーバンタム級タイトルマッチ
大番狂わせを起こしベルトを奪うため
「チャンピオンメーカー」田中トレーナーが編み出した作戦は以下の3つから成り立って
いたものと考えられる
①下田の最大の武器は左ストレート。この左をもらわないために
常に左回りを続ける
左サイドへのダッキング、ショルダーブロックを駆使
徹底して下田の「左」をはずす
②下田の「左」にカウンターを合わせる
小林がワンツー → 下田が左のカウンター →これに小林がカウンターの左ストレート
のパターン
小林の立場からみれば基本的なコンビネーションは、左ジャブ→右ストレート→左スト
レート
はじめにワンツーで、下田の「左」を誘って
そこに左のストレートを合わせる作戦
王者は必ずしも打たれ強いわけではない、というのが田中トレーナーの考え
小林はハードパンチャーではない
それでもカウンターでアゴに決めれば効いてしまうはず、というのが田中の見方
下田は常にアゴが上がり気味
ガードを下げるクセもある
③終盤には下田のスタミナ消耗のタイミングをとらえて
下田の「左」に相打ちも覚悟で踏み込んで左のフックを合わせていく
判定狙い、ではなく「倒して勝つ」
これが田中トレーナーと小林のスタンス
見えない「左」
日本スーパーバンタム級タイトルマッチ
場内が暗転する中
青コーナーから挑戦者小林
赤コーナーから王者、下田
1回 小林は事前の作戦を忠実に実行
左ジャブを切らさず、常に左サイドに回りこむ
ワンツーからの「左」ストレートのコンビネーション
大舞台であるにも関わらず自分を見失わずに作戦通りのボクシングを貫く小林
足を使って左に回る小林に下田はボディ狙い
左ストレートをボディに打ち込む
さらに「上」にも
1回は下田の「左」が支配したラウンド
手数にまさっていたのは小林だが下田の左が確実にヒット
有効打では下田が優位
2回 小林がやや距離を詰め強気の攻勢
下田に傾いたペースを取り返そうと手数
練習を積んできた右からの返しの「左」もヒット
しかし2分20秒過ぎ
体重が乗った下田の強烈な左がクリーンヒット
さらにラスト10秒 下田の左が再度、ヒット
小林、ダウン
立ち上がってくるがダメージは深い
2回終了
3回 明らかに足元がふらついている小林
1分半過ぎ 下田の左がまたも炸裂
小林、2度目のダウン
2回のダウンに比べると当たりは浅いがダメージから足元が不安定な小林はバランスを
崩してしまう
絶対絶命
「下田選手の左はほとんど見えませんでした」
試合後に小林
準備した「作戦」の①
下田の左をはずす、は失敗
下田の「左」のスピードは事前の想定を大幅に上回っていた
2度目のダウンを奪われ窮地に陥った小林だが、この回後半から微妙に流れが変わる
下田がやや狙いすぎて手数が減るとともに
小林の左がヒットしはじめる
右からの返しの「左」
カウンターの左フック
4回 3回後半の流れを受け継ぎ小林が果敢に抵抗
「狙いすぎ」か
「見過ぎ」か
あるいは「打ち疲れ」たのか
なぜか手数がスムーズに出ない下田
それでも繰り出される左のビッグパンチは迫力十分
ラスト20秒 小林、連打
下田の左を恐れずに距離を詰めてみせる
ラウンド終了
この回 コーナーに帰る小林は右手を上げてみせる
迎えた田中トレーナーも笑顔でガッツポーズ
「3回まで見えなかった左がようやく見えるようになりました」
小林のコメント
5回 ほぼ互角の展開
ただし下田にやや集中力を欠いた動き
不意にノーガードになったり
横を向いてみたり
「実は5回くらいからスタミナがかなりあぶなくなってしまいました」
試合直後のリング上でのインタビューでの王者の告白
ラスト10秒 下田の左がヒット
ラウンド全体のペースはやや小林だったが一発のビッグパンチで印象は大きく変わる
5回は下田のラウンド
6回 開始50秒 小林の左フックがカウンターでヒット
汗まみれの下田
またもやノーガードで挑発
小林のジャブがヒット
6回 私は小林の10-9に
王者の蘇生
スタミナ消耗の影響か
集中力を欠いてしまったかのような王者、下田だったが7回から体勢を立て直していく
落ち着いてあえて距離をとり
しっかりと小林の動きを見る
小林が距離を詰めて入ってくるところ
左を繰り出し、小林がさらに連打を打ち込むとさっとバックステップ
いなしてしまう
みごとなアウトボクシング
「スタミナが切れたと思ったのですがさらに新たなスタミナが湧いてきました」
試合直後のインタビューで王者下田
「猛練習の成果だと思います」
ここまでじっくり見られると小林は苦しい
7回は10-9 下田
8回 小林の足が止まるタイミングを見計らうかのように
王者、下田の的確なパンチがヒット
それでもとにかく前に出て連打の小林
2度のダウンから立ち上がり、下田の左を恐れることなく
ここまで前に出ることができる小林の根性は光る
ラスト10秒 下田 左ストレートから右フック
強烈にヒット
8回も10-9 下田
9回 下田、またもやノーガードのポーズ
5回、6回のノーガードは冷静さ、集中力の欠如からのものに思えたが
この回のノーガードは小林の打ち気を誘うワナと思う
打ち込む小林だが、下田は「効いていない」と挑発
打ち合いが続くが、下田のビッグパンチの有効度が小林の手数を上回ってしまう
9回も私は10-9 下田
越後魂
「ポイントでは負けている。倒すしかない。ボコボコにしてやれ」
コーナーに帰ってくる小林に田中トレーナーの指示
最終10回
敬愛する田中トレーナーの指示を一切疑うことなく
「恩師」の命令にただただ愚直なまでに忠実に
がむしゃらに前に出る小林
小林のキャッチフレーズは「越後魂(エチゴソウル)」
豪雪に耐えに耐えて生き抜いてきた新潟人は特有の粘り強さを持つ
越後の地は「強兵」の宝庫でもある
「新潟出身の兵は強い」
戦前の大日本帝国陸軍でも新潟出身の兵は勇猛果敢で知られていた
越後の戦国大名、上杉謙信の例に象徴されるように
新潟人は可能性がある限り、決してあきらめず戦い続ける
柔和な顔貌、物腰の小林だがその内側には越後魂が脈打っている
下田の鋭い左に決してひるむことなく
ただただ愚直に前に出て
打ち返す小林
下田も小林の攻勢をしっかり受け止めて反撃
死力を尽くした攻防に場内は沸騰
試合終了
勝敗は判定に
私は最終10回は10-10
98-91で王者、下田
公式のジャッジの採点は98-91 100-91 100-88
3-0で下田の勝利
しかし控え室に帰る小林には暖かい拍手
3回までに2度のダウンを奪われつつも連打で攻め込む姿勢を崩さず
王者のスタミナ消耗もあり中盤、盛り返しペースを握るかに見えた小林
しかし7回以降、豊富な練習量の成果か王者のスタミナが回復
激しい攻防が続いたがポイントは小林の手数よりビッグパンチを振るう下田に流れた形
結果的にポイントでは大きく引き離されてしまったが
そもそも戦前の下馬評では圧倒的に不利だった
2度のダウンという絶体絶命の状態から最終10回までホールを熱狂させる打ち合いを
展開してみせた小林
「大健闘」といってよいのではないだろうか
リングサイドでこの戦いを観戦していた私だが
とにかくひたむきに手を出し続ける小林の闘志に感激
ファインダー越しにこの一戦を見続けた「ボクレポ」カメラマンの井口氏もまた涙
同じ男として一言
小林本人に直接、声をかけずにホールを去るわけにはいかず
私、井口氏
さらに入場してくる小林に花束を渡し、リングサイドで試合を見届けていたボクシングガール
の竹内綾香さんと3人で選手控え室に
顔は傷だらけであったにも関わらず、気丈に記者の質問に答える小林の姿
小林選手、ナイスファイトでした
そして本当にお疲れ様でした
第6試合 スーパーライト級10回戦 ○亀海喜寛(3-0判定)畑大輔●
日本スーパーライト級6位、進光ジムの畑(11勝1KO3敗4分け)と同級7位、帝拳ジムの
亀海(6勝6KO)のランカー対決
リーチに恵まれた畑は左を下げたデトロイトスタイル
距離をとり足を使って亀海のプレスに対応
亀海は頭を振りながら左右のフック
2回 亀海の左フックがヒット
畑は前に出る亀海に対し、足を使い、あるいはクリンチに出て攻撃のリズムを寸断
ただしポイントに結びつく有効な反撃に乏しい印象
試合はプレスをかけて距離をつぶす亀海のペース
6回 ラスト30秒 亀海の右クロスがクリーンヒット
畑のマウスピースが跳ぶ
畑は亀海の攻めをかわすのみで攻めに転じ切れない
8回 亀海、右フックでダウンを奪う
さらに最終10回にも右フックで畑からダウン
試合終了
勝敗は判定にゆだねられ99-91 100-89 100-90
3-0で亀海の勝ち
第5試合 スーパーウエルター級8回戦○柴田明雄(3回2分15秒KO)山口裕司●
日本ウエルター級3位、OPBFウエルター級8位、JBスポーツジムの山口(16勝10KO1敗
1分け)とワタナベジムのノーランカー、柴田(8勝4KO4敗1分け)の一戦
柴田は前戦、当時協栄ジムに所属していた日本ウエルター級2位、佐々木基樹相手に善戦
( 過去記事 あります)
1回 開始10秒
柴田の左ジャブで生まれた山口のガードの隙に右ストレート
山口、しりもちをつきダウン
立ち上がる山口
柴田はステップワークを駆使
さらに左を突いて距離をとり山口を突き放して自分の得意な距離で戦う構え
2回 山口はやはり中に入れず
ロングの右
さらにボディから上に返す柴田
攻める手がかりをつかめないままの山口
柴田の右で左眼上をカット
柴田優位の流れ
3回 柴田さらにロングの右
クリンチ後の離れ際に柴田の右フックがクリーンヒット
山口ダウン
立ち上がる山口に連打をまとめコーナーに詰める柴田
レフェリーストップ
ノーランカー柴田が元OPBFウエルター級王者、ランカーの山口を下す大金星
12月のランキング査定でスーパーウエルター級6位に
第4試合 ライトフライ級8回戦 △斉藤直人(1-0ドロー)五十嵐俊幸△
日本フライ級10位、元アテネ五輪代表、帝拳ジムの五十嵐(5勝4KO)と日本ミニマム級
5位、角海老宝石ジムの斉藤(13勝4KO4敗3分け)のランカー対決
「この一戦にボクシング人生の全てを賭ける」
ブログで宣言した通り
かなり気合いが入った表情で入場の斉藤
1回 五十嵐の迫力十分の左がヒット
斉藤は体を沈み込ませて右ボディストレート
左に回り、足を使って出入りのボクシングで対抗
1回は左のヒットを評価して五十嵐のラウンドか
2回 斉藤、手数を振るって攻勢
五十嵐、右目上をカット
ラスト10秒、斉藤左右のフック
2回は斉藤のラウンド
3回 五十嵐の左がヒット
ただし左のみに頼りすぎ単発傾向
雑で粗いボクシング
斉藤は手数を繰り出し立ち位置を変えて果敢に攻めるが決定打を奪えない
五十嵐の左のビッグパンチの有効度を評価してこの回は五十嵐
4回は逆に斉藤のラウンド
単発気味、手数不足の五十嵐に対し斉藤は連打でポイントを奪う
前半4回を終了し私の採点は互角
めまぐるしいペース争い
5回 2分過ぎ 五十嵐の左がクリーンヒット
ぐらつく斉藤
6回 斉藤、攻め足を強めるがやはり五十嵐の左が冴える
斉藤は右のあとの帰しの左が大きく流れがちでバランスを崩す場面が目立つ
7回 斉藤、右打ち終わりを狙われ五十嵐の左を被弾
しかし斉藤も手数を切らさず前に
私は5回10-9五十嵐 6回10-10 7回10-9五十嵐
手数ではまさっている斉藤だが私は五十嵐の左の有効打を評価
最終8回 果敢に前に出て中に入って連打の斉藤
五十嵐は後手に回らされる
試合終了
私は77-76で五十嵐
ジャッジの採点は77-76斉藤 77-77 77-77
1-0のドロー 引き分けに
勝利を確信していた斉藤は涙
手数では明らかに斉藤の勝ち
足を使って常に動いて的を絞らせず、出入りを効かせたボクシングを貫いた
対する五十嵐は「左」に頼りすぎ
返しのパンチもなく単発傾向
しかしその単発のビッグパンチがヒットしていたことも確か
斉藤の手数か 五十嵐の「左」か
どちらをより高く評価するか
私は五十嵐の「左」を重視した採点に
踏み込みの効いた体重が乗ったパンチを打ち込み
ジャッジの心象に強くアピールする
これが今年中の日本タイトル挑戦を目指す斉藤の今後の課題と思う
第3試合 フライ級8回戦 ○坂入康太(6回52秒TKO)小山田彰利●
18古河ジム期待の坂入(8勝3KO1敗)とシャイアン山本ジムのサウスポー小山田(7勝
2KO7敗1分け)の一戦
1回 2分過ぎ サウスポー小山田の左ストレートがクリーンヒット
ぐらつく坂入
しかし2分半過ぎには坂入が反撃
左フックからの連打で逆に小山田をぐらつかせる
2回 2分過ぎ 坂入、ノーモーションの右からの連打
小山田、ダウン
3回 坂入は一気に決めにかかる
しかし小山田も踏ん張り互角の展開
4回 打ち疲れた坂入に小山田が渾身の左ストレート
坂入、ダウン
5回 ダメージが色濃い坂入
小山田は坂入の打ち終わりにパンチ
5回は小山田のラウンド
2回に喫したダウンから立ち直り4回にはダウンを奪い返しペースを握りかけて
いた小山田だったが6回40秒過ぎ
坂入の右がクリーンヒット
コーナーに詰められショートの連打
防戦一方の小山田
ダメージが深いと判断したレフェリーが試合を止めた
ダウンの応酬となる熱戦を制したのは坂入康太
第2試合 バンタム級4回戦 ○安沢栄二(3-0判定)渡辺大介●
3戦3勝1KO、帝拳ジムの安沢が岡野ジムの渡辺(2勝1KO3敗)に3-0の判定勝ち
3者とも40-37
第1試合 スーパーバンタム級4回戦 ○雲林龍広(3-0判定)佐藤ケイゴ●
この試合がデビュー戦、帝拳ジムの佐藤と勝又ジムの雲林(1勝1KO)の一戦
雲林は右ファイタータイプ
1回から距離を詰め、中に入って手数
佐藤は足を使ってさばこうとするが押され勝ちの流れ
勝敗は判定にゆだねられ 39-38 39-37 40-37
3-0で雲林の勝ち
クリックいただければ励みになります。人気ブログランキング
こちらもクリックいただければ励みになります。【ブログの殿堂】
https://www.excite.co.jp/
https://www.exblog.jp/
https://ssl2.excite.co.jp/